【徹底解説】『ウッディー・ウッドペッカー』USJの顔!あの「笑い声」の秘密や誕生秘話、歴代アニメの変遷を総まとめ
概要
『ウッディー・ウッドペッカー』(原題:Woody Woodpecker)は、1940年にアメリカで誕生した、キツツキ(ウッドペッカー)をモチーフにしたアニメーション・キャラクターです。
制作はウォルター・ランツ・プロダクション。配給はユニバーサル・ピクチャーズ。
鮮やかな赤、白、青のトリコロールカラーの体と、一度聞いたら忘れられない「アハハハーハ!アハハハーハ!」という甲高い引き笑いがトレードマークです。
日本では、2001年のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)開業以来、パークを象徴するメインキャラクターとして親しまれていますが、彼のアニメーションデビューは古く、実に80年以上の歴史を持っています。
初期の彼は、現在のフレンドリーな姿からは想像もつかないほどクレイジーで、デザインもかなりグロテスク(!)な「狂気じみた鳥」でした。
しかし、時代とともにデザインが洗練され、性格もマイルドになり、ミッキーマウスやバッグス・バニーと並ぶアメリカン・アニメーションの黄金期を支えるスターへと成長しました。
短編映画時代にはアカデミー賞にノミネートされ、ハリウッドの「ウォーク・オブ・フェイム」にその名を刻むなど、輝かしい功績を持つウッディー。
この記事では、意外と知られていない彼の誕生のきっかけとなった「新婚旅行での騒音事件」や、あの笑い声を担当した意外な人物、そして宿敵とのドタバタバトルの魅力を余すところなく解説します。
パークで彼に会ったことがある人も、懐かしのアニメ世代も、読めばきっと彼をもっと好きになるはずです。
オープニング
YouTubeの「Woody Woodpecker」公式チャンネルより、ウッディーの魅力(と狂気)が詰まったクラシック短編の傑作選をご紹介します。
冒頭からあの笑い声が炸裂します。
詳細(徹底解説)
誕生秘話:新婚初夜を邪魔した迷惑な鳥
ウッディーの誕生には、作者ウォルター・ランツの実体験に基づいた有名なエピソードがあります。
1940年、ランツが妻のグレイスとカリフォルニアの山小屋で新婚旅行を楽しんでいたときのこと。
屋根の上から「ダダダダダ!」という凄まじい音が響き渡り、二人のロマンチックな時間を台無しにしました。
正体は、屋根に穴を開けようとしていた一羽のキツツキ(ドングリキツツキと言われています)。
怒ったランツは石を投げて追い払おうとしましたが、キツツキは全く動じず、それどころか独特の鳴き声を上げて飛び回りました。
さらに、その後の豪雨で、キツツキが開けた穴から雨漏りまでする始末。
カンカンに怒るランツに対し、妻のグレイスはこう言いました。「そんなにエネルギーのある鳥なら、アニメのキャラクターにしちゃえば?」
こうして、世界一騒がしい鳥、ウッディー・ウッドペッカーが生まれたのです。
歴史と変遷:狂気から可愛らしさへ
ウッディーのデザインと性格は、時代によって大きく3つの段階に分けられます。
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初期(1940年代前半):クレイジーな変人
デビュー作『キツツキとパンダ一家(Knock Knock)』などに登場する初期のウッディーは、目が飛び出し、歯がむき出しで、足が太い、かなり野性味あふれるデザインでした。
性格も「陽気」というよりは「狂気」に近く、理由もなく他人に迷惑をかけ、ひたすら暴れまわるトラブルメーカーでした。この頃の予測不能なバイタリティは、今でも一部のファンから熱狂的に支持されています。 -
中期(1940年代後半〜50年代):洗練されたスター
監督にベテランのアニメーターたちが加わったことで、デザインが洗練されていきます。
体が小さく可愛らしくなり、瞳が黒目がちになり、現在のUSJで見かける姿に近づきました。
性格も、ただ暴れるだけでなく、悪役(ウォーリー・ウォーラスやバズ・バザード)を知恵でやり込める「賢いヒーロー」の側面が強くなりました。
1947年の『The Woody Woodpecker Song』が大ヒットし、アカデミー歌曲賞にノミネートされたのもこの時期です。 -
後期(1960年代以降):テレビの人気者
テレビシリーズ『ウッディー・ウッドペッカー・ショー』が始まると、より子供向けの親しみやすいキャラクターへと変化しました。
他のキャラクター(チリー・ウィリーなど)との共演も増え、ユニバーサルの顔としての地位を確立しました。
「あの笑い声」の秘密と声優のドラマ
ウッディーの代名詞である「アハハハーハ!アハハハーハ!アハハハハハハハ!」という笑い声。
最初にこの声を演じたのは、『ルーニー・テューンズ』のバッグス・バニー役でも知られる伝説の声優、メル・ブランクでした。
しかし、彼がスタジオを去った後、誰がこの難しい笑い声を引き継ぐかが問題となりました。
ランツはオーディションを行いましたが、納得いく声が見つかりません。
そんな中、ランツの妻であるグレイス・スタッフォードが、夫に内緒で自身の声を録音したテープを紛れ込ませました。
ランツは誰の声か知らずにそのテープを選び、「これこそウッディーだ!」と絶賛。
実は、最も長くウッディーの声を担当し、あの愛らしい笑い声を定着させたのは、モデルの提案者でもある妻のグレイスだったのです。
特筆すべき見どころ:スラップスティックの極み
『ウッディー・ウッドペッカー』の真骨頂は、理屈抜きのドタバタ(スラップスティック)コメディです。
木をつついて家を倒壊させる、ダイナマイトが爆発しても黒焦げになるだけ、高いところから落ちても平気。
こうした「マンガ的物理法則」をフル活用したスピード感あふれる展開は、言葉がわからなくても笑える普遍的な面白さを持っています。
特に、食事にありつくために詐欺師まがいの変装をしたり、宿敵と壮絶な追いかけっこをしたりするエピソードは、ストレス解消に最適です。
キャストとキャラクター紹介
ウッディー・ウッドペッカー (Woody Woodpecker)
声:メル・ブランク / グレイス・スタッフォード ほか
日本語吹替:山寺宏一 / 渡部猛 / 林勇 ほか
陽気でいたずら好きなキツツキ。
赤い頭の毛(冠羽)と大きなクチバシが特徴。
基本的には善良ですが、一度スイッチが入ると手がつけられません。つつく速度はマシンガンの如し。
ウィニー・ウッドペッカー (Winnie Woodpecker)
ウッディーのガールフレンド。
見た目はウッディーに似ていますが、まつ毛が長く、スカートを履いています。
USJではウッディーと一緒にグリーティングに登場する人気者。しっかり者でウッディーをたしなめることも。
ウォーリー・ウォーラス (Wally Walrus)
スウェーデン訛りのあるセイウチ。
ウッディーの隣人や大家として登場し、静かな生活をウッディーに邪魔される被害者役が多いです。
バズ・バザード (Buzz Buzzard)
悪賢いハゲタカ。
ウッディーを騙して金儲けをしようとしたり、食べようとしたりする真の悪役(ヴィラン)。
しかし最後は必ずウッディーに酷い目に遭わされます。
チリー・ウィリー (Chilly Willy)
南極に住む寒がりなペンギン。
ウッディーの番組内で放送される別コーナーの主人公ですが、人気が高く共演することも。
いつもニット帽をかぶっている無口で可愛いキャラクターですが、実はかなりの策略家。
キャストの経歴(原語版)
- ウォルター・ランツ (Walter Lantz)
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ウッディーの生みの親であり、プロデューサー。
ディズニーやワーナーと並ぶアニメ界の巨匠。
晩年は実写パートで番組に登場し、ウッディー(のアニメ)と会話しながら絵の描き方を教えるコーナーが人気でした。
1979年にアカデミー名誉賞を受賞。授賞式にはアニメのウッディーも「出席」しました。 - グレイス・スタッフォード (Grace Stafford)
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ランツの妻であり、ウッディーの「育ての親」とも言える声優。
当初は「女性が男の子の声をやるなんて」とクレジットを隠していましたが、後に公表され、彼女の演技はウッディーに温かみと愛嬌を与えました。
まとめ(社会的評価と影響)
『ウッディー・ウッドペッカー』は、テレビ時代の到来といち早く手を組んだことで、アメリカの朝の顔として定着しました。
その文化的影響力はすさまじく、NASAのミッションの愛称に使われたり、パンク・ロックバンドのアイコンになったりと、サブカルチャーの世界でも愛されています。
日本においては、やはりUSJでの活躍が欠かせません。
ミッキーマウスやスヌーピーといった強力なライバルがいる中で、USJという巨大なテーマパークの「ホスト」として、毎日ゲストを迎え入れ、パレードの先頭に立つ彼の姿は、日本独自の「ウッディー文化」を築き上げました。
2017年には実写とCGを融合させた映画も制作されるなど、誕生から80年を超えてもなお、その高笑いは世界中に響き渡っています。
作品関連商品
- グッズ:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のパーク内および公式オンラインストアが最大の供給源です。カチューシャ、ぬいぐるみ、Tシャツなど膨大な種類があります。
- DVD:『ウッディー・ウッドペッカー ドタバタ大騒動』などの傑作選DVDが発売されています(現在は中古市場が中心)。
- YouTube:公式チャンネル「Woody Woodpecker」では、新作の短編アニメや過去の名作が高画質で配信されており、子供たちの新たなファン層を獲得しています。

