『サンダーバード』の面白うんちく!スーパーマリオネーションの秘密、「FAB」の本当の意味、黒柳徹子のペネロープまで徹底解説

『サンダーバード』の面白うんちく!スーパーマリオネーションの秘密、「FAB」の本当の意味、黒柳徹子のペネロープまで徹底解説

『サンダーバード』の概要

『サンダーバード』(原題: Thunderbirds)は、1965年にイギリスで制作された特撮人形劇のテレビシリーズです。

『秘密指令S』や『電撃スパイ作戦』と同じくITC(ジェリー・アンダーソン率いるAPフィルムズ)によって生み出された本作は、「スーパーマリオネーション(Supermarionation)」と呼ばれる独自の撮影技術を駆使し、人形劇とは思えないリアルなメカアクションと緻密な特撮で世界中の子供たちを熱狂させました。

日本でも1966年からNHKで放送され、社会現象となるほどの大人気を博しました。

『サンダーバード』の詳細うんちく

うんちく1: 脅威の撮影技術「スーパーマリオネーション」

本作が他の人形劇と一線を画すのは、「スーパーマリオネーション」という革新的な技術にあります。

これは、単純な人形操作(マリオネット)に「スーパー(凄い)」を付けた造語です。

最大の特徴は、人形の頭部に電磁石を内蔵し、セリフ(音声テープ)の電気信号と連動させて人形の口をパクパクと動かす仕組みにありました。

これにより、人形が本当にしゃべっているかのようなリアリズムを生み出すことに成功したのです。

うんちく2: あの有名なカウントダウンの声は「ジェフ・トレーシー」

「5、4、3、2、1、Thunderbirds Are Go!(サンダーバード発進!)」

このあまりにも有名なオープニングのカウントダウンの声は、国際救助隊の司令官であるジェフ・トレーシーの声を担当した声優、ピーター・ダイネリー本人によるものです。

彼の渋い声が、番組の開始を告げる象徴的なフレーズとなりました。

うんちく3: 日本版ペネロープ役は、あの「黒柳徹子」

本作の日本での人気を決定づけた要因の一つが、豪華な日本語吹き替え版です。

特に、国際救助隊のロンドン秘密諜報員である貴族の娘、レディ・ペネロープの声を担当したのは、タレントの黒柳徹子さんです。

「徹子の部屋」のイメージとは異なる、気品とユーモアを兼ね備えた若々しい声(当時30代前半)で、ペネロープの魅力を最大限に引き出しました。

新作『サンダーバード55/GOGO』では、ドラマ『トットてれび』で黒柳さん役を演じた満島ひかりさんがペネロープ役を引き継ぎ、大きな話題となりました。

うんちく4: パーカーの人形は「声優本人」がモデル

ペネロープの執事であり、元・金庫破りという異色の経歴を持つ運転手「パーカー」。

彼の特徴的な風貌(しゃくれた顎、大きな耳、出っ歯)は、実はパーカーの声を担当したイギリスの声優、デイヴィッド・グレアム本人をモデルにしてデザインされています。

声優の外見をそのまま人形のデザインに取り入れるという、ユニークなキャスティングでした。

うんちく5: 「FAB(ファブ)」は一体なんの略?

国際救助隊が通信の最後に必ず言う「F.A.B.(ファブ)」。

これは何の略なのか長年ファンの間で議論されてきましたが、制作総指揮のジェリー・アンダーソンによれば、「特に何の略でもない」というのが公式見解です。

当時流行していた「Fabulous(素晴らしい、最高の)」という言葉の短縮形「Fab」の響きがクールだという理由で、無線用語の「Roger(ラジャー、了解)」の代わりに考案された造語でした。

(※後にファンによって “Fully Acknowledged Broadcast”(通信内容を完全に承知した)といった後付けの解釈も生まれました。)

うんちく6: メカ人気No.1は、主役の1号ではなく「2号」

サンダーバードメカの中でも、日本で特に絶大な人気を誇ったのは、主役機である高速偵察機「1号」ではなく、緑色の重量物運搬機「2号」でした。

ヤシの木が倒れて滑走路が現れ、コンテナ(ポッド)を換装して出撃するというギミック満載の発進シークエンスは、当時の子供たちの心を鷲掴みにしました。

プラモデルも2号の人気が突出しており、その人気は現代まで続いています。

うんちく7: JR西日本の特急「サンダーバード」

日本において「サンダーバード」は、伝説のアメリカ先住民の「雷の精霊(の鳥)」という意味よりも、本作のタイトルとして広く知られています。

JR西日本が大阪と北陸を結ぶ特急の愛称を「スーパー雷鳥」から変更する際、一般公募を経て「サンダーバード」が採用されました。

これは「雷鳥(=Thunder Bird)」を英語にしたという理由もありますが、同時にSF特撮ドラマ『サンダーバード』の知名度と未来的なイメージにあやかったもので、実際に初期のテレビCMには本作の国際救助隊のメカが登場しました。

参考動画

まとめ

『サンダーバード』は、ジェリー・アンダーソンという天才が生み出した、単なる子供向け人形劇の枠を遥かに超えたSF特撮の金字塔です。

「スーパーマリオネーション」という革新的な技術、洗練されたメカデザイン、そして心躍る発進シークエンスは、後の日本の特撮やロボットアニメに計り知れない影響を与えました。

黒柳徹子さんによるペネロープの吹き替えや、「FAB」という謎のコールサインなど、制作の裏側にある数々のうんちくが、半世紀以上経った今もなお作品の魅力を色褪せさせていません。

関連トピック

ジェリー・アンダーソン (Gerry Anderson): 本作の製作総指揮。同じくスーパーマリオネーション作品である『キャプテン・スカーレット』や、実写特撮の『謎の円盤UFO』『スペース1999』なども手掛けました。

ITC (Incorporated Television Company): 『秘密指令S』『電撃スパイ作戦』『プリズナーNo.6』など、多くの名作ドラマを制作したイギリスのテレビ制作会社です。

謎の円盤UFO: 『サンダーバード』のスタッフが次に制作した実写特撮SFドラマ。よりシリアスな作風でこちらも高い人気を誇ります。

スーパーマリオネーション (Supermarionation): 本作で確立された、音声連動の電磁石を人形に組み込んだ特撮技術の総称です。

関連資料

『サンダーバード』コンプリートBOX (Blu-ray/DVD): 高画質で修復された本編映像に加え、制作の裏側を追ったドキュメンタリーなどが収録されています。

サンダーバード2号 プラモデル: 今なお多くの模型メーカーから、様々なスケールやギミックのプラモデルが発売され続けています。

『サンダーバード55/GOGO』: オリジナル版の撮影技術を再現して制作された2021年の新作劇場版。当時の雰囲気そのままに新たな物語が描かれています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
最新情報をチェックしよう!