YouTubeで「LUCIFER/ルシファー」
概要
DCコミックスの「サンドマン」に登場するキャラクターをベースにした、異色のファンタジー・刑事ドラマです。
地獄の王としての役割に飽き飽きした堕天使ルシファー・モーニングスターが、王座を放棄してロサンゼルスへ「休暇」にやってきます。
高級ナイトクラブ「Lux(ラックス)」のオーナーとして享楽的な日々を送っていた彼は、ある殺人事件をきっかけにLAPD(ロス市警)の美人刑事クロエ・デッカーと出会い、コンサルタントとして犯罪捜査に協力することになります。
悪魔ならではの能力とチャーミングな魅力、そして人間味あふれる葛藤を描いた本作は、一度打ち切られながらもファンの熱烈な署名活動によって復活した伝説的なシリーズです。
オープニング
セクシーで危険な香りが漂う、作品の象徴的なオープニング・トレーラーはこちらです。
詳細
物語の主人公は、神によって地獄の支配を任された堕天使ルシファー・モーニングスターです。
彼は永遠に罪人を罰する仕事に嫌気が差し、地獄の鍵を捨てて、欲望渦巻く街ロサンゼルスへと舞い降ります。
そこで彼は、悪魔の力で富と名声を手に入れ、高級ナイトクラブ「Lux」のオーナーとして、酒と女性と音楽に溺れる優雅な引退生活を送っていました。
しかし、彼の目の前で知人が殺害された事件をきっかけに、ロサンゼルス市警の刑事クロエ・デッカーと出会います。
ルシファーには「相手の目を見つめるだけで、その人間が抱く秘めたる欲望を告白させる」という魔法の力(通称:mojo)がありますが、なぜかクロエにだけはその力が通用しません。
さらに、不死身のはずの彼が、クロエの近くにいる時だけは傷つき、血を流すようになるという不可解な現象が起きます。
自分を特別扱いしない彼女に興味を持ったルシファーは、警察の民間コンサルタントとなり、クロエとバディを組んで数々の難事件を解決していきます。
物語は、一話完結の刑事ドラマとしての面白さと、天使や悪魔、神々が絡む壮大な「天界の家族喧嘩」という二つの軸で進行します。
ルシファーを地獄へ連れ戻そうとする堅物の天使(兄)アメナディエル、ルシファーを慕って地上へついてきた魔物(親友)メイズ、ルシファーの正体を知らずに悩みを聞くセラピストのリンダ博士、そしてクロエの元夫でありルシファーに「ダン刑事(通称:探偵野郎)」といじられるダンなど、個性豊かなキャラクターたちが脇を固めます。
シリーズ中盤では、母親である「万物の女神」が地獄から脱走したり、最初の殺人者カインが登場したり、双子の兄弟ミカエルが陰謀を企てたりと、天界と地獄を巻き込んだ騒動が勃発します。
本作の最大のエピソードは、作品自体の存続にまつわるドラマです。
当初FOXで放送されていた本作は、シーズン3でクリフハンガー(続きが気になる終わり方)のまま打ち切りが発表されました。
しかし、世界中のファン(ルシファン)がSNSで「#SaveLucifer」という大規模な救済キャンペーンを展開し、その熱意に動かされたNetflixが権利を買い取り、シーズン4以降の制作を決定しました。
Netflix版となってからは、よりダークでセクシーな描写が可能になり、物語の深みが増しました。
最終となるシーズン6では、ルシファーがついに自らの運命と向き合い、「神になるのか、それとも別の道を選ぶのか」という究極の選択を迫られます。
未来から来た謎の娘ロリーとの対峙を経て、彼が見出したのは「罰を与える地獄の王」ではなく、「罪悪感に苦しむ魂を救済するセラピスト」という新たな役割でした。
地獄の玉座に座るのではなく、患者の悩みを聞くカウンセリングルームのような部屋で物語が終わるラストシーンは、自己肯定と贖罪(しょくざい)というテーマを見事に描ききり、多くの視聴者の涙を誘いました。
キャスト
- ルシファー・モーニングスター:トム・エリス
- クロエ・デッカー:ローレン・ジャーマン
- アメナディエル:D・B・ウッドサイド
- メイズ(マジキーン):レスリー=アン・ブラント
- ダン・エスピノーザ:ケヴィン・アレハンドロ
- リンダ・マーティン:レイチェル・ハリス
- トリクシー・エスピノーザ:スカーレット・エステベス
- エラ・ロペス:エイミー・ガルシア
- シャーロット・リチャーズ(女神):トリシア・ヘルファー
- イヴ:インバー・ラヴィ
- ミカエル:トム・エリス(二役)
- ロリー:ブリアナ・ヒルデブランド
キャストの代表作品名
- トム・エリス:『ミランダ』、『RUSH 〜スキャンダルな外科医』、『ワンス・アポン・ア・タイム』
- ローレン・ジャーマン:『シカゴ・ファイア』、『ホステル2』、『HAWAII FIVE-0』
- D・B・ウッドサイド:『24 -TWENTY FOUR-』、『バフィー 〜恋する十字架〜』、『SUITS/スーツ』
- レスリー=アン・ブラント:『スパルタカス』、『GOTHAM/ゴッサム』
- ケヴィン・アレハンドロ:『トゥルーブラッド』、『ARROW/アロー』
- レイチェル・ハリス:『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』、『SUITS/スーツ』
- エイミー・ガルシア:『デクスター 警察官は殺人鬼』、『ロボコップ(2014)』
まとめ
『LUCIFER/ルシファー』は、単なるスーパーナチュラル・ドラマの枠を超え、自己受容と成長、そして家族の許しを描いたヒューマンドラマとして高い評価を得ています。
主演のトム・エリスが放つ、英国紳士的な気品と悪魔的なセクシーさが同居したカリスマ性は、世界中のファンを虜にしました。
劇中で彼が披露するピアノの弾き語りや歌唱シーンも大きな見どころの一つです。
Rotten Tomatoesなどの批評サイトでもシーズンを重ねるごとに評価が上がり、特にNetflix移行後のシーズンは高スコアを維持しました。
「悪魔=絶対悪」という固定観念を覆し、悪魔でさえも変わりたいと願い、愛を知ることで成長できるというメッセージは、現代社会に生きる多くの人々の共感を呼びました。
打ち切りの危機を乗り越え、キャスト、スタッフ、そしてファンが一体となって完結まで駆け抜けた本作は、ストリーミング時代における「ファンが救ったドラマ」の象徴的な成功例として語り継がれています。
作品関連商品
- 原作コミック:ニール・ゲイマン他『サンドマン』シリーズ、スピンオフ『Lucifer』(DCコミックス/Vertigo)
- 映像ソフト:『LUCIFER/ルシファー』コンプリート・シリーズ DVD/Blu-ray
- 音楽:『Lucifer: Seasons 1-5 (Original Video Game Soundtrack)』※劇中歌集など
- 関連グッズ:Funko POP! テレビシリーズ「ルシファー」、公式Tシャツ

