ドラマ「超人ハルク」のうんちく徹底解説!なぜ「ブルース」でなく「デビッド」?悲しき放浪の秘密

ドラマ「超人ハルク」のうんちく徹底解説!なぜ「ブルース」でなく「デビッド」?悲しき放浪の秘密

「超人ハルク」の概要

テレビドラマ「超人ハルク」(原題: The Incredible Hulk)は、1977年から1982年にかけてアメリカのCBSで放送された、マーベル・コミックのヒーローを題材にした実写作品です。

物語の概要は、科学者のデビッド・バナー博士が、研究中の事故で大量のガンマ線を浴びてしまい、怒りや恐怖といった極度のストレスを感じると、緑色の巨大な怪物「ハルク」に変身してしまう体質になるところから始まります。

彼は自身の治療法を見つけるため、そしてハルクを追いかける執拗な新聞記者から逃れるため、アメリカ全土を放浪する旅を続けます。

CGI技術のない時代に、人間の苦悩と内なる怒りを描いたこのドラマは、単なるヒーローものを超えたヒューマンドラマとして、世界中で愛されました。

この記事では、この伝説的なドラマにまつわる数々の「うんちく」を深掘りします。

「超人ハルク」の詳細

なぜ「ブルース」ではなく「デビッド」?名前変更の最大のうんちく

「超人ハルク」にまつわる最も有名で、ファンが必ず議論する「うんちく」が、主人公の名前の変更です。

原作コミックでの主人公の名前は、ご存知の通り「ブルース・バナー」です。

しかし、このテレビドラマ版では「デビッド・バナー」(デビッド・ブルース・バナーとミドルネームに残ってはいる)に変更されています。

この理由については諸説ありますが、最も有力とされているのが、当時のテレビ局側の判断によるものです。

当時、制作総指揮のケネス・ジョンソンが「コミック的すぎる」(ピーター・パーカー、リード・リチャーズなど頭文字が韻を踏む名前)ことを嫌ったという説もあります。

しかし、より広く知られている「うんちく」は、当時のアメリカ社会において、「ブルース」という名前が同性愛者を連想させるステレオタイプな名前であるとテレビ局の幹部が懸念したため、という説です。

彼らは、視聴者が主人公に男性的な魅力を感じないことを恐れ、より一般的で男性的とされる「デビッド」という名前に変更したと言われています。

このエピソードは、当時のテレビ業界の保守的な側面を象徴するうんちくとして有名です。

哀愁のエンディングと「ミスター・マギー」の追跡

ドラマ「超人ハルク」の魅力を決定づけたのは、その「逃亡者」スタイルの切ない物語構造です。

デビッド・バナーは、ハルクの力を悪用しようとする者や、ハルクを(デビッドが起こしたとされる)殺人事件の犯人として追う新聞記者ジャック・マギー(通称:ミスター・マギー)から逃れ続けなければなりません。

デビッドは行く先々で人々と出会い、彼らの問題を解決するために力を尽くしますが、ハルクに変身してしまったがために、結局はその場を去らなければならなくなります。

そして、各エピソードの最後は、ジョー・ハーネル作曲の哀愁漂うピアノ曲「The Lonely Man(孤独な男)」が流れる中、デビッドがヒッチハイクをしながら次の街へと去っていくシーンで締めくくられます。

この「悲しきヒーロー」の姿と切ないエンディングテーマは、当時の視聴者に強烈な印象を与え、ハルク=「恐ろしい怪物」ではなく、「孤独な放浪者」というイメージを確立しました。

二人一役のハルク(ビル・ビクスビーとルー・フェリグノ)

「超人ハルク」のリアリティを支えたのは、CGIのない時代に「二人一役」という手法を選んだキャスティングの妙です。

変身前の苦悩する科学者デビッド・バナー博士を演じたのは、知的な雰囲気を持つ名優ビル・ビクスビーです。

彼の繊細な演技が、ハルクという「怒り」の化身を内に秘めた男の悲しみと孤独を見事に表現しました。

そして、変身後のハルクを演じたのが、伝説的なボディビルダーのルー・フェリグノです。

当時、アーノルド・シュワルツェネッガーの最大のライバルとして知られた彼の、人間離れした筋肉(身長約196cm、体重130kg超)は、CGでは表現できない圧倒的な迫力と存在感を放ちました。

ルー・フェリグノは、全身に緑色のドーラン(メイク)を塗り、特殊なコンタクトレンズとウィッグを装着してハルクを演じました。

彼自身が幼少期に聴覚のほとんどを失うというハンディキャップを乗り越えてきた経験が、ハルクの「言葉を持たない怒り」の表現に深みを与えたとも言われています。

ビル・ビクスビーの「静(知性)」とルー・フェリグノの「動(肉体)」、この二人の完璧な融合こそが、ドラマ「超人ハルク」の最大の成功要因でした。

「超人ハルク」の参考動画

「超人ハルク」のまとめ

テレビドラマ「超人ハルク」は、現代のCGIを駆使したマーベル映画とは全く異なる魅力を持つ作品です。

それは、主人公の名前が「ブルース」から「デビッド」に変更されたという製作裏の「うんちく」や、「ミスター・マギー」に追われ続ける孤独な逃亡劇といったストーリーからも伺えます。

ビル・ビクスビーが演じたデビッド・バナーの深い苦悩と、ルー・フェリグノがその肉体で体現した純粋な怒り、そして哀愁のエンディングテーマ「The Lonely Man」。

これらが組み合わさった時、「超人ハルク」は単なるヒーロー活劇ではなく、誰もが内に秘めている「怒り」と「悲しみ」に寄り添う、不朽のヒューマンドラマとなったのです。

関連トピック

ビル・ビクスビー: デビッド・バナー博士を演じた俳優であり監督。知的で繊細な演技で、ドラマ版ハルクの「悲しみ」の側面を確立しました。

ルー・フェリグノ: ハルクを演じた伝説的ボディビルダー。CGIのない時代に、その驚異的な肉体でハルクを実体化させました。後のMCU映画(『インクレディブル・ハルク』など)でも、ハルクの「声(うなり声)」を担当したり、警備員役でカメオ出演しています。

The Lonely Man (孤独な男): ジョー・ハーネル作曲のエンディングテーマ。ドラマのラスト、放浪するデビッドの姿と共に流れるこのピアノ曲は、作品の「哀愁」を象徴する曲としてあまりにも有名です。

ジャック・マギー: ハルクを執拗に追いかける新聞記者。主人公を追う「追跡者」として、ドラマの緊張感を高める重要な役割を担いました。彼の存在が、デビッドが安住の地を得られない理由となっています。

関連資料

『超人ハルク』 (テレビドラマ版 DVD): 現在でも根強い人気を誇るドラマシリーズ本編。ビル・ビクスビーの苦悩とルー・フェリグノの迫力を確認できます。

『インクレディブル・ハルク』 (2008年映画): MCU版の映画。ドラマ版へのオマージュが散りばめられており、冒頭の変身シーンでビル・ビクスビーの姿がテレビに映ったり、ルー・フェリグノがカメオ出演しています。

『パンピング・アイアン』 (ドキュメンタリー映画): ルー・フェリグノがハルク役を得る以前、アーノルド・シュワルツェネッガーとミスター・オリンピアの座を競い合う姿を描いたドキュメンタリー。彼の肉体の凄まじさが分かります。

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