YouTubeで探る「ベン・ハー」の魅力：概要からキャスト、関連商品まで徹底解説

「ベン・ハー」とは？作品概要をチェック

「ベン・ハー」（Ben-Hur）は、1880年にルー・ウォーレスが発表した小説『ベン・ハー：キリストの物語』を原作とする、壮大なスケールの歴史スペクタクル作品です。

これまでに複数回映画化されていますが、一般的に「ベン・ハー」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、1959年に公開されたウィリアム・ワイラー監督、チャールトン・ヘストン主演のバージョンでしょう。

物語の舞台は、紀元1世紀、ローマ帝国が絶対的な権力を持っていた時代のエルサレム。

主人公は、ユダヤの名門貴族の息子であるジュダ・ベン・ハーです。

彼の幼馴染であり、ローマ人のメッサラが、ローマ軍の司令官としてエルサレムに赴任してきます。

親友との再会を喜ぶベン・ハーでしたが、ローマへの忠誠を絶対とするメッサラの冷酷な変貌により、二人の友情は引き裂かれます。

ある不運な事故をきっかけに、ベン・ハーはメッサラの裏切りによって反逆罪の汚名を着せられ、家族は投獄、自身はガレー船の奴隷（漕ぎ手）という地獄の境遇に突き落とされます。

数年後、海戦でローマ艦隊の司令官クイントゥス・アリウスの命を救ったことで奴隷の身分から解放され、アリウスの養子となったベン・ハーは、ローマ市民として新たな地位を得ます。

しかし、彼の胸には故郷への想いと、メッサラへの燃えるような復讐心、そして行方不明の母と妹への案じが常にありました。

やがてエルサレムに戻ったベン・ハーは、メッサラとの決着をつけるため、当時最大のエンターテインメントであった「戦車競走（チャリオット・レース）」での直接対決に挑みます。

本作は、ベン・ハー個人の復讐劇であると同時に、彼の波乱万丈の生涯が、イエス・キリストの受難と奇跡の物語と交差していく様を描いた、重厚な人間ドラマでもあります。

YouTubeで観る「ベン・ハー」オープニング（予告編）

1959年版「ベン・ハー」の壮大さを最もよく伝えるのは、その予告編です。

CGが存在しなかった時代に、いかにしてこの巨大なスペクタクルが作り上げられたのか、その片鱗を感じ取ることができます。

特に、クライマックスシーンである戦車競走の迫力は、YouTubeの短いクリップからでも十分に伝わるでしょう。

「ベン・ハー」のさらに詳しい情報（詳細）

1959年版「ベン・ハー」は、映画史における金字塔であり、単なる「古い映画」という枠では語り尽くせない作品です。

当時の映画会社MGM（メトロ・ゴールドウィン・メイヤー）は、テレビの台頭によって経営危機に瀕していました。

この状況を打開するための起死回生の一大プロジェクトとして、当時としては破格の1,500万ドルという巨額の製作費が投じられました。

監督には、『ローマの休日』『我等の生涯の最良の年』などで知られる名匠ウィリアム・ワイラーが起用されました。

彼は、単なるスペクタクル（見世物）に終わらせず、登場人物の内面を深く掘り下げる重厚な人間ドラマとして本作を構築しました。

本作を象徴するシーンは、疑いなくクライマックスの「戦車競走」です。

この約15分にわたるシークエンスは、CG技術が一切ない時代に、すべて実写で撮影されました。

イタリアのチネチッタ撮影所に、古代ローマの競技場を再現した巨大なオープンセットが建設され、1万5千人ものエキストラが動員されたと言われています。

チャールトン・ヘストンやスティーヴン・ボイドといった主要キャストも、専門家の訓練を受け、危険な戦車競走のシーンの多くをスタントマンなしで演じました。

特に、メッサラの戦車が転倒し、後続の馬に踏みつけられるシーンの迫力は、現代のCGをもってしても再現が難しいほどのリアリティと緊迫感に満ちています。

このシーンの撮影だけで数ヶ月を要したとされており、映画製作における情熱と執念の結晶と言えるでしょう。

また、本作は「キリストの物語」という副題が示す通り、イエス・キリストの存在が全編を通して重要な役割を果たします。

ベン・ハーが奴隷として護送される途中、渇きに苦しむ彼に水を与える人物としてキリストは登場します。

しかし、ウィリアム・ワイラー監督は、キリストの顔を直接的に画面に映さない（後ろ姿や手元のみを映す）という演出手法を用いました。

これは、観客がそれぞれに抱くキリスト像を尊重し、物語の神聖性を高めるための見事な演出であり、後世の多くの作品に影響を与えました。

ベン・ハーが復讐の虚しさを知り、キリストの教えである「赦し」に触れることで魂の救済を得るという結末は、本作が単なる復讐譚ではないことを示しています。

「ベン・ハー」を彩るキャスト陣と代表作品

1959年版「ベン・ハー」の成功は、壮大なセットや演出だけでなく、俳優陣の重厚な演技によって支えられています。

ジュダ・ベン・ハー （演：チャールトン・ヘストン）

物語の主人公。

貴族の身分から奴隷に転落し、復讐を誓いながらも、最終的に赦しを知るという複雑な役柄を、圧倒的な存在感で演じ切りました。

この役で彼はアカデミー主演男優賞を受賞しています。

• 主な代表作品:
  • 『十戒』（1956年）
  • 『猿の惑星』（1968年）
  • 『大いなる西部』（1958年）

メッサラ （演：スティーヴン・ボイド）

ベン・ハーの幼馴染でありながら、ローマへの忠誠と出世欲のために彼を裏切る最大の宿敵。

友情と野心の間で揺れ動く（あるいは野心を選び取る）冷徹なローマ軍人を好演しました。

• 主な代表作品:
  • 『ミクロの決死圏』（1966年）
  • 『ローマ帝国の滅亡』（1964年）
  • 『大都会の女たち』（1959年）

クイントゥス・アリウス （演：ジャック・ホーキンス）

ベン・ハーを奴隷船から救い出し、養子として迎えるローマ艦隊の司令官。

厳格さの中にも人間味を持つ人物として描かれています。

• 主な代表作品:
  • 『戦場にかける橋』（1957年）
  • 『アラビアのロレンス』（1962年）

族長イルデリム （演：ヒュー・グリフィス）

ベン・ハーに戦車競走の技術を教え、メッサラへの挑戦を支援するアラブの富豪。

コミカルでありながらも賢明な助言者として、物語に深みを与えました。

彼はこの役でアカデミー助演男優賞を受賞しました。

• 主な代表作品:
  • 『トム・ジョーンズの冒険』（1963年）
  • 『オリバー！』（1968年）

「ベン・ハー」の社会的評価と影響（まとめ）

1959年版『ベン・ハー』が映画史に与えた影響は、計り知れません。

最大の功績は、第32回アカデミー賞において、作品賞、監督賞（ウィリアム・ワイラー）、主演男優賞（チャールトン・ヘストン）、助演男優賞（ヒュー・グリフィス）を含む、ノミネート12部門のうち11部門で受賞という、前人未to到の記録を打ち立てたことです。

この「アカデミー賞11部門受賞」という記録は、その後1997年の『タイタニック』、2003年の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』に並ばれるまで、約40年間にわたり映画史上最多の単独記録でした。

この受賞結果が、本作の芸術的・技術的完成度がいかに高かったかを物語っています。

興行的にも世界的な大ヒットを記録し、経営難に陥っていたMGMを救っただけでなく、「スペクタクル史劇」というジャンルを確立させました。

日本でも1960年に公開され、昭和天皇・皇后両陛下が鑑賞する「天覧上映」が行われるなど、社会現象とも言えるほどの成功を収めました。

本作の成功は、その後の映画製作に大きな影響を与え、『スパルタカス』『クレオパトラ』といった多くのスペクタクル史劇が作られるきっかけとなりました。

また、CGのない時代に実現された戦車競走のシーンは、後世の多くのアクション映画や、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のポッドレースのシーンなどにも多大なインスピレーションを与えたと公言されています。

『ベン・ハー』は、単なる歴史映画ではなく、友情、裏切り、復讐、そして赦しという普遍的なテーマを、映画というメディアで表現しうる最大限のスケールで描き切った、不朽の名作です。

「ベン・ハー」関連商品とグッズ

『ベン・ハー』の壮大な物語を体験した後、その世界観をより深く楽しむための関連商品も多数存在します。

• Blu-ray / DVD:

  • 1959年版『ベン・ハー』は、高画質・高音質でリマスターされたBlu-rayが決定版として人気です。
  • 「製作50周年記念リマスター版」や、複数の日本語吹替（納谷悟朗版、磯部勉版など）を追加収録したバージョンなど、様々なエディション