スタートレックの象徴的武装!歴代フェーザーガンの全仕様・特徴と歴史を徹底解説
概要
SFの金字塔『スタートレック』シリーズにおいて、宇宙艦隊士官が常に携行する最も基本的な装備、それが「フェーザー(Phaser)」です。
「位相エネルギー整流(PHASed Energy Rectification)」の略称とも言われるこのデバイスは、単なる殺傷用の「銃」ではありません。
相手を傷つけずに無力化する「麻痺(スタン)」から、物体を完全に消滅させる「蒸発」、さらには岩石を加熱して暖を取ったり溶接を行ったりする「ツール」としての機能まで備えた、万能型のエネルギー放射機器です。
本記事では、TOS(宇宙大作戦)から最新シリーズに至るまで、劇的な進化を遂げてきた歴代フェーザーガンの仕様(スペック)、出力設定の詳細、そしてデザインの変遷を徹底的に解説します。
詳細
ここでは、フェーザーの基本的な分類と出力レベル、そして時代ごとの代表的なモデルについて詳しく解説します。
フェーザーの基本分類(タイプ別)
宇宙艦隊のフェーザーは、主にサイズと出力によって以下の3つのタイプに分類されます。
- タイプ1(ハンド・フェーザー):
掌に収まるクリケット(コオロギ)サイズの超小型モデル。隠密任務や外交の場で、武器を目立たせたくない場合に使用されます。出力は低めですが、殺傷能力は十分にあります。 - タイプ2(ピストル・フェーザー):
最も一般的な標準装備。タイプ1をボディに合体させて使用するモデル(TOS時代など)や、単独で機能する大型モデルがあります。射程、出力容量ともにタイプ1を大きく上回ります。 - タイプ3(フェーザー・ライフル):
両手持ちの大型ライフル。より強力なエネルギーパックと強化された照準器を備え、戦場や過酷な環境での使用を想定しています。
出力レベル(セッティング)の仕様
24世紀(TNG以降)の技術マニュアルによると、フェーザーは主にレベル1から16までの出力調整が可能です。
- レベル1〜3(スタン / 麻痺):
- レベル1: 軽い麻痺。人間に数分間の意識混濁を与える。
- レベル2: 標準的な麻痺。5分〜15分程度の気絶。
- レベル3: 重度の麻痺。1時間程度の気絶。
- レベル4〜6(サーマル / 加熱):
- 生体組織に火傷を負わせる、または物体を加熱するレベル。岩を熱して暖を取る際などに使用。
- レベル7〜9(ディスラプション / 殺傷・破壊):
- 生体を殺傷し、中型物体を破壊するレベル。レベル7以上で人間は即死(蒸発はしない)。
- レベル10以上(エクスプローシブ / 蒸発・爆破):
- レベル16: 最高出力。岩盤の掘削や、広範囲の物体を瞬時に分子レベルで分解・蒸発させることが可能。
歴代モデルの変遷と歴史
1. 23世紀:TOS(宇宙大作戦)時代
特徴: 無骨ながらも機能美に溢れたデザイン。
タイプ1: 黒と銀の小さな直方体形状。
タイプ2: 独特な形状のピストル型。特筆すべきは、銃身上部にタイプ1を「カシャッ」とドッキングさせて完成する合体機構です。このギミックは多くのファンの心を掴みました。
タイプ3: 初期のライフルは、銃身が長く、回転する多銃身のような特異な先端部を持っていました。
2. 23世紀後期:劇場版(初期)時代
特徴: 映画化に伴い、よりミリタリー色が強く、角ばったデザインにリファインされました。
アサルト・フェーザー: 『スタートレックV』『VI』などで登場した、黒を基調とした実銃に近いデザインのモデル。着脱式の弾倉(パワーパック)やスライド式のボルトなど、現代の銃器に近い操作系が特徴です。
3. 24世紀:TNG(新スタートレック)初期〜中期
特徴: エルゴノミクス(人間工学)を意識した、曲線的で未来的なデザインへの転換。
タイプ1(クリケット): 非常に小さく、シルバーと黒の流線型デザイン。
タイプ2(ダストバスター): 掃除機に似ていることからファンにそう呼ばれる、大きくのっぺりとした初期型。
タイプ2(コブラヘッド): 後期に登場。銃口部分がコブラの頭のように盛り上がった、攻撃的かつ洗練されたデザイン。ボタン操作で16段階の出力調整が可能です。
4. 24世紀後期:DS9・VOY・劇場版(TNG)時代
特徴: 戦闘の激化に伴い、より実戦的で扱いやすい形状へ。
ブーメラン型: 『ファースト・コンタクト』などで登場。グリップが湾曲したブーメランのような形状のタイプ2。非常に持ちやすく、金属的な質感が増しています。
コンプレッション・ライフル: 『ヴォイジャー』などで多用された、強力な圧縮エネルギーを発射するライフル。ボーグなどの強力な敵に対抗するため配備されました。
5. 25世紀・最新シリーズ(Picard / Discovery 32世紀)
特徴: 過去のデザインへの回帰(オマージュ)と、はるか未来の技術の融合。
ピカードの時代: 懐かしいTOS劇場版のアサルト・フェーザーを現代風にアレンジしたような、無骨で角ばったデザインが再登場しています。
32世紀: 腕の一部に変形・収納されるなど、ウェアラブルデバイス化が進んでいます。
「歴代フェーザー」の参考動画
まとめ
フェーザーガンは、スタートレックが描く「理性的で平和的な未来」を象徴するアイテムです。
相手を即座に殺すのではなく、まずは「麻痺(スタン)」で無力化し、話し合いの余地を残すという運用思想は、野蛮な暴力からの脱却を目指す惑星連邦の理念そのものです。
一方で、いざとなれば強力な破壊力を発揮する頼もしい武器でもあります。
シンプルなTOS版から洗練されたブーメラン型まで、あなたの心に残るフェーザーはどのモデルでしょうか?
その進化の歴史を知ることで、各シリーズの背景にある時代の空気感も感じ取ることができるはずです。
関連トピック
トリコーダー: 科学分析、医療診断、データ記録を行う携帯用多機能センサー端末。
コミュニケーター: 艦船との通信に使用する携帯通信機。携帯電話の元祖とも言われる。
光子魚雷: 宇宙艦に搭載される、反物質を弾頭に使用した強力な誘導兵器。
ハイポスプレー: 皮膚に押し当てて高圧で薬剤を注入する、針のない注射器。
関連資料
『スタートレック』フェーザー・ユニバーサルリモコン: TOS版タイプ2フェーザーを精巧に再現した、実際に使える学習リモコン。
プレイメイツ社製 フェーザーレプリカ: 各シリーズのフェーザーを忠実に再現したトイガンシリーズ。
書籍『スタートレック:TNG テクニカルマニュアル』: フェーザーの内部構造や出力原理が詳細に記された公式設定資料。

