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【徹底解説】映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』はなぜ大コケした?あらすじから巨大クモの裏話、豪華キャストまで総まとめ

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【徹底解説】映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』はなぜ大コケした?あらすじから巨大クモの裏話、豪華キャストまで総まとめ

概要:スチームパンクと西部劇が融合した、ハリウッド屈指の愛すべき超大作

映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(原題:Wild Wild West)は、1999年に公開されたアメリカのSF西部劇アクションコメディ映画です。
1960年代にカルト的な人気を博したテレビシリーズ『0088/ワイルド・ウエスト』をベースに、当時の最新VFX技術と莫大な製作費を投じてリブートされた野心的な超大作となっています。
メガホンを取ったのは、『アダムス・ファミリー』や『メン・イン・ブラック』などの大ヒットシリーズで知られ、独特のブラックユーモアとスタイリッシュな映像美を得意とするバリー・ソネンフェルド監督です。
主演には、当時『インデペンデンス・デイ』や『メン・イン・ブラック』の連続メガヒットにより、ハリウッドの頂点に君臨し「最も稼ぐ俳優」と呼ばれていたウィル・スミスが起用されました。
さらに、アカデミー賞俳優であるケヴィン・クラインが相棒役を務め、敵役にはシェイクスピア俳優として名高いケネス・ブラナーを配するという、これ以上ないほど豪華な布陣が敷かれました。
舞台は南北戦争終結後のアメリカであり、蒸気機関が異常な発展を遂げた「スチームパンク」の世界観を西部劇に持ち込んだ斬新なビジュアルが最大の特徴です。
しかし、およそ1億7000万ドルという途方もない製作費を投じたにもかかわらず、批評家からは「ストーリーが破綻している」「ユーモアが空回りしている」と徹底的な酷評を浴びてしまいます。
結果として、その年の最低映画を決める第20回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において、「最低作品賞」「最低監督賞」「最低脚本賞」「最低スクリーンカップル賞」「最低主題歌賞」の5部門を総なめにするという、歴史的な大惨敗を喫してしまいました。
それでも、ウィル・スミスが歌うノリの良い主題歌の大ヒットや、巨大な機械仕掛けのクモ型ロボットが荒野を練り歩く圧倒的な特撮映像は多くの観客の記憶に強く刻まれています。
現在では、「90年代ハリウッドのバブル的な勢いと狂気が生み出した、最高に贅沢で愛すべきB級映画」として、スチームパンク愛好家や一部の映画ファンからカルト的な支持を集め続けている異色作です。
本記事では、そんな光と影が交錯する映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』のあらすじやスチームパンクの魅力、キャスト陣の熱演、そして映画史に語り継がれる「マトリックス蹴り」などの衝撃的な裏話までを徹底的に深掘りして解説していきます。

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詳細(徹底解説):大統領暗殺計画を阻止せよ!凸凹コンビの荒野の冒険

あらすじと世界観:南北戦争後のアメリカを脅かす、狂気の天才科学者

物語の舞台は、南北戦争が終結して間もない1869年のアメリカ合衆国です。
アメリカ陸軍の凄腕の騎兵隊大尉であるジェームズ・ウェストは、考えるよりも先に銃を抜く直感型のガンマンであり、血に飢えた狂気の発明家「血まみれ将軍」ことマグラス将軍を執拗に追跡していました。
一方、合衆国連邦保安局の捜査官であるアーティマス・ゴードンは、変装の達人にして数々の奇想天外な秘密兵器を開発する天才発明家であり、同じくマグラス将軍の動向を内偵していました。
性格も捜査手法も全く正反対の二人は、ある酒場での潜入捜査中に偶然鉢合わせし、お互いの邪魔をして大乱闘を繰り広げてしまいます。
そんな水と油の二人に、時のアメリカ合衆国大統領であるユリシーズ・S・グラントから直々の極秘任務が下されます。
それは、「合衆国を再び分裂させようと企む謎の組織を壊滅させ、誘拐されたアメリカ最高の科学者たちを救出せよ」という重大なものでした。
大統領の命により、ウェストとゴードンは不本意ながらもコンビを組み、ゴードンが開発した秘密兵器満載の特別列車「ワンダラー号」に乗って、危険な任務へと出発します。
捜査を進めるうちに二人が辿り着いたのは、マグラス将軍の背後にいる真の黒幕、アーリス・ラブレス博士という恐るべき男でした。
ラブレスは元南軍の天才科学者でしたが、自身の実験中の爆発事故で下半身を失い、蒸気機関で動く車椅子に乗って生活しています。
彼はアメリカ合衆国への強烈な憎悪を抱いており、誘拐した科学者たちを奴隷のように働かせ、圧倒的な破壊力を持つ巨大な兵器を建造していました。
彼の目的は、グラント大統領を暗殺するか降伏させ、アメリカ合衆国を分割してイギリスやスペインなどの諸外国に売り渡し、自らは独裁者として君臨することだったのです。
道中で出会った謎の美女リタ・エスコバーを交えながら、ウェストとゴードンは数々の危機を乗り越え、ラブレスの秘密基地へと迫っていきます。
しかし、そこで彼らを待ち受けていたのは、ラブレスが完成させた究極の最終兵器「タランチュラ(巨大な機械仕掛けのクモ型ロボット)」でした。
蒸気を吹き出しながら荒野を蹂躙する巨大クモの圧倒的なパワーを前に、果たしてウェストの銃とゴードンの発明は通用するのでしょうか。

特筆すべき見どころ:圧倒的なスチームパンク美術と、巨大メカのロマン

本作の最大の見どころであり、映画ファンから今なお高く評価されているのが、その徹底して作り込まれた「スチームパンク」の美術デザインと世界観です。
19世紀の西部劇の泥臭い風景の中に、歯車や真鍮、パイプ、そして蒸気機関で駆動するオーバーテクノロジーの機械が違和感なく(かつ大迫力で)溶け込んでいます。
ゴードンが駆使するベルトバックル型のワイヤーガンや、靴の裏に仕込まれたナイフ、弾丸を跳ね返す防弾チョッキ、そして列車そのものが巨大な武器庫となっている「ワンダラー号」など、スパイ映画顔負けのガジェットの数々は観ているだけでワクワクさせられます。
そして何と言っても、映画のクライマックスに登場する「巨大な機械仕掛けのクモ(タランチュラ)」の存在感は圧巻の一言です。
CGと巨大な実物大アニマトロニクスを組み合わせて撮影されたこの巨大兵器は、重量感たっぷりに荒野を踏み荒らし、機関車をいとも簡単に粉砕する凄まじい絶望感を演出しています。
ストーリーの粗さを補って余りあるほどの、これら「奇想天外なメカニック描写」こそが、本作が単なる駄作に終わらず、ビジュアル面でのカルト的な人気を保ち続けている最大の理由です。

制作秘話・トリビア:「マトリックス」を蹴ったウィル・スミスと、クモに執着するプロデューサー

本作の制作裏話として最も有名なエピソードは、主演のウィル・スミスが本作に出演するために、あの歴史的SF映画『マトリックス』の主人公ネオ役のオファーを断ったという事実です。
当時、ウォシャウスキー兄弟(現・姉妹)から『マトリックス』の「バレットタイム(弾丸を避ける映像表現)」などの画期的なアイデアを聞かされたスミスでしたが、その斬新すぎるコンセプトを理解できず、「自分が出演したら映画を台無しにしてしまう」と考えました。
代わりに彼が選んだのが、実績のあるソネンフェルド監督との再タッグとなる本作『ワイルド・ワイルド・ウエスト』だったのです。
後にスミス自身が「あれは人生最大のミスだった」と自嘲気味に語っているのは、映画ファンの間で有名な笑い話となっています。
また、本作の象徴である「巨大なクモ」については、プロデューサーを務めたジョン・ピーターズの異常なまでの執着が生み出した産物でした。
ピーターズは以前、ティム・バートン監督と共に『スーパーマン・リヴズ』という映画を企画していましたが、その際にも「スーパーマンに巨大なクモと戦わせろ」と強硬に主張していました。
結局そのスーパーマン映画は製作中止となってしまいましたが、巨大クモへの情熱を捨てきれなかったピーターズは、強引にそのアイデアを本作『ワイルド・ワイルド・ウエスト』に持ち込み、ラブレス博士の最終兵器として実現させてしまったのです。
これらのエピソードからも、本作がいかにハリウッドの大物たちの「エゴと狂気」の産物であったかが窺い知れます。

キャストとキャラクター紹介:個性が大渋滞する荒野の顔触れ

ジェームズ・ウェスト大尉:ウィル・スミス / 吹替:東地宏樹、森川智之など

アメリカ陸軍の騎兵隊大尉であり、天性の身体能力と射撃センスを持つ無鉄砲なガンマンです。
過去に自分の部隊と愛する家族を「血まみれ将軍」率いる部隊に皆殺しにされたという悲痛な過去を背負っており、その復讐のために単独で危険な捜査を続けていました。
頭脳労働や細かい計画は苦手で、とりあえず現場に突入して銃をぶっ放すというスタイルですが、相棒のゴードンと出会うことで少しずつチームワークの重要性を学んでいきます。
ウィル・スミス持ち前の軽快なトークと、キレのあるアクションが存分に発揮された魅力的な主人公です。

アーティマス・ゴードン / ユリシーズ・S・グラント大統領:ケヴィン・クライン / 吹替:大塚芳忠など

合衆国連邦保安局の捜査官であり、数々の奇妙な発明品を生み出す天才科学者にして変装の達人です。
ウェストとは対照的に、知略と計算、そして自作のガジェットを用いてスマートに事件を解決することを好みますが、その発明品が時折ポンコツぶりを発揮してピンチを招くこともあります。
几帳面で少し神経質な性格が、豪快なウェストと見事な漫才のような掛け合いを生み出しています。
演じるケヴィン・クラインは、物語の鍵を握るグラント大統領の役も一人二役で見事に演じ分けており、彼のアカデミー賞俳優としての確かな演技力が本作のコメディリリーフを支えています。

アーリス・ラブレス博士:ケネス・ブラナー / 吹替:内海賢二、佐々木梅治など

本作の最大のヴィランであり、下半身を失った元南軍の狂気の天才科学者です。
失った下半身の代わりに蒸気駆動の車椅子に乗っており、アメリカ合衆国への復讐と世界の支配という途方もない野望を抱いています。
知的でありながらも冷酷非道で、部下であっても少しでも自分に歯向かえば容赦なく処刑する残忍さを持っています。
シェイクスピア劇で知られる名優ケネス・ブラナーが、あえてオーバーアクト気味にこの狂った悪役を嬉々として演じており、強烈な存在感を放っています。

リタ・エスコバー:サルマ・ハエック / 吹替:勝生真沙子など

ラブレスに誘拐された著名な科学者の「娘」だと名乗り、ウェストたちの冒険に同行することになる謎の美女です。
その圧倒的な美貌と色気でウェストとゴードンの両方を魅了し、二人の間にコミカルな三角関係の火種を撒き散らします。
しかし、彼女にはただの被害者ではない、ある驚きの秘密が隠されていました。
サルマ・ハエックのラテン系の情熱的な魅力が、男ばかりの荒野の物語に華やかな彩りを与えています。

キャストの代表作品と経歴:90年代を彩る最高峰のスターたち

主演のウィル・スミスは、ラッパーとしてグラミー賞を受賞した後、テレビドラマ『ベルエアのフレッシュ・プリンス』で俳優としての人気を獲得しました。
その後、『バッドボーイズ』『インデペンデンス・デイ』『メン・イン・ブラック』と立て続けに大ヒットを飛ばし、ハリウッドの「マネーメイキング・スター」の筆頭となりました。
本作でのつまずきはありましたが、その後も『アリ』や『幸せのちから』でアカデミー賞にノミネートされるなど、実力と人気を兼ね備えた大スターとして現在も君臨しています。
相棒役のケヴィン・クラインは、『ソフィーの選択』で銀幕デビューを飾り、『ワンダとダイヤと優しい奴ら』でアカデミー賞助演男優賞を受賞した演技派俳優です。
舞台で培った確かな発声と、シリアスからコメディまで完璧にこなす器用さが持ち味であり、本作でもそのコメディセンスが遺憾なく発揮されています。
悪役のケネス・ブラナーは、『ヘンリー五世』や『ハムレット』などシェイクスピア作品の映画化で絶大な評価を受けるイギリスの至宝です。
監督としての才能も非凡であり、近年ではマーベル映画『マイティ・ソー』の監督や、『オリエント急行殺人事件』での名探偵ポアロ役など、多岐にわたる活躍を見せています。

まとめ(社会的評価と影響):ラジー賞映画でありながら、忘れられない魅力を持つ作品

映画『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は、映画史において「製作費の無駄遣い」の代表例として語られることが多い作品です。
Rotten Tomatoesなどの批評サイトでは、現在でも10%台という非常に低いスコアを記録しており、脚本の薄っぺらさや、ウィル・スミスの人気に頼りすぎた演出は、映画としての完成度を著しく下げてしまったと評価されています。
1999年のラジー賞を独占したという事実も、その評価を決定づけるものとなりました。
しかし、この映画には「失敗作」という一言では片付けられない、不思議で強烈なエネルギーが満ち溢れていることもまた事実です。
バリー・ソネンフェルド監督がこだわり抜いたスチームパンクの映像美や、ウィル・スミスが歌う主題歌「Wild Wild West」(スティーヴィー・ワンダーの名曲「I Wish」をサンプリングし、全米チャート1位を獲得)の異常なほどのカッコよさは、当時のポップカルチャーに多大な影響を与えました。
もしこの映画が、最初から「超高額なバカ映画」として宣伝されていれば、観客の評価はまた違ったものになっていたかもしれません。
論理的なストーリーや深い感動を求めるのではなく、休日の午後にポップコーンを頬張りながら、豪華なセットとスター俳優たちが大真面目にふざけ回る姿を楽しむ。
本作は、そんな極上の「ギルティ・プレジャー(罪悪感を伴うお気に入り)」として、映画ファンから密かに、そして深く愛され続けている特別な作品なのです。

作品関連商品:荒野の熱狂をご自宅で楽しむアイテム

  • 『ワイルド・ワイルド・ウエスト』Blu-ray / DVD:当時の最新VFXを駆使して描かれた巨大クモ「タランチュラ」の迫力や、細部まで作り込まれたスチームパンク・ガジェットを高画質で楽しむことができます。ウィル・スミスのキレキレのアクションも必見です。
  • オリジナル・サウンドトラック(CD):ウィル・スミスが歌うメガヒット主題歌「Wild Wild West」をはじめ、エンリケ・イグレシアスなど豪華アーティストが参加した90年代の空気感を色濃く残す名盤です。映画本編以上に音楽が高く評価されていることでも有名です。
  • テレビシリーズ『0088/ワイルド・ウエスト』DVD-BOX:本作の原点となった1960年代のカルトTVシリーズです。元祖ジェームズ・ウェストの活躍と、当時の特撮技術を駆使したスパイ・アクションを比較して観ることで、映画版への理解と愛着がさらに深まります。
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