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【伝説の回】住民全員が一夜で消失…『秘密指令S』屈指のミステリー「消えた村」を完全解説

サスペンス・ミステリー
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【伝説の回】住民全員が一夜で消失…『秘密指令S』屈指のミステリー「消えた村」を完全解説

「消えた村」の概要

1960年代後半に一世を風靡した英国のスパイ・アクションドラマ『秘密指令S(Department S)』。

その中でも、視聴者に強烈なインパクトを与えたエピソードの一つが、第4話「消えた村(原題:The Pied Piper of Hambledown)」です。

物語は、イギリスののどかな村「ハンブルダウン」で幕を開けます。ある朝、一人の少女が目覚めると、家族はおろか、村の住民全員が忽然と姿を消していました。

食卓には湯気の立つスープが残され、家畜は鳴き声を上げているのに、人間だけがいない――まるで「マリー・セレスト号」の事件が陸上で起きたかのような不気味な導入部は、放送当時多くの視聴者を釘付けにしました。

この記事では、SF的な謎とサスペンスが見事に融合した本エピソードのあらすじ、ジェイソン・キングらDepartment Sメンバーの活躍、そして驚愕の真相について詳しく解説します。

「消えた村」の詳細

ストーリー:ゴーストタウンと化した平和な村

ロンドンからそう遠くない田舎町、ハンブルダウン。ある夜、この村で不可解な出来事が発生します。

翌朝、ビューティーコンテスト出場のために睡眠薬を飲んで熟睡していた少女スーザンが目を覚ますと、家の中はもぬけの殻でした。

外に出ても人の気配はなく、郵便局もパブも無人。しかし、作りかけの料理や飲みかけのビールがそのまま残されており、ついさっきまでそこに人がいたような生活感が漂っています。

パニックに陥ったスーザンの通報を受け、インターポールの「Department S」が出動します。

捜査:ジェイソン・キングの推理

現場に到着したスチュワート、アナベル、ジェイソンの3人は、この奇妙な状況に困惑します。

集団移動の痕跡はなく、争った形跡もありません。まるで「ハーメルンの笛吹き男(The Pied Piper)」に連れ去られたかのように、村人たちは煙のように消えてしまったのです。

作家のジェイソン・キングは、いつものように無人のパブで酒を拝借しながら、「これは集団催眠か、あるいは宇宙人の仕業か?」と突飛な推理を展開します。

一方、スチュワートとアナベルは、村の周辺を調査し、ある一つの不審な点に気づきます。それは、村の有力者であるローリング大佐の屋敷だけが、厳重な警備に守られ、沈黙を守っていることでした。

真相:狂気のウイルス計画

(※ここからネタバレを含みます)

捜査の結果、Department Sは恐るべき事実にたどり着きます。

事件の黒幕は、地元の名士であるローリング大佐でした。彼は極秘裏に「戦争をなくすための兵器」として、致死性はあるが短時間で消滅する特殊なウイルスを開発していました。

しかし、輸送中の事故によりウイルスのサンプルが村の近くで漏洩してしまいます。

感染拡大、あるいは実験の発覚を恐れた大佐は、私兵を使って一夜にして村人全員を拉致し、自身の屋敷の地下にある巨大な洞窟(隔離施設)に監禁していたのです。

村人たちが「消えた」のではなく、物理的に「地下に移された」だけだったという、大規模かつ物理的なトリックでした。

最終的にスチュワートたちが大佐の私兵と銃撃戦を繰り広げ、ジェイソンの機転(と運)も手伝って村人たちを解放することに成功します。

エピソードの魅力

この「消えた村」は、『アベンジャーズ』や『プリズナーNo.6』といった同時代のITC作品にも通じる、「日常が突然非日常に反転する恐怖」を見事に描いています。

また、緊迫した状況でもマイペースに酒を飲み、敵に捕まっても皮肉を忘れないジェイソン・キングのキャラクターが、シリアスな展開に独特のユーモアを添えています。

「消えた村」の参考動画

まとめ

『秘密指令S』の「消えた村」は、派手な爆発やカーチェイスだけでなく、「なぜ人間だけが消えたのか?」という純粋なミステリーの面白さで視聴者を惹きつける名作です。

冒頭の誰もいない村の静寂と、後半のアクション満載の解決編とのコントラストは、まさに60年代英国スパイドラマの真骨頂と言えるでしょう。

現代の視点で見ても色褪せないこのサスペンスフルな物語は、ミステリーファンなら一度は見ておきたいエピソードです。

関連トピック

マリー・セレスト号事件 – 航海中の船から乗員乗客が全員消えた、歴史的に有名な未解決事件。本作のモチーフの一つ。

ハーメルンの笛吹き男 – 原題の由来となったドイツの民間伝承。子供たちが笛の音に誘われて消えてしまう物語。

ピーター・ウィンガード – ジェイソン・キング役の俳優。彼のカリスマ性が本作の人気を支えた。

ITCエンターテインメント – 本作を制作した会社。『サンダーバード』や『スペース1999』など数々の名作を世に送り出した。

関連資料

DVD『秘密指令S DVD-BOX』 – 全28話を収録したDVDボックス。日本語字幕付きで楽しめる。

書籍『ITC大全』 – ITC作品の全貌を網羅したデータブック。各エピソードの解説も詳しい。

サウンドトラック『Department S / Jason King』 – エドウィン・アストレイによるスリリングな劇伴を収録したCD。

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