『タイムトンネル』の面白うんちく!巨匠J・ウィリアムズのテーマ曲、衣装の使い回し、幻の日本未放送回を徹底解説

『タイムトンネル』の面白うんちく!巨匠J・ウィリアムズのテーマ曲、衣装の使い回し、幻の日本未放送回を徹底解説

『タイムトンネル』の概要

『タイムトンネル』(原題: The Time Tunnel)は、1966年から1967年にかけてアメリカABCで放送されたSFテレビドラマです。

「SFの帝王」と呼ばれるアーウィン・アレンが製作総指揮を務めた作品の一つで、アリゾナの砂漠の地下深くに建設された極秘の時間航行プロジェクト「チックタック計画」を舞台にしています。

タイムトンネル装置の不具合により、過去と未来を漂流することになった二人の科学者、トニー・ニューマン博士とダグ・フィリップス博士の冒険を描き、日本でも1967年にNHKでカラー放送され、大人気を博しました。

『タイムトンネル』の詳細うんちく

うんちく1: SFの巨匠アーウィン・アレン製作

本作は、『原子力潜水艦シービュー号』『宇宙家族ロビンソン』『巨人の惑星』と並ぶ、アーウィン・アレン製作の「60年代SFテレビドラマ4部作」の一つとして知られています。

アーウィン・アレン作品の特徴は、派手な爆発シーン、個性的なメカデザイン、そして「セットや小道具の使い回し」にあり、『タイムトンネル』もその例外ではありませんでした。

うんちく2: 驚異の「コスト削減術」と撮影の裏側

『タイムトンネル』の制作費は潤沢とは言えませんでした。

そのため、アーウィン・アレンは驚くべきコスト削減術を実行します。

  • セットの使い回し:
    番組の「顔」であるタイムトンネルのコントロールルームは、実は『原子力潜水艦シービュー号』のセットを改造・流用したものでした。特に、壁一面に点滅する巨大なコンピューターは、両作品でほぼ同じものが使われています。

  • 衣装の使い回し:
    未来の宇宙人を描いたエピソードでは、『宇宙家族ロビンソン』で使われた銀色の宇宙服や小道具がそのまま登場することがありました。

  • 過去の映画フィルムの流用:
    本作の大きな特徴は、ダグとトニーが歴史的な大事件に遭遇することです。

    第1話の「タイタニック号沈没」や、「アラモの砦」「ビリー・ザ・キッドとの遭遇」などのシーンでは、20世紀フォックスが保有していた過去の歴史映画のフィルム(ストック・フッテージ)が巧みに流用されました。

    白黒映画の映像をカラー化して挿入し、ダグとトニーの出演シーンをそれらしく撮影することで、低予算ながらスペクタクルな映像を作り出すことに成功しました。

うんちく3: テーマ曲は、あの「ジョン・ウィリアムズ」

一度聴いたら忘れられない、緊迫感あふれるオープニングテーマ曲。

この作曲家こそ、当時まだ「ジョニー・ウィリアムズ」名義で活動していた、後の映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ(『スター・ウォーズ』『E.T.』)です。

『宇宙家族ロビンソン』など、アーウィン・アレン作品の多くで若き日の彼が音楽を手掛けており、『タイムトンネル』のテーマ曲は、彼の初期の傑作の一つとして高く評価されています。

うんちく4: 日本では「放送されなかった」2つの回

『タイムトンネル』は全30話が制作されましたが、1967年にNHKで放送された際は、全28話のみでした。

放送されなかったのは、第4話「真珠湾攻撃(The Day The Sky Fell In)」と第17話「南硫黄島(Kill Two By Two)」の2本です。

これらはどちらも第二次世界大戦における日本軍が敵として登場するエピソードであり、当時の日本人の感情に配慮して放送が見送られたと言われています。(現在はDVDなどで視聴可能です)

うんちく5: 豪華すぎた日本版「声優ドリームチーム」

日本での人気を決定づけたのは、ベテラン声優陣による名吹き替えでした。

  • トニー・ニューマン博士(ジェームス・ダーレン):
    宗近晴見(むねちか はるみ)が担当。二枚目なトニーにぴったりの声で人気を博しました。

  • ダグ・フィリップス博士(ロバート・コルバート):
    小笠原良知(おがさわら よしとも)が担当。冷静沈着なダグの知的な魅力を引き出しました。

  • カーク所長(ホイット・ビッセル):
    小山源喜(こやま げんき)が担当。

  • スウェイン博士(ジョン・ザレンバ):
    久米明(くめ あきら)が担当。彼の「タイムトンネル。それは…」で始まる格調高いオープニング・ナレーションは、番組の象徴となりました。

うんちく6: 突然の「打ち切り」と最終回

『タイムトンネル』は人気番組でしたが、わずか1シーズン(全30話)で放送が終了(打ち切り)となりました。

高額な制作費がネックになったとも言われています。

そのため、明確な「最終回」は存在しません。

最後の第30話「火山の島(Town of Terror)」でも、ダグとトニーはタイムトンネルのコントロールが戻らないまま、次の時代(詳細は不明)へと転送されてしまい、二人の時間旅行は永遠に続く…という形で幕を閉じます。

参考動画

まとめ

『タイムトンネル』は、60年代SFドラマの黄金期を象徴する作品です。

アーウィン・アレン得意の「流用テクニック」で生み出されたスペクタクル映像、若き日のジョン・ウィリアムズによる緊迫感あふれるテーマ曲、そして久米明の名ナレーションと豪華声優陣による日本語版は、日本の子供たちに強烈な印象を残しました。

わずか1シーズンで終わったにもかかわらず、今なお多くのファンに「SFドラマの原点」として愛され続けているのは、ダグとトニーの終わらない冒険が、視聴者の想像力をかき立て続けているからに他なりません。

関連トピック

アーウィン・アレン (Irwin Allen): 本作の製作総指揮。『宇宙家族ロビンソン』『原子力潜水艦シービュー号』『巨人の惑星』、さらに映画『タワーリング・インフェルノ』なども手掛けた「パニック映画の巨匠」でもあります。

ジョン・ウィリアムズ (John Williams): 本作のテーマ曲を作曲した、世界で最も有名な映画音楽の作曲家の一人です。

タイムトラベル (Time Travel): 時間旅行をテーマにしたSFのジャンルです。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ドクター・フー』など、多くの名作を生んでいます。

ストック・フッテージ (Stock Footage): 過去の映画やニュース映像など、別の目的で撮影された既存のフィルム素材のこと。本作では多用されました。

関連資料

『タイムトンネル』DVD COLLECTOR’S BOX: 全30話(日本未放送分含む)を収録。久米明のナレーションや当時の吹き替え音声も(一部)楽しむことができます。

アーウィン・アレン製作作品のDVD: 『宇宙家族ロビンソン』など、他の3作品と見比べると、セットや小道具の「使い回し」を発見するというマニアックな楽しみ方ができます。

ジョン・ウィリアムズの初期作品集CD: 『タイムトンネル』のテーマ曲が収録されているサウンドトラック盤もあります。

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