PR

【SFドラマの金字塔】『スペース1999』の必見人気エピソード厳選解説!月が地球を離れた日とトラウマ級の怪獣

SF
この記事は約5分で読めます。

【SFドラマの金字塔】『スペース1999』の必見人気エピソード厳選解説!月が地球を離れた日とトラウマ級の怪獣

伝説のSFドラマ『スペース1999』とは?

1970年代中盤、『サンダーバード』の生みの親であるジェリー・アンダーソンが製作し、世界中のSFファンを熱狂させた英国テレビドラマ『スペース1999(原題:Space: 1999)』。

「1999年9月13日、月が地球の軌道を外れて宇宙の放浪者となる」という衝撃的な設定と、当時としては破格の製作費を投じたリアルなミニチュア特撮(特に宇宙船イーグル号)は、『スター・ウォーズ』以前のSF映像の最高峰と称されています。

物語は、月面基地「ムーンベース・アルファ」に取り残された311人の隊員たちが、生存できる新天地を求めて宇宙を彷徨うサバイバル・ドラマです。

第1シーズンと第2シーズンで作風が大きく異なることでも知られていますが、今回はその中から、物語の根幹に関わる重要回や、当時の子供たちに強烈なトラウマを与えた怪獣回など、絶対に外せない人気エピソードを厳選してご紹介します。

『スペース1999』厳選人気エピソード詳細

第1話「はるかなる旅路(Breakaway)」:すべての始まり

このエピソードを見ずして『スペース1999』は語れません。

1999年9月、月面基地ムーンベース・アルファの新司令官としてジョン・コーニッグ(マーティン・ランドー)が着任します。

彼の任務は惑星メタへの探査飛行を指揮することでしたが、月面で謎の奇病が発生し、隊員たちが次々と死亡する事態に直面します。

調査の結果、月面の裏側に廃棄されていた地球の核廃棄物が異常な磁気エネルギーを蓄積していることが判明。

コーニッグたちの懸命の対処も虚しく、9月13日、核廃棄物は大爆発を起こします。

その凄まじい反作用で月は地球の引力圏を離脱し、宇宙の彼方へと飛び去ってしまいます。

科学的な考証よりもドラマチックな展開を優先したこの第1話は、人類が「宇宙の孤児」となる絶望感と、そこから始まる壮大な旅路への決意を描いた名作です。

第10話「黒い太陽(Black Sun)」:哲学SFの傑作

第1シーズンの特徴である「哲学的・形而上学的」なテーマが最も色濃く出ているエピソードです。

ムーンベース・アルファの進行方向に、あらゆる物質を飲み込む重力崩壊した星(ブラックホールの一種)、通称「黒い太陽」が出現します。

回避不可能と悟ったコーニッグ司令官は、生存の可能性を少しでも高めるため、数名の隊員をイーグル号で脱出させますが、基地に残る自分とバーグマン教授(バリー・モース)は死を覚悟します。

死を目前にして二人がブランデーを酌み交わし、「神」や「運命」について語り合うシーンは、SFドラマ史に残る名場面です。

そして突入の瞬間、彼らは時空を超えた不思議な体験をし、未知の知性体と対話します。

特撮のスペクタクルと人間ドラマが融合した、大人の鑑賞に堪えうる一作です。

第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣(Dragon’s Domain)」:伝説のトラウマ回

多くのファンが「一番怖かったエピソード」として挙げるのがこの回です。

アルファの隊員セルマンは、かつて自分が遭遇した「宇宙の墓場」での恐怖体験を語り始めます。

そこには、無数の宇宙船の残骸と共に、一つ目の触手怪物が潜んでいました。

この怪物は、催眠術で人間を誘き寄せ、触手で絡め取った後、なんと人間を丸呑みにして「吐き出す」ことで白骨化させるという、極めてショッキングな捕食を行います。

おどろおどろしい怪物のデザイン、バッハの「トッカータとフーガ」が流れる不気味な演出、そして無惨に散っていく隊員たちの姿は、当時の少年少女に強烈なインパクトを与えました。

単なるモンスターパニックに終わらず、過去の失敗と向き合うセルマンの葛藤を描いた人間ドラマとしても秀逸です。

第2シーズン第1話「変身!宇宙の異星人マヤ(The Metamorph)」:新シーズンの幕開け

製作体制が変わり、よりアクションと娯楽性を重視した第2シーズンの第1話です。

ムーンベース・アルファは、メンターという異星人が支配する惑星サイコンに接近します。

メンターは、自身の惑星を救うためにアルファの隊員たちの生体エネルギーを奪おうと企みますが、彼にはマヤ(カトリーヌ・シェル)という美しい娘がいました。

マヤは「分子変換能力」を持ち、あらゆる動物や怪物に変身することができます。

父の非道を知ったマヤはアルファ側に寝返り、以後、科学担当士官としてレギュラー入りします。

マヤの変身能力による視覚的な楽しさと、よりカラフルになったセットや衣装など、番組の方向転換を象徴する華やかなエピソードです。

『スペース1999』参考動画

『スペース1999』のまとめ

『スペース1999』は、単なる宇宙冒険活劇ではありません。

地球に帰れる保証のない絶望的な状況下で、人間はいかにして希望を持ち続け、倫理を保てるのかという重厚なテーマが根底に流れています。

特に、今回紹介した「黒い太陽」のような哲学的なエピソードと、「怪奇!宇宙の巨大怪獣」のようなホラー要素が混在している点は、ジェリー・アンダーソン作品ならではの奥深さと言えるでしょう。

また、ブライアン・ジョンソン(後に『エイリアン』や『帝国の逆襲』を手掛ける)による特撮、特に宇宙船「イーグル号」の機能美に溢れたデザインと飛行シーンは、今見ても全く色褪せていません。

CG全盛の今だからこそ、ミニチュアワークの極致とも言える本作の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

関連トピック

イーグル号(イーグル・トランスポーター):本作に登場する多目的宇宙船。コンテナの換装機能やトラス構造のリアルなデザインで、世界中でプラモデルが大ヒットした傑作メカ。

ジェリー・アンダーソン:製作総指揮。人形劇『サンダーバード』で成功を収めた後、本作で実写ドラマに本格挑戦した。

マーティン・ランドー:主人公コーニッグ司令官を演じた名優。後に映画『エド・ウッド』でアカデミー助演男優賞を受賞。

シーズン1とシーズン2の違い:重厚で神秘的なシーズン1に対し、アメリカ市場を意識してアクションとモンスター要素を強めたシーズン2。ファンによって好みが分かれる大きな特徴。

関連資料

Blu-ray『スペース1999 コレクターズ・ボックス』:高画質リマスターにより、ミニチュアのディテールまで鮮明に確認できるファン必携のアイテム。

デアゴスティーニ『週刊 ジェリー・アンダーソン SF特撮DVDコレクション』:過去に刊行された分冊百科で、詳細な解説書と共にエピソードを視聴できた。

書籍『Complete Moonbase Alpha Technical Manual』:ムーンベースやイーグル号の内部構造などを図解した設定資料集(洋書)。

タイトルとURLをコピーしました