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【徹底解説】伝説の西部劇『バージニアン』名前なき英雄の魅力とは?あらすじから90分枠の革命、キャストまで総まとめ

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【徹底解説】伝説の西部劇『バージニアン』あらすじ・キャスト・90分枠の魅力

【徹底解説】伝説の西部劇『バージニアン』名前なき英雄の魅力とは?あらすじから90分枠の革命、キャストまで総まとめ

概要

バージニアン』(原題:The Virginian)は、1962年から1971年にかけてアメリカNBCネットワークで全9シーズン(249話)が放送された、西部劇テレビドラマの傑作です。
原作は、1902年に発表され「西部劇小説の原点」とも称されるオーウェン・ウィスターの同名ベストセラー小説です。

本作の最大の特徴は、当時のテレビ界の常識を覆す「1話90分(CM込み)」という長尺放送枠にあります。
通常のドラマが正味40〜50分程度であるのに対し、本作は毎週が長編映画並みのスケールとクオリティで制作されました。
舞台は1890年代のワイオミング州にある広大な「シャイロ牧場」。
主人公は、この牧場の現場監督(フォアマン)を務める男、通称「バージニアン」です。
彼の本名は、物語の最後まで視聴者に明かされることはありません。
寡黙でタフ、礼儀正しく正義感に溢れる彼は、牧場のオーナーやカウボーイたち、そしてこの地を訪れる様々な人々と関わりながら、法と秩序、そして人間の尊厳を守るために戦います。

日本ではNET(現テレビ朝日)系列などで放送され、パーシー・フェイス・オーケストラによる雄大なテーマ曲とともに、昭和のお茶の間で愛されました。
単なるガンアクションにとどまらない、大人のための重厚なウェスタン・ドラマの魅力を徹底解説します。

オープニング

YouTubeにて、パーシー・フェイス作曲のあまりにも有名なテーマ曲と、馬に乗って疾走するオープニング映像を確認できます。

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:ワイオミングの雄大な自然とシャイロ牧場

物語の舞台は、19世紀末(1890年代)のワイオミング州メディシン・ボウ近郊にある、架空の大牧場「シャイロ牧場(Shiloh Ranch)」です。
当時の西部は、開拓時代の荒々しさが残る一方で、鉄道や電信が発達し、文明化の波が押し寄せつつある変革の時代でした。
そんな中、シャイロ牧場を取り仕切るのが、南部のバージニア州出身であることから「バージニアン」と呼ばれる男です。
彼は牧場のオーナー(判事や大佐など、シーズンによって代わる)の右腕として、牛泥棒への対処、牧童たちの管理、近隣住民とのトラブル解決などに奔走します。
時には殺人事件の謎を解き、時には迷える若者を更生させ、時には淡いロマンスも描かれる……。
広大なワイオミングの風景をバックに描かれるのは、普遍的なヒューマニズムの物語です。

テレビドラマの革命:「90分カラー放送」の衝撃

『バージニアン』は、テレビ史上初の「90分枠の西部劇シリーズ」として企画されました。
これは、毎週1本の長編映画を作っているようなものです。
制作スケジュールは過酷を極めましたが、その分、ストーリーの密度は圧倒的でした。
単純な勧善懲悪(撃ち合いで解決)で終わらせず、登場人物の心理描写や背景をじっくりと掘り下げる時間があったため、ゲスト出演する俳優たちにとっても「演技の見せ場」が多い番組として評判になりました。
そのため、ベティ・デイヴィス、ロバート・レッドフォード、ハリソン・フォード、チャールズ・ブロンソンといった、後の超大物スターたちが若き日にゲスト出演しています。

シーズンごとの変遷と「オーナー交代劇」

9年間の長期放送に伴い、シャイロ牧場のオーナー役は大物俳優たちによって引き継がれていきました。これが番組に新鮮さを与え続けました。

  • 初期(シーズン1〜4):ヘンリー・ガース判事の時代
    名優リー・J・コッブ演じる厳格かつ慈愛に満ちた判事がオーナー。バージニアンとは親子のような信頼関係がありました。
  • 中期(シーズン5〜8):グレンジャー兄弟の時代
    チャールズ・ビックフォードやジョン・マッキンタイアが演じるグレンジャー家がオーナーとなり、より家族的な絆が強調されました。
  • 最終期(シーズン9):マッケンジー大佐の時代
    タイトルが『The Men from Shiloh』に変更され、オープニングや衣装が一新。マカロニ・ウェスタン(スパゲッティ・ウェスタン)ブームの影響を受け、よりスタイリッシュでハードボイルドな作風へと変化しました。オーナー役は英国の名優スチュワート・グレンジャーが務めました。

特筆すべき見どころ:相棒トランパスとの名コンビ

バージニアンは基本的に真面目で隙のないリーダーですが、彼を支えるカウボーイ、トランパス(演:ダグ・マクルーア)の存在がドラマに彩りを添えています。
トランパスは陽気でお調子者、女好きでトラブルメーカーですが、いざという時の度胸と銃の腕は確かです。
「静」のバージニアンと「動」のトランパス。この二人のバディ(相棒)関係は、西部劇ファンにとって最高の組み合わせでした。

制作秘話・トリビア:名前のない男

  • 本名は?:原作者オーウェン・ウィスターも、ドラマの制作者たちも、主人公の本名を意図的に設定しませんでした。劇中で名前を聞かれても「みんなバージニアンと呼ぶよ」とかわします。このミステリアスな匿名性が、彼を特定の個人ではなく「西部の男の理想像(アーキタイプ)」として際立たせました。
  • ジェームズ・ドルーリーの献身:主演のジェームズ・ドルーリーは、9年間ほぼ全てのスタントを自分でこなし、過酷な撮影スケジュールを乗り切りました。彼は私生活でも馬を愛する真のカウボーイであり、番組終了後も西部劇の遺産を守る活動に尽力しました。

キャストとキャラクター紹介

バージニアン (The Virginian)

演:ジェームズ・ドルーリー (James Drury)
シャイロ牧場の現場監督。黒いベストと黒い帽子がトレードマーク。
冷静沈着で責任感が強く、部下たちからの信望も厚い。
早撃ちの名手だが、無益な殺生は好まない、理想的な西部の男。

トランパス (Trampas)

演:ダグ・マクルーア (Doug McClure)
牧場のカウボーイ。最初は悪役として登場する予定だったが、マクルーアのチャーミングな演技により、愛すべき相棒キャラクターへと変更された。
コメディリリーフ的な役割も担い、シリーズを通じて最も人気のあるキャラクターの一人となった。

ヘンリー・ガース判事 (Judge Henry Garth)

演:リー・J・コッブ (Lee J. Cobb)
シーズン1〜4の牧場オーナー。元判事で、知性と威厳を兼ね備えた人物。
演じるリー・J・コッブは映画『十二人の怒れる男』や『波止場』で知られるハリウッドの重鎮。

キャストの代表作品と経歴

ジェームズ・ドルーリー (James Drury)
ニューヨーク出身ながら、生涯を通じて西部劇俳優としてのキャリアを貫きました。
映画『禁断の惑星』や、エルヴィス・プレスリー主演の『やさしく愛して』などにも出演していますが、やはり代表作は『バージニアン』に尽きます。2020年に亡くなるまで、「バージニアン」としてファンに愛され続けました。

ダグ・マクルーア (Doug McClure)
その人懐っこい笑顔でテレビ界の人気者となり、後に映画『恐竜の島』などのB級SF冒険映画のスターとしてもカルト的な人気を博しました。
『シンプソンズ』に登場する俳優トロイ・マクルアーのモデルの一人とも言われています。

まとめ(社会的評価と影響)

『バージニアン』は、西部劇というジャンルが「単なる活劇」から「大人の鑑賞に堪えうるドラマ」へと成熟した時期を象徴する作品です。
9シーズンという放送期間は、西部劇ドラマとしては『ガンスモーク』『ボナンザ』に次ぐ長寿記録であり、90分枠でこれを達成したことは偉業と言えます。
「名乗るほどの者ではない」という美学を体現したバージニアンの姿は、アメリカ人の心にある「フロンティア・スピリット」と「高潔さ」の象徴として、今なお語り継がれています。

作品関連商品

  • DVD:輸入盤DVDボックス(The Virginian: The Complete Seriesなど)がAmazon等で入手可能です(リージョンコードに注意)。
  • 原作小説:オーウェン・ウィスター著『バージニアン』。西部劇小説の古典中の古典です。


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