もしも人生でいちばんやり直したい日に戻れるドアがあったら、あなたは開けますか。
コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが初共演した『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』は、そんな問いを大人のロマンスとして描いたファンタジー映画です。
監督は『アフター・ヤン』のコゴナダ、音楽はジブリ作品でおなじみの久石譲。
豪華な顔ぶれの一方で、海外では評価が大きく割れ、興行的にも苦戦しました。
この記事では、作品の基本情報やあらすじに加えて、英語圏のインタビューや批評から拾った制作の裏話や評価のポイントまで、詳しくまとめています。
- 作品の基本情報と、ネタバレなしのあらすじ・世界観
- 久石譲の起用やミュージカルシーンなど、英語圏の取材でわかった制作秘話
- Rotten Tomatoes・IMDb・Metacriticのスコアと、海外で評価が割れた理由
- 結末の解説と考察(ネタバレは専用セクションに分けています)
作品の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | A Big Bold Beautiful Journey |
| 邦題 | ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行 |
| 制作国 | アメリカ |
| 公開年 | 2025年(全米:2025年9月19日/日本:2025年12月19日) |
| ジャンル | ロマンティック・ファンタジー、ヒューマンドラマ |
| 監督 | コゴナダ(Kogonada) |
| 脚本 | セス・リース(Seth Reiss) |
| 原作 | なし(オリジナル脚本) |
| 音楽 | 久石譲 |
| 撮影 | ベンジャミン・ローブ(Benjamin Loeb) |
| 配給 | ソニー・ピクチャーズ |
| 上映時間 | 109分 |
| 日本での視聴方法 | Amazonプライム・ビデオなどでデジタル配信中、Blu-ray+DVDセットも発売中(2026年11月時点) |
作品の概要
『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』は、結婚式で出会った独身の男女が、不思議なカーナビに導かれて自分たちの過去をめぐるロードムービー型のロマンティック・ファンタジーです。
タイムトラベルものですが、歴史を変える冒険ではありません。
自分の後悔や心の傷と静かに向き合う、内省的なドラマになっています。
脚本を書いたのは、映画『ザ・メニュー』の共同脚本家として知られるセス・リースです。
この脚本は2020年、ハリウッドで評判の高い未映像化脚本を選ぶ「ブラックリスト(The Black List)」に選ばれました。
2024年2月にコゴナダの監督起用が発表され、同じ月にベルリンの欧州映画市場(EFM)で、ソニーが5,000万ドル規模とされる契約で権利を獲得しています。
米業界紙Deadlineは、この脚本を「市場でもっとも熱い脚本の一つ」と伝えました。
監督のコゴナダは、韓国系アメリカ人の映像作家です。
建築と人間を静かに見つめた『コロンバス』(2017年)、AIロボットと家族の絆を描いた『アフター・ヤン』(2021年)で、批評家から高い評価を受けてきました。
今作では、宮崎駿の『ハウルの動く城』や、記憶を消す恋愛映画『エターナル・サンシャイン』からの影響を公言しています。
主演は、『イニシェリン島の精霊』でアカデミー賞にノミネートされたコリン・ファレルと、『バービー』で主演と製作を務めたマーゴット・ロビーです。
2人とも、大きな話題作の直後に選んだ作品でした。
撮影は2024年4月にカリフォルニアで始まり、全米公開は当初の2025年5月から9月に延期されています。
「過去に後悔を抱えている大人」「ジブリ作品の空気感が好きな人」「派手さより余韻を味わう恋愛映画が好きな人」には、特に刺さる一本です。
反対に、テンポの良いタイムトラベル・エンターテインメントを期待すると、物足りなく感じるかもしれません。
予告編・オープニング映像
あらすじと世界観(ネタバレなし)
主人公のデヴィッドは、10代のころにアイルランドからアメリカへ移り住んだ独身の男性です。
子どものころの夢は「夫になり、父親になること」でしたが、40代になった今も独り身です。
ある日、車を差し押さえられた彼は、街外れの奇妙なレンタカー店を訪ねます。
そこで貸し出されたのは、1994年式のサターンSL。
しかも、喋る不思議なGPS(カーナビ)付きでした。
その車で友人の結婚式に向かったデヴィッドは、結婚に興味がないと言い切るサラと出会います。
帰り道、カーナビの指示で立ち寄った先でサラと再会し、2人は同じレンタカー店で車を借りていたことを知ります。
サラの車が動かなくなったことをきっかけに、2人は1台の車で旅に出ることになります。
カーナビが導く先には、野原や森の中にぽつんと立つ不思議なドアがあります。
ドアの向こうには、それぞれの人生の分岐点となった「過去の一日」が広がっています。
高校時代の淡い初恋や、母との別れの場面などに足を踏み入れた2人は、その時間をもう一度生き直すことになります。
過去を書き換える物語ではなく、かつての自分や大切な人を見つめ直していく物語です。
世界観は、現実の延長に魔法がそっと紛れ込む「マジックリアリズム」の手法で描かれています。
赤いドアや青いドア、劇場のような空間など、舞台装置をそのまま映画に持ち込んだような演出が特徴です。
見どころ
久石譲のハリウッド初スコアが描く「大人のジブリ」
最大の話題は、久石譲が初めてハリウッド映画の音楽を担当したことです。
コゴナダは英Inverseのインタビューで、編集中の仮音楽に『ハウルの動く城』の曲を多く使っていたと明かしています。
韓国メディアの報道によると、久石の参加は、映画の制作を知った久石側から声をかけたことがきっかけだったそうです。
日本の映画サイトでは「大人のジブリ」とも評され、懐かしさとときめきが混ざった旋律が、不思議なドアの世界をやさしく包みます。
コゴナダならではの、絵画のような映像
左右対称の構図や、広い空間に人物を小さく置く画づくりは、コゴナダ監督のトレードマークです。
今作では、大草原に立つ赤いドアや、温室の中の青いドアなど、一枚の絵のようなショットが続きます。
海外の批評でも、ストーリーに厳しい意見を書いた評者の多くが、映像の美しさは認めていました。
コリン・ファレルの「本気のミュージカル」
高校時代の場面で、デヴィッドは学校で上演したミュージカル『努力しないで出世する方法(How to Succeed in Business Without Really Trying)』の舞台に立ちます。
ファレルが全力で歌って踊るこのシーンは、米SlashFilmが「ちゃんとしたミュージカル映画に出してほしい」と書いたほどの出来です。
『アフター・ヤン』でもファレルにダンスをさせたコゴナダは、またしてもファレルを踊らせたことになります。
過去と向き合う、ほろ苦い人間ドラマ
ドアの先にある過去は、楽しい思い出ばかりではありません。
親との確執、恋人を傷つけた記憶、大切な人の最期に立ち会えなかった後悔などが、2人の前に次々と現れます。
人生の折り返し地点を過ぎた大人ほど、自分の「やり直したい日」と重ねて観てしまうはずです。
ローファイ、ミツキらの楽曲
久石のスコアに加えて、劇中には人気シンガーソングライターのローファイ(Laufey)の楽曲4曲が使われています。
さらに、ミツキ(Mitski)がザ・フーのピート・タウンゼント(Pete Townshend)の「Let My Love Open the Door」をカバーしています。
「ドア」がテーマの映画に、この選曲は粋な仕掛けです。
制作秘話・トリビア
マーゴット・ロビーは、休業するつもりだった
日本の配給元が公開したキャスティング秘話によると、ロビーは『バービー』の大ヒットのあと、長い休みを取るつもりでした。
プロデューサー陣は、断られる前提で第一候補の彼女にオファーしたそうです。
最初は断るつもりだったロビーも、コリン・ファレルが出演すると聞いて脚本を読み、すぐに出演を決めたといいます。
本作は、ロビーが母親になってから初めてのスクリーン復帰作でもあります。
ファレルにとっては「穴があったら入りたい」撮影
米Entertainment Weeklyの取材でファレルは、高校ミュージカルの場面を「屈辱的だった(mortifying)」と振り返っています。
一方のロビーは、客席に座ってコリンの高校ミュージカルを観られたと、楽しそうに語っています。
米JoBloのインタビューでも、照れるファレルをロビーがからかい続けていたそうです。
コゴナダは「ドア」にこだわった
米Flood Magazineのインタビューでコゴナダは、以前クライテリオン・コレクションのために書いたロベール・ブレッソン論に触れています。
ブレッソンはドアの音を愛し、エルンスト・ルビッチもドアを好んで使った、そして宮崎駿の『ハウルの動く城』には魔法のドアがある、と語りました。
本作の「ドア」は、映画史への敬意から生まれたモチーフでもあります。
アニメを本格的に参考にしたのは初めて
コゴナダはInverseに対し、ビジュアルの参考資料(ルックブック)にアニメを本格的に取り入れたのは今回が初めてだと話しています。
宮崎駿作品のほか、新海誠の『君の名は。』なども大きな刺激になったと紹介されています。
『パチンコ』と『アコライト』の経験が生きた
コゴナダは『アフター・ヤン』と本作の間に、Apple TV+のドラマ『Pachinko パチンコ』と、Disney+の『スター・ウォーズ:アコライト』のエピソード監督を務めました。
米TheWrapは、大規模なドラマ制作の経験が、今回のスケールの大きな作品に生きたと伝えています。
ペンギンとハーレイ・クインの意外な縁
ファレルは『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』のペンギン、ロビーは『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』などのハーレイ・クインと、2人はDCの悪役を演じた者同士です。
EWのインタビューでロビーは、『ハーレイ・クイン~』の初期稿では、悪役がブラックマスクではなくペンギンだったという裏話を披露し、ファレルを驚かせました。
バーガーキングとサターン
劇中では、2人が再会する場所としてバーガーキングが登場します。
この露骨な商品の映り込み(プロダクト・プレイスメント)は、海外の批評家から「見ていて恥ずかしくなる」と批判されました。
また、2人が乗る1994年式のサターンSLは、すでに消滅したGMのブランド「サターン」の車で、レトロな雰囲気づくりに一役買っています。
キャストとキャラクター紹介
デヴィッド(演:コリン・ファレル/吹替:三木眞一郎)
10代でアイルランドから移住してきた、穏やかで少し不器用な男性です。
「夫になり、父親になる」という子どものころの夢をかなえられないまま、中年を迎えています。
ロマンチストで、運命の恋を信じたい気持ちと、過去の失敗への後悔の間で揺れ続けます。
旅の中で、高校時代の自分や家族と向き合い、少しずつ前に進む力を取り戻していきます。
サラ(演:マーゴット・ロビー/吹替:坂本真綾)
結婚にも恋愛にも冷めた態度をとる、皮肉屋でユーモアのある女性です。
大学時代に母を亡くしたことが、心の奥に深い影を落としています。
人を好きになると相手を傷つけてしまうという恐れから、いつも先に関係を終わらせてきました。
過去のドアをくぐるたびに、強がりの下にある本当の気持ちがあらわになっていきます。
整備士(演:ケヴィン・クライン)
不思議なレンタカー店で働く整備士です。
どこかとぼけた雰囲気で、店と車の秘密を知っていそうな、物語の「魔法使い」のような存在です。
登場時間は短いものの、名優クラインの存在感が、ファンタジーの世界に説得力を与えています。
レンタカー店の受付係(演:フィービー・ウォーラー=ブリッジ)
デヴィッドとサラに車を貸し出す、ちょっと風変わりな受付係です。
淡々とした口調と独特のユーモアで、不思議な旅の入り口を演出します。
『フリーバッグ』で知られるウォーラー=ブリッジらしい、くせのある味わいのキャラクターです。
GPSの声(演:ジョディ・ターナー=スミス)
2人の車に搭載された、喋るカーナビの声です。
行き先を勝手に決め、2人を次のドアへと導いていく、旅の案内人です。
姿は見えませんが、物語を動かす重要な役割を担っています。
サラの母(演:リリー・レイブ)/デヴィッドの父(演:ハミッシュ・リンクレイター)
過去のドアの向こうで、2人がもう一度出会う家族です。
サラにとって母は、もっとも幸せな記憶であると同時に、もっとも大きな後悔の源でもあります。
デヴィッドの父は、家族の危機に不安を隠せない、人間味のある父親として描かれます。
主要キャスト・スタッフの経歴と代表作
コリン・ファレル(Colin Farrell)
アイルランド出身の俳優で、『ヒットマンズ・レクイエム』や『イニシェリン島の精霊』でゴールデングローブ賞を受賞し、後者ではアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされました。
ドラマ『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』でもゴールデングローブ賞を受賞しており、近年は演技派として再評価が進んでいます。
コゴナダ監督とは『アフター・ヤン』以来、2度目のタッグです。
本作では、自身と同じアイルランド出身という設定のデヴィッドを、ミュージカルシーンも含めて柔らかく演じています。
英紙の取材では、ロビーとの共演を「魔法のようだった」と語り、また一緒に仕事をしたいと話しています。
マーゴット・ロビー(Margot Robbie)
オーストラリア出身で、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でブレイクし、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』『スキャンダル』でアカデミー賞にノミネートされました。
主演と製作を務めた『バービー』は、世界興行収入14億ドルを超える社会現象になりました。
本作は『バービー』後、初めて主演した大作です。
米深夜番組では、長いタイトルが好きなことも出演理由の一つだと冗談まじりに話しています。
ケヴィン・クライン(Kevin Kline)
『ワンダとダイヤと優しい奴ら』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したベテラン俳優です。
舞台出身で、ミュージカルからシェイクスピアまでこなす幅の広さで知られています。
本作では、物語の鍵を握る整備士を、軽やかなユーモアで演じています。
フィービー・ウォーラー=ブリッジ(Phoebe Waller-Bridge)
ドラマ『フリーバッグ』の脚本・主演でエミー賞を受賞し、『キリング・イヴ』の製作でも知られるイギリスのクリエイターです。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』ではヒロインを演じました。
今作では短い出番ながら、独特の存在感を残しています。
監督:コゴナダ(Kogonada)
もともとはクライテリオン・コレクションや英Sight & Sound誌のために、小津安二郎やブレッソンなどの映像作家を分析するビデオエッセイを作っていたことで知られています。
「コゴナダ」という名前も、小津作品の脚本家・野田高梧にちなんだものとされています。
長編デビュー作『コロンバス』と2作目『アフター・ヤン』はどちらも批評家から高く評価され、本作は初めてのハリウッド大作となりました。
結末と考察(ネタバレあり)
⚠️ここから先はネタバレを含みます
結末までの流れ
旅を続けるうちに、2人の距離は縮まっていきます。
山の展望台では「もし一緒に結婚式に行っていたら」と想像し、キスを交わします。
しかし次のドアの先で、デヴィッドは婚約を一方的に解消した元婚約者に、サラは自分が見捨てた元恋人に責められます。
2人とも、恋愛で人を傷つけてきた過去を認めざるを得ません。
その後、車が鹿をはねて故障し、サラは「お互いを傷つける前に旅を終わらせよう」と提案します。
デヴィッドは愛を告白しますが、サラは「これはただの幻想だ」と拒みます。
モーテルで別々の夜を過ごした翌朝、2人はそれぞれ子ども時代の家へ導かれます。
デヴィッドは15歳の自分を慰め、サラは12歳のころに母と過ごした幸せな夜をもう一度生きます。
車を返しに行ったデヴィッドは、「客と運命の相手を引き合わせているんでしょう」と店員たちに冗談を言います。
一方、心を決めたサラはデヴィッドの家を訪ね、「愛している」と伝えます。
2人はキスを交わし、彼の家の玄関のドアを一緒にくぐって、物語は幕を閉じます。
考察:最後のドアは「現実」の扉
旅の間、2人がくぐってきたのは過去へ通じる魔法のドアでした。
しかしラストでくぐるのは、ごく普通の家の玄関です。
過去と向き合い終えた2人が、魔法の力を借りずに、自分の意思で未来へのドアを開けた、という象徴的な締めくくりだと読めます。
考察:「運命の人」の物語ではない
ファレルはEWの取材で、本作がソウルメイト(運命の相手)同士が出会う物語ではない点こそがユニークだと語っています。
レンタカー店が2人を引き合わせたのかどうかは、最後まではっきりしません。
大切なのは、魔法が恋をかなえたのではなく、2人が自分の傷と向き合ったからこそ、相手を受け入れられるようになったことです。
最後にサラが自分の足でデヴィッドの家を訪ねるのは、ずっと逃げてきた彼女の大きな変化を示しています。
考察:子ども時代のドアの意味
旅の最後に、2人がそれぞれ子ども時代の家へ戻る場面も印象的です。
デヴィッドは傷ついた10代の自分を自ら慰め、サラは喪失ではなく母との幸せな記憶を取り戻します。
誰かに救われるのではなく、自分で自分を癒やす体験を経て、ようやく2人は他人を愛する準備が整った、という構成になっています。
海外の評価と反響
評価スコア(2026年11月時点)
- Rotten Tomatoes:Tomatometer(批評家スコア)37%(201件)/Popcornmeter(観客スコア)57%
- IMDb:6.0/10
- Metacritic:Metascore 43(45件、「賛否両論」)/ユーザースコア 5.9
- CinemaScore(米国の公開初日観客調査):B−
批評家スコアは、公開前の試写段階では50%台でしたが、公開後に掲載された批評が増えるにつれて下がっていきました。
米メディアのmxdwnは、コゴナダ監督作として最低の批評家スコアになったと報じています。
興行成績
製作費は4,000万〜4,500万ドルと報じられていますが、北米の興行収入は約670万ドル、海外は約1,350万ドル、全世界で約2,020万ドルにとどまりました。
北米の公開初週末は350万ドルで6位と、事前予想の800万〜1,000万ドルを大きく下回り、英語圏では「興行的失敗作」と報じられています。
同じ週末には『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が全米で首位を続けており、話題をさらわれた形にもなりました。
受賞・ノミネート
2026年11月時点で、アカデミー賞・ゴールデングローブ賞などの主要な映画賞での受賞やノミネートは確認できませんでした。
批評家が褒めた点・批判した点
褒められた点としては、まず映像の美しさが挙げられます。
否定的な批評でも、コゴナダの画づくりと、ファレルとロビーの相性の良さを評価する声が多く見られました。
英Little White Liesは、感傷的な作風を受け入れられる観客にとっては、旅をする価値のある作品だと好意的に評価しています。
ファレルのミュージカルシーンは、もっとも魅力的な場面の一つとして繰り返し取り上げられました。
批判された点は、作品のトーンのちぐはぐさです。
Rotten Tomatoesの批評家総評は、高いコンセプトを楽しむには真面目すぎ、テーマを響かせるには甘すぎて、タイトルほどの旅にはなっていない、という趣旨でまとめています。
英Empireは「トーンがちぐはぐ」と評し、米Deadlineのピート・ハモンドは、展開が遅く会話が多すぎると指摘しました。
米Inverseは、映像は文句なしに美しいものの、感傷的な脚本がコゴナダの個性を窮屈にしていると分析しています。
一方で、米IndieWireのように手厳しく退屈だと切り捨てたメディアもあり、評価は大きく割れています。
観客の反応と、日本での受け止め方
米国の観客調査でも、「ぜひ人に勧めたい」と答えた人は半数に届きませんでした。
ただしMetacriticのユーザーレビューでは、2人の相性や映像、サウンドトラックを評価する声も少なくありません。
日本では「大人のジブリ」という切り口で紹介され、久石譲の音楽が大きな話題になりました。
Filmarksなどのレビューサイトでも、夢があって面白かったという好意的な感想が目立ち、海外ほど厳しい評価にはなっていない印象です。
ジブリ作品や久石譲の音楽になじみのある日本の観客にとっては、海外の観客とは違う響き方をする作品なのかもしれません。
よくある質問(FAQ)
『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』はどこで見られますか?
2026年2月4日からデジタル配信が始まっており、Amazonプライム・ビデオなどで視聴できます(2026年11月時点)。
見放題かレンタル・購入かはサービスによって異なるため、各サービスで最新情報を確認してください。
2026年4月29日にはBlu-ray+DVDセットも発売され、DVDレンタルも行われています。
実話や原作はありますか?
実話ではなく、原作もありません。
セス・リースが書いたオリジナル脚本で、2020年のブラックリストに選ばれた作品です。
続編はありますか?
2026年11月時点で、続編の制作は発表されていません。
物語は1本で完結しているため、続編を前提とした作りではありません。
音楽は誰が担当していますか?
ジブリ作品で知られる久石譲が担当しており、これが初めてのハリウッド映画音楽です。
サウンドトラックは米Milan Recordsから配信され、日本では限定のCDも発売されました。
コリン・ファレルとマーゴット・ロビーは以前にも共演していますか?
本作が初共演です。
ファレルは取材で、ロビーの評判を長年同業者から聞いていたと話し、また共演したいと語っています。
まとめ
『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』は、コゴナダ監督の美しい映像、久石譲の音楽、ファレルとロビーの相性の良さがそろった、贅沢なロマンティック・ファンタジーです。
過去を変えるのではなく、過去を受け入れて未来へ進むという物語は、人生の後悔をいくつも抱えてきた大人にこそ深く響きます。
一方で、海外ではトーンのちぐはぐさや展開の遅さが批判され、Rotten Tomatoesの批評家スコアは37%、興行的にも苦戦しました。
派手な展開や、凝ったタイムトラベルの仕掛けを期待すると、肩透かしに感じるかもしれません。
それでも、ジブリ作品の空気が好きな人、久石譲の音楽に身をゆだねたい人、ゆっくりと余韻を味わう恋愛映画が好きな人には、ぜひ一度観てほしい作品です。
観終わったあとに、自分にとっての「やり直したい日」と、これから開けたいドアについて、きっと考えたくなるはずです。
関連商品
- 『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』ブルーレイ+DVDセット(2026年4月29日発売、ハピネット・メディアマーケティング、品番:SPXF-1047、特典映像「ミュージカルシーンの裏側」ほか収録)
- 『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』オリジナル・サウンドトラック(久石譲、日本限定CD、2025年12月10日発売)
- 『A Big Bold Beautiful Journey (Original Motion Picture Soundtrack)』(久石譲、Milan Records、2025年9月19日リリース)
参考リスト
- A Big Bold Beautiful Journey(Wikipedia英語版)
- A Big Bold Beautiful Journey(Rotten Tomatoes)
- A Big Bold Beautiful Journey(Metacritic)
- A Big, Bold, Beautiful Kogonada Interview(Inverse)
- A Big Bold Beautiful Journey Wants To Make You Swoon(Inverse)
- Kogonada on Restoring the Possibility of Romance(FLOOD Magazine)
- How Anime Influenced Kogonada’s ‘A Big Bold Beautiful Journey’(TheWrap)
- Interview: Colin Farrell and Margot Robbie(JoBlo)
- A Big Bold Beautiful Journey Proves One Thing About Colin Farrell(/Film)
- Sony Lands ‘A Big Bold Beautiful Journey’(Deadline)
- Box Office: Demon Slayer, Him, A Big Bold Beautiful Journey(Deadline)
- Joe Hisaishi Scoring Kogonada’s ‘A Big Bold Beautiful Journey’(Film Music Reporter)
- ‘A Big Bold Beautiful Journey’ Rotten Tomatoes Score Sets Lowest Rating For Director(mxdwn)
- 久石譲、初めてのハリウッド映画は「すべてが新鮮」日本版予告(MOVIE WALKER PRESS)
- マーゴット・ロビーが「ずっと探していた」と太鼓判!インタビュー映像(MOVIE WALKER PRESS)
- まるで“大人のジブリ” やさしい時空ロマンス(シネマトゥデイ)
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