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【伝説の鬱回】『謎の円盤UFO』第25話「宇宙人・地球逃亡!」を徹底解説!ストレイカー司令官が下した究極の決断とは

SF
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【伝説の鬱回】『謎の円盤UFO』第25話「宇宙人・地球逃亡!」を徹底解説!ストレイカー司令官が下した究極の決断とは

「宇宙人・地球逃亡!」の概要

1970年に制作され、今なおカルト的な人気を誇る英国SFドラマ『謎の円盤UFO(原題:UFO)』。

その全26話の中でも、視聴者に最大の衝撃とトラウマ、そして深い感動を与えたエピソードとして語り継がれているのが、第25話「宇宙人・地球逃亡!(原題:A Question of Priorities)」です。

この回は、単なるSFアクションの枠を超え、組織のリーダーとしての責任と、一人の父親としての情愛の板挟みを描いた、極めて重厚な人間ドラマとなっています。

なぜこのエピソードが「神回」と呼ばれ、同時に「最も悲しい物語」として評価されるのか。

本記事では、ネタバレを含みつつ、そのあらすじと見どころ、そしてストレイカー司令官の壮絶な生き様について詳細に解説します。

詳細:エピソードのあらすじと見どころ

エピソードのあらすじ:悲劇の始まり

物語は、ストレイカー司令官の別れた妻メアリーとの息子、ジョンが交通事故に遭い、危篤状態に陥るところから始まります。

ジョンの命を救うためには、アメリカのニューヨークにある特殊な抗生物質が至急必要でした。

一般のフライトでは間に合わないと判断したストレイカーは、SHADO(シャドー)の権限を行使し、組織の超音速輸送機を使って薬を空輸するよう手配します。

一刻を争う状況の中、父親としての顔を見せるストレイカー。しかし、運命は残酷な試練を与えます。

時を同じくして、謎のUFOがアイルランド沖に飛来したのです。

究極の選択:任務か、息子の命か

このUFOに乗っていた宇宙人は、なんと地球への亡命を希望していました。

もし彼を捕獲し、話を聞くことができれば、長年の謎であるUFOの動力源や母星の情報を入手できる千載一遇のチャンスとなります。

ストレイカーの右腕であるフリーマン大佐は現場に向かいますが、宇宙人の乗った機体とSHADOの追跡劇が激化。

ここで「優先順位(Priorities)」の問題が発生します。

薬を運ぶ輸送機のルートや管制リソースを、宇宙人の捕獲作戦のために変更・割愛しなければならない局面に立たされるのです。

「息子の薬を最優先させるか」「地球防衛のために宇宙人の亡命を受け入れるか」。

ストレイカーは苦渋の決断を迫られます。

衝撃の結末とストレイカーの孤独

結果として、ストレイカーは組織の長としての義務を全うする決断を下します(あるいは、状況がそれを強います)。

薬の到着はわずかに遅れ、病院に駆けつけたとき、息子ジョンは既に息を引き取っていました。

元妻メアリーからは「あなたが殺したのよ!」と激しく罵倒され、拒絶されます。

何も言い返さず、ただその憎しみを受け止めるストレイカー。

ラストシーン、SHADO本部に戻った彼は、誰にも感情を見せず、無言で司令官のデスクにつき、分厚い扉が閉ざされます。

このエンディングは、地球を守るという大義のために、個人の幸せや家族さえも犠牲にしなければならない「ヒーローの孤独」を冷徹に描ききっており、多くの視聴者の涙を誘いました。

作品としての評価と社会的影響

このエピソードは、『サンダーバード』などで知られるジェリー・アンダーソン作品が、完全に「大人向け」へと脱皮したことを象徴する回です。

ご都合主義的なハッピーエンドを排除し、リアリズムを徹底した脚本は、当時の子供番組の常識を覆しました。

「正義の味方は必ずしも報われない」「リーダーは孤独である」というテーマは、後の『新世紀エヴァンゲリオン』の碇ゲンドウの造形や、平成仮面ライダーシリーズなどのシリアスな特撮作品にも多大な影響を与えたと言われています。

視聴者は、ストレイカーの無表情の下にある激しい葛藤を想像し、その背中に哀愁を感じずにはいられません。

参考動画

まとめ

『謎の円盤UFO』第25話「宇宙人・地球逃亡!」は、エンターテインメント作品でありながら、人生における「選択」と「代償」について深く考えさせる名作です。

ストレイカー司令官の判断は正しかったのか、それとも間違っていたのか。その答えは視聴者一人ひとりに委ねられています。

しかし確かなことは、彼が払った犠牲の上に地球の平和が辛うじて保たれているという、劇中の重いリアリティです。

派手なアクションシーンだけでなく、こうした静かで重い人間ドラマこそが、本作が半世紀を超えて愛され続ける理由でしょう。

これから視聴する方は、ハンカチを用意して、ストレイカーの生き様を見届けてください。

関連トピック

エド・ストレイカー:SHADO最高司令官。金髪のカツラと冷徹な判断力を持つ本作の主人公

アレック・フリーマン:ストレイカーの親友であり右腕。人間味あふれる性格で司令官を支える大佐

ジェリー・アンダーソン:本作の製作総指揮。人形劇から実写ドラマへと活動の幅を広げたSF界の巨匠

起訴便宜主義:本件とは直接関係ないが、公的な判断における裁量権という視点で比較されることもある概念

関連資料

『謎の円盤UFO Blu-ray BOX』:高画質で蘇った本エピソードを含む全話を収録した映像ソフト

『ジェリー・アンダーソン自伝 サンダーバードを作った男』:本作の制作背景や、大人向けドラマへの転換について語られた書籍

『UFO: The Complete Book of Gerry Anderson’s UFO』:海外で出版されている、エピソードガイドや詳細な解説が載ったファンブック

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