YouTubeで「クイーンズ・ギャンビット」
概要
「クイーンズ・ギャンビット」は、2020年にNetflixで配信されたリミテッドシリーズです。
原作はウォルター・テヴィスが1983年に発表した同名の小説です。
物語の舞台は1950年代から1960年代、冷戦下のアメリカ。
ケンタッキー州の孤児院に預けられた少女ベス・ハーモンが、用務員からチェスを学び、その驚異的な才能を開花させていく姿を描いています。
彼女は薬物やアルコールへの依存という内面的な葛藤と闘いながら、男性が支配的だった当時のチェス界の頂点、そして世界チャンピオンの座を目指します。
天才ゆえの孤独と、彼女を取り巻く人々との交流、そして息をのむようなチェスの対局シーンが、緻密な時代考証と共に描かれるヒューマンドラマです。
オープニング
「クイーンズ・ギャンビット」はNetflixのリミテッドシリーズであり、伝統的なオープニング(OP)映像はありませんが、作品の緊張感と世界観を凝縮した公式予告編がYouTubeで公開されています。
詳細
本作は、ウォルター・テヴィスの小説『クイーンズ・ギャンビット』を原作としています。
監督・脚本・製作総指揮はスコット・フランクが務め、アラン・スコットと共に企画開発を行いました。
2020年10月23日にNetflixで全7話のリミテッドシリーズとして配信が開始されました。
1960年代のファッション、インテリア、音楽などが忠実に再現されており、そのビジュアルの美しさも高く評価されています。
チェスの対局シーンは、伝説的なチェスプレイヤーであるブルース・パンドルフィーニやガルリ・カスパロフの監修を受けており、リアリティと芸術性を両立させています。
主人公ベスの成長物語であると同時に、依存症との戦い、そして女性が自らの才能で道を切り開く姿を描いたフェミニズム的な側面も持つ作品です。
キャスト
本作は、主人公ベス・ハーモンを演じたアニャ・テイラー=ジョイの卓越した演技によって、世界的な評価を獲得しました。
- ベス・ハーモン: アニャ・テイラー=ジョイ (幼少期: イスラ・ジョンストン)
- アルマ・ウィートリー(ベスの養母): マリエル・ヘラー
- シャイベルさん(孤児院の用務員): ビル・キャンプ
- ハリー・ベルティック(ケンタッキー州チャンピオン): ハリー・メリング
- ベニー・ワッツ(全米チャンピオン): トーマス・ブロディ=サングスター
- ジョリーン(孤児院の友人): モーゼス・イングラム
- ボルゴフ(ソ連の世界チャンピオン): マルチン・ドロチンスキ
キャストの代表作品名
「クイーンズ・ギャンビット」で複雑なキャラクターを見事に演じきったキャスト陣の、他の代表的な出演作品をご紹介します。
アニャ・テイラー=ジョイ (Anya Taylor-Joy)
本作でゴールデングローブ賞やエミー賞など数々の賞に輝き、一躍トップスターとなりました。
ミステリアスな雰囲気と強い眼差しが魅力の女優です。
- 『ウィッチ』 (トマシン 役)
- 『スプリット』 (ケイシー・クック 役)
- 『マッドマックス:フュリオサ』 (フュリオサ 役)
トーマス・ブロディ=サングスター (Thomas Brodie-Sangster)
子役時代から活躍し、本作ではカリスマ的なライバルチェスプレイヤーを演じました。
- 『ラブ・アクチュアリー』 (サム 役)
- 『メイズ・ランナー』シリーズ (ニュート 役)
- 『ゲーム・オブ・スローンズ』 (ジョジェン・リード 役)
ハリー・メリング (Harry Melling)
「ハリー・ポッター」シリーズのダドリー・ダーズリー役として有名ですが、本作ではベスを支える知的なライバル、ハリー・ベルティックを好演し、役者としての幅広さを見せつけました。
- 『ハリー・ポッター』シリーズ (ダドリー・ダーズリー 役)
- 『バスターのバラード』 (ハリソン 役)
- 『ほの蒼き瞳』 (エドガー・アラン・ポー 役)
まとめ
「クイーンズ・ギャンビット」は配信開始直後から世界的な現象となりました。
批評家からは満場一致に近い称賛を受け、第78回ゴールデングローブ賞ではリミテッドシリーズ・テレビ映画部門の作品賞および女優賞(アニャ・テイラー=ジョイ)の2部門を受賞しました。
さらに、第73回プライムタイム・エミー賞では、リミテッドシリーズ部門の作品賞を含む11部門を受賞するという快挙を成し遂げました。
社会的影響も絶大で、このドラマのヒットにより、世界中でチェスブームが再燃しました。
チェスセットの売上が急増し、オンラインチェスサイトの会員数も爆発的に増加したと報告されています。
また、原作小説もベストセラーリストに返り咲きました。
一人の女性が自らの才能と努力、そして他者との絆によって困難を乗り越え頂点に立つという王道の物語でありながら、依存症や孤独といった現代的なテーマを見事に織り交ぜた、2020年代を代表する傑作ドラマの一つです。
作品関連商品
「クイーンズ・ギャンビット」の世界的なヒットを受け、様々な関連商品が注目を集めました。
- 原作小説: ウォルター・テヴィス著『クイーンズ・ギャンビット』(新潮文庫)。ドラマのヒットを受け、待望の邦訳版が出版されました。
- チェスセット: ドラマの影響で、様々なデザインのチェス盤と駒の売上が世界的に急増しました。劇中に登場するようなデザインのものも人気を集めています。
- サウンドトラック: カルロス・ラファエル・リベラが手掛けた、緊張感と叙情性を兼ね備えた劇伴音楽を収録したサウンドトラック。
- ファッションアイテム: 1960年代のレトロで洗練されたベスのファッション(特にクレージュやピエール・カルダン風のスタイル)にインスパイアされたアパレルアイテムや関連書籍。