【タイムトンネル】アン・マグレガー博士の魅力とは？迷える旅人を支えた才色兼備の科学者

「タイムトンネル」におけるアン・マグレガー博士の概要

1966年から1967年にかけて放送されたアメリカのSFドラマ『タイムトンネル（The Time Tunnel）』。

アリゾナ砂漠の地下深くに建設された極秘の時間旅行プロジェクト「チック・トック計画」を舞台に、過去や未来へ飛ばされた二人の科学者（トニーとダグ）の冒険を描く本作において、現代（基地）から彼らをサポートし続けたのがアン・マグレガー博士です。

彼女は、タイムトンネルを制御する重要な科学者の一人であり、その知性と美貌、そして旅人たちを思う深い愛情で、緊迫するコントロールルームに人間味を与えた名キャラクターです。

アン・マグレガー博士（演：リー・メリウェザー）は、単なる「基地の女性スタッフ」ではありません。彼女の存在は、ドラマのサスペンスと感情的な繋がりを維持するために不可欠でした。

アン博士は、レイモンド・スウェイン博士、ヘイウッド・カーク所長と共に、タイムトンネルの管制室で指揮を執ります。

彼女の主な役割は、時間旅行中であるトニーとダグの生命反応（バイタルサイン）をモニターし、彼らの健康状態や周囲の環境を分析することです。

また、複雑な電子回路の修理や調整もこなし、時には爆発寸前のコンソールに飛びついて危機を回避するなど、行動力のある科学者として描かれています。彼女がモニターを見つめ、「脈拍が上昇しています！」「転送準備完了！」と叫ぶ姿は、この番組の様式美の一つです。

アン博士の最大の魅力は、その「人間的な優しさ」にあります。

トニーとダグを単なる実験台としてではなく、大切な友人・家族として案じており、彼らが危機に陥ると涙を流したり、無謀な救出作戦を提案したりすることもありました。

冷徹な判断を下さなければならないカーク所長や、技術的な側面に集中するスウェイン博士に対し、アン博士は常に視聴者の感情を代弁する「良心」のような存在でした。彼女の祈るような表情が、視聴者を物語に引き込む役割を果たしていたのです。

アン博士を演じたリー・メリウェザーは、1955年のミス・アメリカに輝いた経歴を持つ美女です。

彼女は同時期の映画版『バットマン』（1966年）でキャットウーマンを演じたことでも知られており、当時のSF・ファンタジー作品におけるアイコン的存在でした。

『タイムトンネル』においては、白衣姿の知的な美しさはもちろん、常に完璧にセットされたヘアスタイルや、60年代らしいエレガントな立ち振る舞いが、男性ばかりの殺伐とした地下基地に彩りを添えていました。

アン・マグレガー博士は、60年代のSFドラマにおいて「美しく、かつ極めて優秀な理系女性」というキャラクター像を確立した先駆者の一人です。

彼女がいなければ、トニーとダグはとっくの昔に歴史の藻屑と消えていたでしょうし、ドラマ自体も無機質なものになっていたでしょう。

現在でも『タイムトンネル』が名作として語り継がれる背景には、過去の世界で戦うヒーローたちと、それを必死に守ろうとするアン博士の「時空を超えた信頼関係」があったからこそです。