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【徹底解説】映画『デイブレイカーズ』の評価は?あらすじから衝撃の結末、キャスト、深い考察まで総まとめ

SF
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【徹底解説】映画『デイブレイカーズ』の評価は?あらすじから衝撃の結末、キャスト、深い考察まで総まとめ

概要

2009年(日本公開は2010年)に公開された映画『デイブレイカーズ』(原題: Daybreakers)は、従来のヴァンパイア映画が持っていたロマンティックな常識を根底から覆した、近未来SFアクション・スリラーの傑作です。
メガホンを取ったのは、後に『プリデスティネーション』や『ジグソウ:ソウ・レガシー』などで卓越した手腕を発揮するオーストラリア出身の鬼才、マイケル&ピーター・スピエリッグ兄弟です。
物語の舞台は、未知のウイルスの蔓延によって全人類の約95%がヴァンパイアと化してしまった2019年の地球。
そこではヴァンパイアたちが社会の主導権を握り、人間が「絶滅危惧種」かつ「食糧」として扱われるという、逆転のディストピアが構築されています。
当時のハリウッドでは『トワイライト』シリーズの大ヒットにより美しくロマンティックな吸血鬼像がブームとなっていましたが、本作はそれに対するアンチテーゼのように、徹底したリアリズムと社会風刺を込めて制作されました。
主演には、知性派俳優として名高いイーサン・ホークを迎え、彼を取り巻く重要人物としてウィレム・デフォーサム・ニールといった超豪華ベテランキャストが顔を揃えています。
ヴァンパイア社会が直面する「血液資源の枯渇」というテーマは、現代社会における化石燃料の枯渇や食糧危機、行き過ぎた資本主義への痛烈なメタファーとなっており、単なるホラーアクションの枠に収まらない深いメッセージ性を持っています。
スリリングな展開と残酷ながらも美しい映像美によって、今なお多くの映画ファンからカルト的な人気を集め、高く評価され続けている一作です。

オープニング

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:日常化されたヴァンパイア社会

本作の最も秀逸な点は、ヴァンパイアたちの生活を「超常現象」ではなく、極めて現実的な「社会システム」として描いているところにあります。
彼らは不老不死の体を手に入れましたが、日光に当たると燃え尽きてしまうという弱点はそのままです。
そのため、都市のインフラはすべて夜間を中心に稼働するか、昼間でも活動できるように徹底的な遮光対策が施されています。
人々(ヴァンパイア)はスーツを着て地下鉄で通勤し、街角のコーヒースタンドではミルクの代わりに「人間の血液(ブラッド)」を20%ブレンドしたコーヒーが売られています。
車のフロントガラスには日光を遮断する分厚いシールドが張られ、運転手は車載カメラの映像をモニターで確認しながら昼間の街を運転するという、非常に緻密で理にかなったSF設定が観客の心を掴みます。
しかし、この完璧に見える社会には、すでに崩壊の足音が迫っていました。
主食である人間の数が激減し、世界的な「血液不足」に陥っていたのです。
血液を長期間摂取できなかったヴァンパイアは、理性を失い、コウモリのような醜悪な怪物「サブサイダー」へと変異してしまいます。
主人公のエドワード・ダルトンは、血液供給を独占する巨大企業「プロマエド社」で代用血液の開発に取り組む優秀な血液学者ですが、自らの種族のあり方に強い嫌悪感を抱き、密かに人間の血を飲むことを拒み続けていました。
そんなある夜、彼は逃亡中の人間の生き残りグループと偶然遭遇したことで、世界の運命を大きく変えることになる「治療法」の存在を知ることになります。

シーズン/章ごとの展開:治療法を巡る決死のサバイバル

物語は、エドワードが人間グループのリーダーであるオードリー、そして「かつてヴァンパイアだったが人間に戻った」という奇跡の男、ライオネル・”エルヴィス”・コーマックと出会うことで大きく動き出します。
エルヴィスは、日光に焼かれながら川に転落したことで、偶然にも人間に戻ることができたと語ります。
この証言をもとに、エドワードは「適度な太陽光による細胞の燃焼と、直後の急激な冷却」が治療の鍵であるという仮説を立て、自らの体を使って命がけの人体実験に挑みます。
ワイン樽と太陽光を利用したスリリングな実験シーンは、手に汗握る緊迫感に満ちており、本作の大きな見せ場の一つです。
見事に人間に戻ることに成功したエドワードたちでしたが、彼らの前には、利益を独占するために代用血液の開発を優先し、人間への回帰など全く望んでいないプロマエド社のCEO、チャールズ・ブロムリーが立ちはだかります。
人類を救うための「光」を手に入れたエドワードと、権力と不死の維持に固執するブロムリーとの間で、壮絶な戦いの幕が切って落とされるのです。

特筆すべき見どころ:衝撃の結末と「血の連鎖」

本作を語る上で絶対に外せないのが、終盤で明かされる「もう一つの治療法」と、それに伴う狂気の大殺戮(フィーディング・フレンジー)のシークエンスです。
エドワードたちは、太陽光による治療だけでなく、「人間に戻った者の血を飲んだヴァンパイアもまた、人間に戻る」という驚愕の事実を発見します。
つまり、治療された人間の血そのものが、ヴァンパイアウイルスを駆逐する「ワクチン」となっていたのです。
クライマックスのプロマエド社内において、人間に戻ったブロムリーは、自社のヴァンパイア兵士たちに血を吸い尽くされて絶命します。
しかし、ブロムリーの血を飲んだ兵士たちは次々と人間に戻り、今度はまだヴァンパイアである他の兵士たちの餌食となっていくのです。
人間になる→仲間から食われる→食った仲間が人間になる→さらに別の仲間に食われる、という果てしない共食いの連鎖は、恐ろしくもどこか滑稽であり、資本主義の「搾取の構造」を視覚化したかのような強烈なインパクトを残します。
スピエリッグ兄弟の容赦ないゴア描写と、皮肉に満ちたブラックユーモアが見事に融合した、映画史に残る名ラストシーンと言えるでしょう。

制作秘話・トリビア:こだわりの特殊メイクと舞台裏

本作の制作予算は約2,000万ドル(約20億円)と、ハリウッドのSF大作としては比較的低予算で作られています。
しかし、スピエリッグ兄弟の故郷であるオーストラリアのクイーンズランド州で撮影を行い、既存のロケーションを巧みに加工することで、説得力のある近未来都市を見事に作り上げました。
また、理性を失った怪物「サブサイダー」の特殊メイクや造形デザインは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでアカデミー賞を受賞した世界最高峰の工房「ウェタ・ワークショップ」が手掛けています。
CGに頼りすぎず、実体感のある特殊メイクを多用したことで、サブサイダーの不気味さと悲哀がより一層際立っています。
さらに、劇中で印象的に使用されるケイト・ブッシュの名曲「Running Up That Hill(神秘の丘)」のカバー・バージョン(Placeboによる演奏)は、絶望的な世界観と登場人物たちの悲壮な決意を見事に代弁しており、サウンドトラックの中でも特に高い人気を誇っています。

キャストとキャラクター紹介

エドワード・ダルトン:イーサン・ホーク/吹替:咲野俊介

  • プロマエド社に勤務する優秀な血液学者。
    人間を狩ることに強い罪悪感を抱き、自らは動物の血で飢えをしのいでいる心優しい青年。
    「不死」という呪縛から解放されることを誰よりも望んでおり、危険な人体実験にも躊躇なく身を投じます。
    彼のメランコリックな表情と苦悩する姿が、作品全体に深い文学的な香りを与えています。

ライオネル・“エルヴィス”・コーマック:ウィレム・デフォー/吹替:大塚芳忠

  • かつてヴァンパイアだったが、偶然の事故をきっかけに人間に戻った男。
    クラシックカーを愛し、ボウガンを武器にヴァンパイアと戦うタフなサバイバーです。
    シリアスな展開が続く中で、彼のどこか飄々としたユーモアと野性味あふれる行動力が、物語に絶妙なアクセントを加えています。

チャールズ・ブロムリー:サム・ニール/吹替:小川真司

  • 血液供給の大部分を牛耳る巨大企業「プロマエド社」の冷酷なCEO。
    人間を単なる「資源」としか見ておらず、利益と不死の権力を維持するためには実の娘の命さえも平気で切り捨てます。
    冷徹なビジネスマンの顔の裏に隠された、底知れぬ狂気を見事に体現しています。

オードリー・ベネット:クローディア・カーヴァン/吹替:林真里花

  • 人間の生き残りグループを率いる、強くて美しい女性リーダー。
    絶望的な状況下でも人間としての尊厳を失わず、エドワードの良心を信じて彼と共に「治療法」の普及を目指します。
    アクションシーンでも見事な身のこなしを披露しています。

フランキー・ダルトン:マイケル・ドーマン/吹替:平川大輔

  • エドワードの弟であり、ヴァンパイア軍に所属する兵士。
    人間を思いやる兄とは対照的に、ヴァンパイアとしての生を肯定し、軍の任務を冷酷にこなします。
    しかし、心の奥底では兄への複雑な愛情と、変わりゆく世界に対する不安を抱えており、物語の終盤で重要な決断を下すことになります。

アリソン・ブロムリー:イザベル・ルーカス

  • チャールズ・ブロムリーの愛娘。
    人間であることを望み、ヴァンパイアになることを拒絶していましたが、父親の身勝手な命令によって強制的に転化させられてしまいます。
    その後、人間の血を飲むことを拒否し続けた結果、おぞましいサブサイダーへと変異してしまう悲劇のヒロインです。

キャストの代表作品と経歴

主人公エドワードを演じたイーサン・ホークは、『恋人までの距離(ディスタンス)』などのビフォア・シリーズで知られる恋愛映画の名手であると同時に、『ガタカ』や『トレーニング デイ』など、SFやサスペンスでも強烈な印象を残すハリウッド屈指の演技派俳優です。
本作では、静かなる狂気と知性を併せ持つヴァンパイア役を見事に演じ切りました。
エルヴィス役のウィレム・デフォーは、『プラトーン』での伝説的な演技や、『スパイダーマン』のグリーン・ゴブリン役で知られる怪優。
本作でも、その圧倒的な存在感と独特の顔立ちを生かし、観客の目を釘付けにします。
そして最大のヴィランであるブロムリーを演じたサム・ニールは、『ジュラシック・パーク』のアラン・グラント博士役であまりにも有名ですが、『マウス・オブ・マッドネス』や『イベント・ホライゾン』など、ホラーやSFスリラーにおいても数々の名演を残しており、本作の冷酷無比な社長役は彼のキャリアの中でも屈指の悪役として評価されています。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『デイブレイカーズ』は、公開当初から「全く新しいヴァンパイア映画の誕生」として、批評家や映画ファンから熱狂的な支持を集めました。
辛口で知られる映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」でも高いフレッシュネス(好意的な評価)を獲得しており、特にスピエリッグ兄弟の独創的な世界観の構築力と、無駄のないソリッドな演出が高く評価されています。
本作が突きつける「資源が枯渇した時に、支配階級は弱者をどう扱うのか」という問いは、公開から10年以上が経過し、気候変動や格差社会がより深刻化した現代において、ますますリアリティを持って響くようになっています。
SFアクションの爽快感、ホラーの恐怖、そして社会派ドラマの奥深さを兼ね備えた本作は、何度見返しても新しい発見がある、真の傑作エンターテインメントと言えるでしょう。

作品関連商品

  • Blu-ray / DVD:『デイブレイカーズ [Blu-ray]』。
    スピエリッグ兄弟こだわりの、冷たく青味がかった近未来の映像美と、鮮血のコントラストを最大限に楽しむためには、高画質なBlu-rayでの視聴が絶対におすすめです。
    メイキング映像などの特典も充実しています。
  • オリジナル・サウンドトラック:作曲家クリストファー・ゴードンによる、美しくも不穏なオーケストラスコアが収録されています。
    先述したPlaceboによる「Running Up That Hill」も聴きどころの一つです。
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