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【徹底解説】映画『インチョン!』のヤバすぎる制作裏話と大爆死の理由!幻の未円盤化事情からキャストまで総まとめ

ヒューマンドラマ
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【徹底解説】映画『インチョン!』のヤバすぎる制作裏話と大爆死の理由!幻の未円盤化事情からキャストまで総まとめ

概要

1981年に公開された映画『インチョン!』(原題:Inchon)は、朝鮮戦争における最大の転換点となった「仁川(インチョン)上陸作戦」を壮大なスケールで描いた戦争大作です。
監督は、初期の『007』シリーズ(『ドクター・ノオ』『ロシアより愛をこめて』など)を大ヒットに導いた名匠テレンス・ヤングが務めました。
そして主演のダグラス・マッカーサー元帥役には、イギリス演劇界の至宝であり、アカデミー賞俳優のローレンス・オリヴィエを起用するという、文字通り超ド級の豪華布陣で製作されました。
しかし、本作を映画史において最も有名にしているのは、その作品としての評価ではなく、「ハリウッド史に残る大爆死映画」としての不名誉な伝説です。
製作総指揮を「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)が務め、当時の金額で約4,600万ドル(現在の価値で1億ドル以上)という桁外れの巨額予算が投じられました。
しかし、その宗教的・政治的な背景が明らかになるにつれて激しい抗議運動が巻き起こり、興行収入はわずか500万ドル強という歴史的な大赤字を記録することになります。
さらに、第2回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)では、最低作品賞をはじめとする主要部門を総なめにし、「史上最低の戦争映画」というレッテルを貼られてしまいました。
現在に至るまで、欧米ではDVDやBlu-rayなどの公式なソフト化がされておらず、一部の映画ファンの間では「都市伝説化」している幻のカルト映画でもあります。
この記事では、そんな規格外のトラブルと狂気に満ちた映画『インチョン!』のあらすじや見どころ、豪華キャストの紹介、そして決して語られることのないヤバすぎる制作秘話を徹底的に深掘りして解説します。

オープニング・予告編動画

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:朝鮮戦争の勃発とマッカーサーの決断

物語は1950年6月、北朝鮮軍が北緯38度線を越えて韓国へ突如として侵攻を開始した「朝鮮戦争」の勃発から幕を開けます。
圧倒的な兵力とソ連製の戦車を前に、韓国軍とそれを支援するアメリカ軍を中心とした国連軍は後退を余儀なくされ、朝鮮半島の南端である釜山(プサン)周辺まで追い詰められてしまいます。
この絶望的な戦況を打破するため、連合国軍最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥(ローレンス・オリヴィエ)は、敵の背後を突く極秘の奇襲作戦を立案します。
それが、干満の差が激しく上陸が極めて困難とされる港町・仁川(インチョン)への大規模な水陸両用上陸作戦でした。
軍上層部やワシントンの政治家たちが「成功率は5,000分の1だ」と猛反対する中、マッカーサーは自らの信念と神への祈りを胸に、このギャンブルに等しい作戦の決行を強行します。
一方、戦場ではアメリカ海兵隊のフランク・ホールスワース少佐(ベン・ギャザラ)や、彼の別居中の妻で戦火に巻き込まれたバーバラ(ジャクリーン・ビセット)、そして韓国のために暗躍する日本の情報部員・斉藤(三船敏郎)など、様々な人々の運命が交錯していきます。
映画は、マッカーサーの苦悩と決断を軸にしながら、戦火の中で生き延びようとする人々の群像劇を描き出し、クライマックスである仁川への大艦隊の上陸シーンへと突き進んでいきます。

特筆すべき見どころ:巨額の予算が消えた謎と「段ボール戦車」

本作の本来の見どころは、約4,600万ドルという当時の映画界でもトップクラスの制作費を投じた、壮大な戦闘シーンになるはずでした。
実際に、撮影序盤にはアメリカ国防総省(ペンタゴン)の全面協力を取り付け、本物の軍艦や戦闘機、約1,500人もの現役兵士をエキストラとして動員した大規模なロケが行われました。
しかし、製作資金の出処が旧統一教会であることがアメリカ国内のメディアで報じられると、事態は急転直下します。
国防総省は突如として支援を打ち切り、機材や兵士を撤収させてしまったため、撮影現場は大パニックに陥りました。
その結果、テレンス・ヤング監督とスタッフは苦肉の策として、「段ボールで原寸大の戦車や戦闘機を作り、遠景に配置する」という、大作映画とは思えないチープな手法で撮影を続行せざるを得なくなりました。
さらに、上陸作戦の重要な目印となる灯台のセットを数百万ドルかけて建設したものの、撮影直前に台風の直撃を受けて完全に破壊されるなど、信じられないような不運が連発します。
映画本編を見ると、巨額の予算が投じられた豪華なセットや衣装と、あきらかにハリボテと分かる兵器が混在しており、その歪でアンバランスな映像そのものが、本作最大の(そして意図せぬ)見どころとなってしまっています。

制作秘話・トリビア:「お金のために出た」大物俳優の告白

本作を巡る制作秘話は、映画本編よりも遥かにドラマチックで波乱に満ちています。
最も有名なエピソードは、マッカーサーを演じた名優ローレンス・オリヴィエの出演理由です。
当時すでに70代後半で深刻な病気(ガンや胸膜炎)を患っていたオリヴィエは、なんと100万ドルという破格のギャラに加えて、移動用の専用ヘリコプターや連日の豪華なキャビアの提供といったVIP待遇を条件に出演を承諾しました。
後年のインタビューで本作への出演理由を問われたオリヴィエは、「お金だよ。家族に遺産を残すためには、クソみたいな映画でも出るしかなかったんだ」と、一切の誤魔化しなく赤裸々に語り、ハリウッドの語り草となっています。
また、プロデューサー側からの強烈な「横槍」も映画を破綻させた大きな要因です。
出資者である文鮮明の意向により、脚本には「マッカーサーが神と対話する」という宗教的なメッセージ性の強いシーンが次々と後から追加され、本来の戦争アクションとしてのテンポは完全に失われていきました。
完成後、アメリカでの公開時には劇場前で激しい抗議デモが行われ、数週間で上映打ち切りになるという大惨事となり、監督のテレンス・ヤングは本作の失敗によって事実上ハリウッドでのキャリアを絶たれることになりました。

キャストとキャラクター紹介

  • ダグラス・マッカーサー:ローレンス・オリヴィエ
    国連軍の最高司令官であり、誰もが不可能だと考えた仁川上陸作戦を立案・指揮した伝説的な将軍です。
    本作では、軍人としての冷徹な戦略家という側面よりも、神への信仰と直感に従って決断を下す、どこか神秘的で宗教的な指導者としての側面が強調して描かれています。
    病身に鞭打って特殊メイクでマッカーサーに扮したローレンス・オリヴィエの演技は、良くも悪くも強烈な存在感を放っています。
  • バーバラ・ホールスワース:ジャクリーン・ビセット
    フランク少佐の妻であり、夫婦関係の修復のために韓国を訪れていた矢先に戦争に巻き込まれてしまう女性です。
    北朝鮮軍の侵攻から逃れるため、孤児たちを引き連れて過酷な避難の旅を続けるという、映画における人道的なサブプロットを担うキャラクターです。
    戦火の中でもなぜか常に美しいメイクと衣装を保っている点など、ツッコミどころの多いキャラクターとして描かれています。
  • フランク・ホールスワース少佐:ベン・ギャザラ
    アメリカ海兵隊の優秀な士官であり、最前線で部隊を指揮しながら、離れ離れになった妻バーバラの安否を気遣う兵士です。
    軍上層部の無謀な作戦に翻弄されながらも、現場の兵士としての誇りを胸に戦い続ける、本作におけるもう一人の主人公とも言える存在です。
  • 斉藤(サイトウ):三船敏郎
    韓国の地で密かに情報収集を行い、国連軍の作戦を裏から支援する謎多き日本人の情報部員です。
    出番は決して多くないものの、世界の「ミフネ」の登場は画面に一瞬の引き締まりをもたらします。
    彼もまた、巨額のギャラと国際的な大作という触れ込みでキャスティングされた犠牲者の一人と言えるかもしれません。
  • デヴィッド・フェルドパーク:リチャード・ラウンドトゥリー
    フランク少佐の部下であり、共に前線で戦う勇敢な黒人兵士です。
    『黒いジャガー』などで一世を風靡したアクションスターである彼が、過酷な戦場で泥臭く戦う姿が描かれています。

キャストの代表作品と経歴

ローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)

1907年生まれのイギリスの俳優・映画監督であり、20世紀最高の舞台俳優の一人と称される生ける伝説でした。
シェイクスピア劇の映画化作品(『ヘンリィ五世』『ハムレット』『リチャード三世』など)で圧倒的な評価を受け、アカデミー賞をはじめとする数え切れないほどの賞を受賞しています。
晩年は健康状態の悪化もあり、家族への経済的な理由から本作『インチョン!』や『ブラジルから来た少年』など、商業的な作品やB級映画にも積極的に出演しました。
本作の演技でラジー賞の最低主演男優賞を受賞してしまいましたが、その偉大な功績と名誉が傷つくことは決してありませんでした。

ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)

1944年生まれのイギリスの女優で、1960年代から70年代にかけて、その類まれなる美貌で世界中を魅了しました。
代表作には、スティーヴ・マックィーンと共演した『ブリット』(1968年)、フランソワ・トリュフォー監督の名作『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973年)、オールスターキャストの『オリエント急行殺人事件』(1974年)などがあります。
本作『インチョン!』では、不遇な脚本と演出のせいで彼女の魅力が十分に活かされていませんが、画面に登場するだけで華を添えるスターとしての役割をきっちりと果たしています。

三船敏郎(Toshiro Mifune)

1920年生まれの日本が世界に誇る国際的映画スターです。
黒澤明監督との黄金コンビで知られ、『羅生門』(1950年)、『七人の侍』(1954年)、『用心棒』(1961年)など、世界映画史に残る傑作に主演し、後世の映画人(ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグなど)に多大な影響を与えました。
1970年代以降は海外の戦争映画やパニック映画にも頻繁にゲスト出演しており、本作への出演もその流れの一つでしたが、まさかこれほどの問題作になるとは予想していなかったと思われます。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『インチョン!』は、公開された1982年(製作は1981年)の第2回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において、最低作品賞、最低監督賞(テレンス・ヤング)、最低主演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)、最低脚本賞の4部門を受賞するという、完膚なきまでの酷評を受けました。
巨額の予算に見合わない特撮のチープさ、宗教的なプロパガンダを感じさせる不自然な脚本、そして何より統一教会という製作背景が、批評家や観客から徹底的に拒絶される原因となりました。
映画は公開直後に全米の劇場から姿を消し、総製作費4,600万ドルに対して興行収入は約500万ドルという、映画史に残る「最も赤字を出した映画」の一つとして現在も記録されています。
しかし、本作の失敗は映画業界に大きな教訓を残しました。
「どんなに巨額の資金があり、超一流の監督とキャストを集めても、脚本と製作の根本的な動機が歪んでいれば映画は成立しない」という事実を、これほどまでに分かりやすく証明した作品は他にありません。
現在ではその悪名高さゆえに、世界中の「B級映画ファン」や「失敗作愛好家」から、逆説的に愛され、語り継がれる奇妙なカルト作品としての地位を確立しています。

作品関連商品

前述の通り、映画『インチョン!』は権利関係やその政治的な背景から、アメリカ本国はおろか世界中の多くの国でDVDやBlu-rayなどの公式パッケージ化が一切されていません
日本においては、1980年代にVHSのレンタルビデオ用ソフトとして少数が流通しましたが、現在では廃盤となっており、中古市場やオークションで高値で取引されるコレクターズアイテムとなっています。
その一方で、本作の中で唯一、世界中から手放しで「傑作」と絶賛されている要素があります。
それが、巨匠ジェリー・ゴルドスミスが手掛けた映画音楽(オリジナル・サウンドトラック)です。
『オーメン』や『エイリアン』で知られる彼が作曲した壮大で勇壮なオーケストラ・スコアは、映画の出来の悪さが信じられないほど素晴らしい完成度を誇っています。
このサントラ盤のCDは、過去に海外の専門レーベル(Intradaなど)から数量限定で復刻リリースされており、映画本編を見ることができないファンたちにとって、本作の壮大なスケール感の「幻影」を耳で味わうための貴重なアイテムとして愛聴されています。

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