実写版『サンダーバード』(2004)の面白うんちく!監督は『スタートレック』のライカー?賛否両論の舞台裏を徹底解説

実写版『サンダーバード』(2004)の面白うんちく!監督は『スタートレック』のライカー?賛否両論の舞台裏を徹底解説

実写版『サンダーバード』(2004)の概要

2004年に公開された実写映画版『サンダーバード』(原題: Thunderbirds)は、1960年代の伝説的な特撮人形劇を、最新のVFX(CG)を駆使してリブートした作品です。

しかし、その内容はオリジナル版のファン(特に大人たち)の期待とは大きく異なり、トレーシー一家の末っ子アランを主人公にした「キッズ向けアドベンチャー映画」として制作されました。

そのため、世界的に賛否両論を巻き起こした作品として知られています。

実写版『サンダーバード』(2004)の詳細うんちく

うんちく1: 監督は『新スタートレック』のライカー副長

本作でメガホンを取ったのは、『新スタートレック』シリーズでウィリアム・ライカー副長(ナンバーワン)役を演じた俳優、ジョナサン・フレイクスです。

彼は俳優業と並行して『スタートレック』シリーズのテレビエピソードや劇場版(『ファースト・コンタクト』など)で監督としての手腕も高く評価されており、その実績を買われて本作の監督に抜擢されました。

しかし、皮肉にも本作は興行的に成功せず、彼の監督キャリアにおいて大きな試練となりました。

うんちく2: 主役はトレーシー兄弟ではなく「子供たち」

オリジナル版のファンが最も驚愕し、賛否が分かれた最大のポイントが、主人公の変更です。

オリジナルでは国際救助隊の精鋭であるトレーシー兄弟(スコット、バージル、ジョンなど)が主役でした。

しかし、本作では彼らの父親ジェフ(演:ビル・パクストン)と共に早々に基地を離れてしまい、基地に残された末っ子で14歳のアラン(演:ブラディ・コルベット)と、ブレインズの息子ファーマット、使用人の娘ティンティンの3人の子供たちが、基地を乗っ取った宿敵フッドと戦うという、『スパイキッズ』に近いストーリーラインに変更されました。

うんちく3: 宿敵フッドは「オスカー俳優」

国際救助隊の宿敵であり、基地乗っ取りを企む「ザ・フッド」を演じたのは、映画『ガンジー』でアカデミー主演男優賞を受賞したイギリスの名優、サー・ベン・キングズレーです。

彼がこのようなファミリー映画の分かりやすい悪役を演じたことは、大きな驚きをもって迎えられました。

うんちく4: “戦う”レディ・ペネロープ

オリジナル版のペネロープは、気品あふれる貴族で、主に諜報活動(スパイ)を担当していました。

しかし、本作でソフィア・マイルズが演じたペネロープは、全身ピンクのファッションはそのままに、敵の部下とカンフー(格闘術)で渡り合うなど、非常にアクティブな「戦うヒロイン」として描かれています。

これは、2000年代の「強い女性像」を反映したキャラクター変更でした。

うんちく5: FAB-1はフォード製、しかも6輪!

ペネロープの愛車であるピンクのスーパーカー「FAB-1」は、オリジナル版では6輪のロールス・ロイスでした。

本作では、アメリカのフォード・モーターが全面的にタイアップ。

当時発売されていた新型フォード『サンダーバード』(自動車)のデザイン要素を取り入れた、まったく新しいFAB-1がデザインされました。

全長8メートルを超えるこの車は、オリジナルへのリスペクトから6輪であることが継承されており、さらに飛行形態や水中翼船形態への変形ギミックも搭載していました。

うんちく6: 日本語吹替版は「V6」が担当

本作の日本語吹き替え版では、トレーシー兄弟(+アランの友人ファーマット)の声を、当時人気絶頂だったアイドルグループ「V6」のメンバー6人が担当し、大きな話題となりました。

(坂本昌行:スコット、長野博:ジョン、井ノ原快彦:バージル、森田剛:アラン、三宅健:ゴードン、岡田准一:ファーマット)

うんちく7: オリジナルへの「皮肉な」オマージュ?

本作には、オリジナル版が「人形劇(スーパーマリオネーション)」であったことを意識した、ユニークな演出があります。

レビューなどによれば、劇中の登場人物がワイヤーで吊るされるシーンなどで、あえてオリジナル版の操り人形の「糸(ワイヤー)」を模したCGが描き加えられている部分があると言われています。

これがオリジナルへの敬意(オマージュ)なのか、あるいは「もう人形劇じゃない」という皮肉なのかは、ファンの間でも解釈が分かれています。

参考動画

まとめ

2004年の実写版『サンダーバード』は、オリジナル版が持つ「リアルなメカ特撮と大人のドラマ」を期待したファンにとっては、肩透かしとなる「子供向け」作品でした。

しかし、監督がジョナサン・フレイクスであったり、敵役にベン・キングズレーを起用したり、FAB-1のデザインにフォードが全面協力するなど、制作には多くの「うんちく」が詰まっています。

興行的には失敗に終わりましたが、オリジナル版とは全く異なる「もう一つのサンダーバード」として、その存在自体が今やトリビアの一つとなっています。

関連トピック

ジェリー・アンダーソン (Gerry Anderson): オリジナル版『サンダーバード』の生みの親。

ジョナサン・フレイクス (Jonathan Frakes): 本作の監督。『新スタートレック』のライカー副長役で有名。

ベン・キングズレー (Ben Kingsley): 宿敵フッドを演じたアカデミー賞俳優。

V6: 日本語吹き替え版でトレーシー兄弟たちの声を担当したアイドルグループ。

関連資料

『サンダーバード』 (2004年版 Blu-ray/DVD): 作品本編。賛否両論ありますが、まずは観てみることがうんちく理解の第一歩です。

フォード FAB-1 (ミニカー/プラモデル): フォード社デザインの6輪FAB-1は、そのユニークなデザインから模型が発売されています。

オリジナル版『サンダーバード』: 本作と比較するために、オリジナル版(人形劇)を観直すと、その違いがより鮮明にわかります。

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