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【閲覧注意】『スペース1999』最大のトラウマ回!第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」が描く恐怖と執念

SF
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【閲覧注意】『スペース1999』最大のトラウマ回!第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」が描く恐怖と執念

『スペース1999』第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」の概要

『スペース1999』全48話の中で、最も視聴者に強烈なインパクトと、ある種のトラウマを与えたエピソードといえば、間違いなく第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣(原題:Dragon’s Domain)」でしょう。

この回は、いつものSF冒険活劇とは一線を画し、ゴシック・ホラーのような不気味な雰囲気と、救いのない悲劇的な結末が描かれます。

物語の中心となるのは、過去の宇宙探査ミッションで仲間を失い、「臆病者」の汚名を着せられた一人の男の執念です。
彼が目撃した「宇宙船の墓場」に潜む怪物の正体とは? そして、人間を丸呑みにして骨だけを吐き出すという衝撃的な捕食シーンは、当時の子供たちを恐怖のどん底に叩き落としました。

本記事では、シリーズ屈指の怪奇作である本エピソードのあらすじ、伝説となった怪獣の描写、そして物語に込められた深い人間ドラマについて徹底解説します。

第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」の詳細解説

過去の悪夢:ウルトラ探査機の悲劇

物語は、1996年(月が地球を離れる3年前)の回想から始まります。
当時、人類初となる太陽系外への有人探査計画「ウルトラ探査機」ミッションが行われ、トニー・セルマン(ジャンニ・ガルコ)が隊長として指揮を執っていました。

しかし、探査機は目的地である惑星「ウルトラ」付近で消息を絶ち、半年後、地球に帰還した脱出ポッドには精神錯乱状態のセルマン一人が乗っていました。
彼は「巨大な怪物が現れ、乗組員たちを次々と飲み込んだ」と証言しますが、記録映像や物的証拠が一切なかったため、当局はこれを「極限状態での幻覚」と断定。

セルマンは、ハッチを開けて仲間を宇宙空間に放り出し、自分だけ逃げ帰った卑怯者として非難され、精神的な治療を受けることになります。
コーニッグ司令官とヘレナ博士だけは彼を信じようとしますが、真実は闇の中でした。

因縁の再会:宇宙の墓場にて

時は流れ1999年(現在)。月面基地ムーンベース・アルファは、無数の宇宙船の残骸が漂う「宇宙の墓場」と呼ばれる空域に接近します。
そこに漂っていたのは、かつて消息を絶ったはずの「ウルトラ探査機」でした。

アルファの隊員となっていたセルマンは、これが自分の正しさを証明する唯一のチャンスだと確信し、狂気じみた執念で怪獣退治に向かおうとします。
コーニッグは慎重な調査を命じますが、セルマンは命令を無視してイーグル号を奪い、単身、因縁の探査機へと乗り込みます。

伝説のトラウマシーン:怪物の捕食

ウルトラ探査機の内部には、不気味な一つ目の触手怪獣が巣食っていました。
この怪獣の恐ろしさは、物理的な攻撃力だけでなく、精神攻撃を仕掛けてくるところにあります。

怪獣は発光しながら催眠効果のある音を発し、人間を放心状態にさせて自ら口の中へと歩かせます。
そして、触手で捕らえた人間を頭から丸呑みし、数秒後、炭化して白骨化した死体を「吐き出す」のです。

バッハの『トッカータとフーガ ニ短調』の荘厳かつ恐怖を煽る旋律が流れる中、次々と仲間が犠牲になる回想シーンと、現在のセルマンの戦いが交錯します。
この一連のシークエンスは、SFドラマというよりは怪奇映画の演出そのものであり、そのグロテスクさと芸術性が融合した映像は、一度見たら忘れられない衝撃を残します。

悲劇の結末と騎士の最期

セルマンは斧を振るって怪獣に立ち向かいますが、彼もまた怪獣の催眠術に囚われかけます。
駆けつけたコーニッグたちが怪獣の弱点である「目」を攻撃して倒すことに成功しますが、セルマンは相打ちとなり、命を落としてしまいます。

彼は最期に、かつて守れなかった仲間たちの幻影を見ながら息を引き取ります。
怪獣は倒されましたが、セルマンの汚名が完全に晴らされたのか、彼の魂が救われたのかは、視聴者の解釈に委ねられるような物悲しいラストとなります。

原題の「Dragon’s Domain(竜の領域)」が示す通り、これは宇宙空間を舞台にした「ドラゴン退治の騎士の物語」だったのかもしれません。

『スペース1999』第23話 参考動画

第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」のまとめ

第23話「怪奇!宇宙の巨大怪獣」は、特撮技術の高さもさることながら、人間の尊厳と狂気を描いた脚本の深さが光るエピソードです。

トニー・セルマンという男は、英雄にもなれたはずの優秀な宇宙飛行士でしたが、理解を超えた恐怖に遭遇し、社会から抹殺された悲劇の人物として描かれています。
彼の孤独な戦いは、未知の世界に挑む人類の恐怖心を象徴しているようにも見えます。

子供の頃に見て怖かったという方も、大人になった今見返すと、単なるモンスターパニックではない、重厚な人間ドラマとしての魅力に気づくはずです。

関連トピック

トニー・セルマン:ゲストキャラクターでありながら、シリーズで最も印象に残る人物の一人。演じたジャンニ・ガルコはマカロニ・ウエスタン映画などで知られる俳優。

ウルトラ探査機:人類初の深宇宙探査船。デザインはイーグル号とは異なり、より大型で無骨な形状をしている。

トッカータとフーガ:J.S.バッハの名曲。劇中では怪獣の出現や恐怖シーンのBGMとして使用され、そのゴシックな雰囲気を決定づけた。

触手怪獣:正式名称はないが、ファンからは「ドラゴンの領域の怪物」と呼ばれる。当時の着ぐるみや操演技術で作られたアナログな造形が、逆に生々しい不気味さを醸し出している。

関連資料

DVD『Space: 1999 – Season 1』:本エピソードを高画質で収録。

サントラCD:バリー・グレイによる劇伴と、印象的に使用されたクラシック楽曲も収録されている場合がある。

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