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【完全解説】映画『夕陽のガンマン』が最高傑作と呼ばれる理由!懐中時計の音楽とラストの決闘を徹底考察

アクション・冒険
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【完全解説】映画『夕陽のガンマン』が最高傑作と呼ばれる理由!懐中時計の音楽とラストの決闘を徹底考察

概要:復讐と賞金、二人のプロフェッショナルが織りなす「バディ・ムービー」の原点

1965年に公開されたマカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)の金字塔『夕陽のガンマン(原題:For a Few Dollars More / 伊題:Per qualche dollaro in più)』
セルジオ・レオーネ監督とクリント・イーストウッドが再びタッグを組んだ「ドル箱三部作」の第2作目です。
前作『荒野の用心棒』の大ヒットにより予算が増額され、ストーリー、キャラクター、舞台設定のすべてがスケールアップしています。

本作の最大の特徴は、イーストウッド演じる「名無しの男(モンコ)」に加えて、もう一人の主役としてリー・ヴァン・クリーフ演じるダグラス・モーティマー大佐が登場することです。
若き賞金稼ぎと、老練な元軍人。
スタイルも目的も異なる二人のガンマンが、共通の敵を倒すために手を組む(あるいは利用し合う)展開は、後のあらゆる「バディ(相棒)もの」アクション映画の原型となりました。
特に、エンニオ・モリコーネによる「懐中時計のメロディ」が鳴り響くラストの決闘シーンは、映画史に残る美しくも悲しい名場面として語り継がれています。

本記事では、なぜ本作が三部作の中で「最も完成度が高い」と評されるのか、その魅力と制作秘話を4,000文字以上のボリュームで徹底解説します。

オープニング映像(テーマ曲)

口笛、ジューズハープ(口琴)、そしてエレキギター。エンニオ・モリコーネ節が炸裂する、あまりにも有名なオープニングはこちらです。

詳細解説:二人のガンマン、一つの標的、そして鳴り止まない時計の音

あらすじと世界観:エル・パソ銀行強盗と脱獄犯インディオ

舞台はニューメキシコ。
懸賞金付きの脱獄犯であり、冷酷非道な強盗団のボス、エル・インディオが牢獄を脱走し、かつての仲間を皆殺しにして組織を再編します。
彼の狙いは、西部で最も警備が厳重と言われる「エル・パソ銀行」の金庫。
そこには100万ドル近い大金が眠っていました。

このインディオの首(賞金)を狙って、二人の凄腕ガンマンが動き出します。
一人は、「モンコ(片腕)」と呼ばれる若き賞金稼ぎ(クリント・イーストウッド)。
もう一人は、紳士的な振る舞いと豊富な武器知識を持つ元南軍大佐、ダグラス・モーティマー(リー・ヴァン・クリーフ)。
当初は互いをライバル視し、帽子を撃ち飛ばし合うような子供っぽい挑発を繰り返していた二人ですが、インディオという強大な敵を前に、一時的な協力関係を結ぶことになります。
しかし、モーティマー大佐には、単なる賞金目当てではない「ある秘められた動機」がありました。

特筆すべき見どころ:帽子撃ちと決闘の「間(ま)」

本作には、西部劇ファンの語り草となっている名シーンがいくつもあります。

  • 帽子の撃ち合い
    二人が初めて対峙するシーン。モンコがモーティマーの帽子を撃ち飛ばし、拾おうとするとまた撃ち飛ばす。
    この悪ふざけに対し、モーティマーが圧倒的な射撃精度でモンコの帽子を空高く撃ち上げるシーンは、二人の実力が拮抗していることをセリフなしで示す名演出です。
  • 懐中時計の決闘
    クライマックス、インディオが持つ「オルゴール付きの懐中時計」のメロディが止まった時が、撃ち合いの合図。
    この緊張感あふれる演出は、モリコーネの音楽とレオーネの映像が見事に融合した芸術の域に達しています。
    音楽が終わるまでの数分間、観客は息をすることさえ忘れてしまいます。

キャラクターの対比:若さと老練さ

前作『荒野の用心棒』ではイーストウッドの独壇場でしたが、本作ではリー・ヴァン・クリーフの存在感が圧倒的です。
イーストウッドが「金」のために動くドライな若者を演じる一方、ヴァン・クリーフは「過去」に囚われた哀愁漂う男を演じます。
この二人のコントラストが、単なるアクション映画に深みを与え、ドラマとしての完成度を高めています。

制作秘話:リー・ヴァン・クリーフの復活

実はリー・ヴァン・クリーフは、この映画に出演する前、アルコール依存症や交通事故による怪我でハリウッドでのキャリアが低迷し、画家として生計を立てていました。
レオーネ監督が彼を見つけ出し、モーティマー役に抜擢したことで、彼は一気にスターダムに返り咲きます。
彼の鋭い鷲鼻と鋭利な眼光は「鷹のような男」と評され、以降のマカロニ・ウエスタンには欠かせない悪役・ヒーロー役者となりました。

キャストとキャラクター紹介

モンコ(名無しの男)

演:クリント・イーストウッド / 吹替:山田康雄

右手を常にポンチョの下に隠し、銃を抜く時以外は左手しか使わないことから「モンコ(片腕)」と呼ばれる賞金稼ぎ。
前作同様、口数は少なく、金にがめついですが、どこか憎めない愛嬌も持ち合わせています。
本作では、復讐に燃えるモーティマー大佐を一歩引いた位置からサポートする、狂言回し的な役割も担っています。

ダグラス・モーティマー大佐

演:リー・ヴァン・クリーフ / 吹替:納谷悟朗

元南軍の大佐であり、現在は賞金稼ぎ。
黒ずくめのスーツに身を包み、あらゆる種類の銃器を馬の鞍袋(アーセナル)に隠し持っています。
特に、長距離射撃用のライフルや、ストック(銃床)を取り付けられる特殊な拳銃を操る姿は、ガンマニア垂涎の的。
インディオに対して異常な執着を見せますが、その理由は物語のラストで明かされる妹の悲劇にありました。

エル・インディオ

演:ジャン・マリア・ヴォロンテ / 吹替:小林清志

マリファナ(劇中では独特の吸引描写あり)中毒の凶悪犯。
ただの悪党ではなく、過去に犯した罪の記憶に苛まれ、発作に苦しむ複雑な内面を持つヴィランです。
懐中時計の音を聞くたびにフラッシュバックする彼の狂気は、ヴォロンテの演技力によって鬼気迫るものになっています。

キャストの代表作品と経歴

  • リー・ヴァン・クリーフ(モーティマー大佐役)
    本作での復活後、次作『続・夕陽のガンマン』では一転して冷酷な悪役「エンジェル・アイズ(ハゲタカ)」を演じました。
    その後も『西部悪人伝』のサバタ役など、マカロニ・ウエスタンの顔として70年代まで活躍し続けました。
  • ジャン・マリア・ヴォロンテ(インディオ役)
    イタリアを代表する社会派俳優。
    『荒野の用心棒』のラモン役に続き、本作でも悪役を演じましたが、その後は『殺人捜査』や『死刑台のメロディ』など、政治的・社会的なメッセージの強い作品で数々の賞を受賞しています。

まとめ:男の友情は言葉じゃ語れない

『夕陽のガンマン』は、単なる撃ち合いの映画ではありません。
最後、目的(復讐)を果たしたモーティマー大佐に対し、モンコが賞金(インディオたちの死体)をすべて受け取るシーン。
「金」と「復讐」、互いに欲しいものを手に入れ、何も言わずに去っていく二人の姿。
そこには、ベタベタした友情ごっこではない、プロフェッショナル同士の乾いたリスペクトがあります。

マカロニ・ウエスタン初心者の方には、ストーリーが分かりやすく、かつカッコよさが凝縮された本作を最初に見ることを強くおすすめします。
見終わった後、きっとあなたも懐中時計のメロディを口ずさみたくなるはずです。

作品関連商品

本作の魅力を余すことなく堪能するためのアイテムを紹介します。

  • 夕陽のガンマン [Blu-ray]
    高画質リマスター版では、イーストウッドの革のベストの質感や、ヴァン・クリーフの顔の皺までが克明に映し出されます。
    山田康雄&納谷悟朗&小林清志という、ルパン三世ファミリーによる日本語吹替版は国宝級の完成度です。
  • エンニオ・モリコーネ『夕陽のガンマン』オリジナル・サウンドトラック
    劇中で重要な役割を果たす「懐中時計のオルゴール」の音源も収録されています。
    哀愁漂うトランペットと口笛のメロディは、作業用BGMとしても最高です。
  • 続・夕陽のガンマン 地獄の決斗 [Blu-ray]
    ドル箱三部作の完結編。
    本作で味方だったリー・ヴァン・クリーフが敵として登場するため、続けて観るとその役幅の広さに驚かされます。
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