【傑作SF】『謎の円盤UFO』第24話「UFO時間凍結作戦」を徹底解説!時が止まった世界で戦うストレイカーとレイク大佐の活躍
「UFO時間凍結作戦」の概要
1970年にイギリスで制作され、日本でも熱狂的なブームを巻き起こしたSFドラマ『謎の円盤UFO』。
数あるエピソードの中でも、SFならではの「時間の操作」というギミックと、緊迫感あふれるアクションが見事に融合した傑作として名高いのが、第24話(放送順によっては第20話や25話とされる場合もあり)「UFO時間凍結作戦(原題:Timelash)」です。
このエピソードは、敵である宇宙人が「時間の流れを極端に遅くする」という驚異的な兵器を使用し、SHADO(シャドー)本部を無力化しようとする物語です。
時が止まった静寂の世界で、唯一動くことができるストレイカー司令官とレイク大佐の孤独な戦いは、映像的な面白さとサスペンス要素が満載です。
本記事では、このエピソードのあらすじ、当時の撮影技術の凄さ、そしてストレイカーとレイク大佐の関係性など、見どころを余すところなく解説します。
詳細:静止した時の中で繰り広げられる死闘
エピソードのあらすじ:静止した世界への帰還
物語は、ストレイカー司令官とバージニア・レイク大佐が帰宅途中、SHADO本部との連絡が突如途絶えるところから始まります。
二人が本部の入り口である映画撮影スタジオに到着すると、そこには異様な光景が広がっていました。
守衛、スタッフ、そしてスタジオ内を歩く人々、すべてがマネキンのように静止していたのです。
さらに、空には見慣れない物体が浮かび、そこから発射されるレーザー光線さえもが、極めてゆっくりと地面に向かって進んでいました。
これは宇宙人が仕掛けた「時間凍結装置」による攻撃でした。時間の流れを数千分の一にまで引き延ばすことで、地球側の防御システムを無力化し、その隙に本部を破壊しようという計画です。
反撃の鍵は「加速装置」のような薬物
事態を把握したストレイカーは、以前開発されたものの、副作用の危険性が高く封印されていたある薬物の使用を決断します。
それは、人間の神経伝達と代謝を極限まで加速させる薬剤でした。
これを投与することで、自分たちの時間の感覚を加速させ、凍りついた時間(=宇宙人の攻撃時間)と同じ速度で動くことができるようになります。
しかし、この薬には激しい肉体的負担と、「使用後は急激に老化が進むかもしれない」という恐ろしい副作用のリスクがありました。
それでも地球を守るため、ストレイカーとレイク大佐は互いに注射を打ち、静止した時の中へと飛び込んでいきます。
見どころ1:特撮と演出の妙技
このエピソードの最大の魅力は、「時が止まった世界」の映像表現です。
CGがない時代において、この表現は主に「俳優が息を止めて動かない演技をする」ことと「編集技術」によって作られました。
コップからこぼれ落ちる水が空中で止まっている描写や、爆発の炎が固まっているシーンなど、ジェリー・アンダーソン作品ならではの特撮技術(ミニチュアワークと実写の合成)が光ります。
また、ストレイカーたちが運転する車が、道路上で静止している他の車を猛スピードで縫うように走り抜けるカーチェイスシーンは圧巻です。
「動」と「静」のコントラストが、画面に独特の緊張感を生み出しています。
見どころ2:レイク大佐の活躍と二人の絆
本作では、普段は司令室で指揮を執ることが多いレイク大佐が、現場の最前線でアクションを披露します。
彼女はストレイカーと対等に渡り合い、冷静に状況を分析し、時には司令官をサポートします。
演じるワンダ・ベンサムの凛とした美しさと、紫色のウィッグではない私服姿(ブロンドヘア)での活動が見られる点もファンには嬉しいポイントです。
極限状態の中で互いの命を預け合う二人の姿からは、上司と部下を超えた、プロフェッショナル同士の深い信頼関係(あるいはそれ以上の淡い感情)が垣間見えます。
結末と余韻
宇宙人の装置を破壊し、時間を元に戻すことに成功した二人ですが、ラストシーンでは薬の副作用に苦しむ姿が描かれます。
病院のベッドで包帯を巻かれ、一時的に老人のような姿になりながらも回復を待つストレイカー。
勝利の代償として肉体を酷使するSHADO隊員の過酷な現実が、ハッピーエンドの中にもほろ苦い余韻を残します。
単なるアクション活劇で終わらせない、このシリーズ特有のリアリティが凝縮されたエピソードと言えるでしょう。
参考動画
まとめ
第24話「UFO時間凍結作戦」は、SFとしてのアイデアの秀逸さと、映像的な面白さが完璧に噛み合った『謎の円盤UFO』屈指のエンターテインメント回です。
「自分たちだけが動ける世界」というシチュエーションは、その後の多くのSF作品やアニメにも影響を与えました。
また、普段は冷徹な司令官として描かれるストレイカーが、自ら危険な薬物を投与して前線に立つ姿は、彼の責任感の強さと地球防衛への執念を改めて浮き彫りにしています。
レイク大佐とのコンビネーションも含め、未見の方はもちろん、往年のファンも改めて見返すことで新しい発見があるエピソードです。
CG全盛の現代だからこそ、知恵と工夫で作り上げられた「アナログ特撮の魔法」をぜひ堪能してください。
関連トピック
バージニア・レイク大佐:物語後半から登場するSHADOの主要メンバー。知的で行動力のある女性指揮官
ワンダ・ベンサム:レイク大佐を演じた女優。実は俳優ベネディクト・カンバーバッチの実母としても知られる
特殊撮影技術:ミニチュアや合成を駆使したアンダーソン作品独自のアナログ特撮技法
サイコドラマ:本作はアクションだけでなく、極限状態における人間の心理描写にも重点を置いている
関連資料
『謎の円盤UFO コレクターズBOX』:全話を収録したDVD/Blu-ray BOX。映像特典でメイキングが見られることも
『ジェリー・アンダーソン SF特撮DVDコレクション』:デアゴスティーニから発売された分冊百科。詳細な解説書が付属
オリジナル・サウンドトラック:バリー・グレイ作曲による、緊迫感を高める劇伴音楽が収録されたCD
