『タイムトンネル』「魔術師マーリン」徹底解説!SFと「本物の魔法」が激突する伝説の回
概要:SFを震撼させた「本物の魔法」
傑作SFドラマ『タイムトンネル』の中でも、その異色な作風でファンの記憶に強く残っているのが、エピソード「魔術師マーリン」(原題: “Merlin the Magician”)です。
この物語は、科学の結晶であるタイムトンネルが、「説明不能な本物の魔法」という超常的な力と遭遇するという、シリーズでも類を見ない衝撃的な展開を描いています。
トニーとダグが飛ばされたのは、伝説のアーサー王が治める6世紀のイギリス。
そこで彼らを待ち受けていたのは、敵軍のヴァイキングと、そしてすべてを見通す謎の魔術師マーリンでした。
『タイムトンネル』魔術師マーリンのあらすじと、科学と魔法の対決の行方を詳しく解説します。
詳細:科学と魔法の対峙
6世紀イギリスと「本物の魔法」
「魔術師マーリン」は、日本放送版では第13話として放送されました(本国では第20話)。
トニーとダグが転送されたのは、西暦544年のイギリス、アーサー王が治めるキャメロットの宮廷でした。
彼らは到着早々、アーサー王と敵対するヴァイキングとの戦闘に巻き込まれてしまいます。
トニーとダグは、当然のように科学的な知識や未来の戦術でこの危機を乗り越えようとします。
しかし、この時代には彼らの常識を遥かに超えた存在がいました。
それが、アーサー王に仕える魔術師マーリンです。
すべてを見通すマーリンの「魔力」
このエピソードが異色なのは、マーリンを「未来人」や「高度な科学者」といったSF的な解釈で描かなかった点にあります。
ここに登場するマーリンは、まさしく「本物の魔法」を使う超常的な存在として描かれています。
彼は、トニーとダグが何者であるかを一目で見抜き、彼らが「時空の穴(タイムトンネル)」を通って未来からやってきたことまで正確に言い当てます。
さらに恐るべきことに、マーリンの魔力はアリゾナのタイムトンネル基地にまで及びます。
彼は、モニター越しに二人を見守るアン博士やカーク所長たちの存在を感知。
マーリンが基地のスタッフに直接語りかけ、アン博士を名指しで呼ぶシーンは、科学者たちを震撼させ、説明不能な力に対する恐怖を視聴者に植え付けました。
科学(タイムトンネル)が、魔法(マーリン)によって一方的に翻弄されるのです。
科学と魔法の共闘
マーリンは当初、トニーとダグを未来からの侵入者として敵視し、彼らの行動を妨害します。
トニーたちが銃(ヴァイキングから奪ったものか、あるいは未来の知識で作成したもの)を使おうとすると、魔法で不発にさせるなど、二人はマーリンの強大な力の前に無力です。
しかし、やがてマーリンは、トニーとダグがアーサー王の勝利に不可欠な存在であることを予見します。
物語のクライマックスでは、科学と魔法が協力し、ヴァイキングの軍勢を打ち破ります。
科学者であるトニーとダグの知恵と、マーリンの超常的な魔術が融合し、アーサー王に勝利をもたらすのです。
このエピソードは、科学万能の世界観であった『タイムトンネル』において、「科学では解明できない力」の存在を明確に描いた、極めて挑戦的な物語でした。
参考動画:『タイムトンネル』「魔術師マーリン」
まとめ:科学の限界を描いた意欲作
『タイムトンネル』の「魔術師マーリン」は、SFドラマの枠組みを大胆に超え、ファンタジーの領域に踏み込んだ意欲作です。
科学の粋を集めたタイムトンネル基地が、一人の魔術師の「魔法」によって無力化され、翻弄される姿は、シリーズ全体を通しても屈指のインパクトを誇ります。
歴史上の出来事をなぞるだけではない、『タイムトンネル』の奇想天外な魅力と奥深さを象徴するエピソードとして、今なお語り継がれています。
科学と魔法のどちらが優れているかではなく、未知なるものとの遭遇を描いた、まさにSFの醍醐味が詰まった一編と言えるでしょう。
関連トピック
『タイムトンネル』 (テレビドラマ)
1960年代に放送されたアーウィン・アレン製作のSFドラマ。二人の科学者が時空を漂流し、様々な歴史的事件に遭遇する物語です。
アーサー王伝説
6世紀頃のイギリス(ブリテン)にいたとされる伝説的な王。円卓の騎士や聖剣エクスカリバー、魔術師マーリンなどの物語で知られます。
魔術師マーリン
アーサー王伝説に登場する伝説的な魔術師。アーサー王の助言者であり、超常的な力を持つとされています。このエピソードではその力がタイムトンネルの科学力を凌駕しました。
キャメロット
アーサー王が宮廷を置いたとされる伝説上の城。円卓の騎士が集う場所として知られます。
関連資料
『タイムトンネル』 DVD-BOX
全30話が収録されたコンプリートボックス。「魔術師マーリン」を含む、すべてのエピソードを視聴することができます。
『アーサー王の死』 (トマス・マロリー著)
アーサー王伝説の集大成ともいえる古典文学。マーリンや円卓の騎士たちの活躍が詳細に描かれています。
『王様の剣』 (ディズニー映画)
アーサー王の少年時代と、魔術師マーリンとの出会いをコミカルに描いたアニメーション映画。本作とは異なるマーリン像が楽しめます。

