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【徹底解説】映画『フレディのワイセツな関係』は最低か芸術か?あらすじから狂気のラジー賞伝説まで総まとめ

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【徹底解説】映画『フレディのワイセツな関係』は最低か芸術か?あらすじから狂気のラジー賞伝説まで総まとめ

概要:映画史に残る「最低映画」にして、究極のアンチ・コメディ怪作

映画『フレディのワイセツな関係』(原題:Freddy Got Fingered)は、2001年に公開されたアメリカのコメディ映画です。
当時、MTVの冠番組『トム・グリーン・ショー』で過激なイタズラやナンセンスなギャグを連発し、全米の若者から熱狂的な支持を集めていたコメディアン、トム・グリーンが監督・脚本・主演の三役を務めました。
物語は、プロのアニメーターを夢見る28歳のニート青年ゴード・ブロディが実家に出戻り、厳格な父親と壮絶で不条理な親子喧嘩を繰り広げるというものです。
本作は、公開されるや否や全米の批評家たちから「吐き気がするほど不快」「映画と呼ぶ価値すらない」と徹底的な大バッシングを浴びました。
高名な映画評論家ロジャー・イーバートに至っては、異例の「星ゼロ」という最低評価を下し、「この映画がいつか評価される日が来るとしたら、それは地球の文明が滅びた後だろう」とまで酷評したことで知られています。
その結果、2001年の第22回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において、「最低作品賞」「最低監督賞」「最低主演男優賞」「最低脚本賞」「最低スクリーンカップル賞」の5部門を総なめにするという、歴史的な大惨敗を喫しました。
しかし、常軌を逸したグロテスクなギャグや、物語のセオリーを完全に無視した破綻ぶりは、年月を経るにつれて「もはや前衛芸術の域に達している」「ハリウッドのスタジオシステムに対する壮大な皮肉(トロール)である」と一部の映画ファンや批評家から熱狂的に再評価されるようになります。
現在では、シュールレアリスムやダダイスムの精神を受け継いだ「究極のアンチ・コメディ映画」として、立派なカルト・クラシックの地位を確立している前代未聞の問題作です。
日本では劇場未公開となりましたが、本記事では、そんな観る者の倫理観と忍耐力を試す怪作『フレディのワイセツな関係』のあらすじや、正気の沙汰とは思えない見どころ、そして伝説となったラジー賞授賞式の裏側までを徹底的に深掘りして解説していきます。

オープニング:常識が通じないトム・グリーンの狂気をチェック

詳細(徹底解説):倫理観を吹き飛ばす、狂気の親子喧嘩と暴走ギャグ

あらすじと世界観:実家に舞い戻った夢見るニート青年の暴走

物語の主人公ゴード・ブロディは、28歳になっても定職に就かず、「アメリカのシマウマ(後に『宇宙のシマウマ』へと改題)」という自作のアニメーションで成功を夢見ている風変わりな青年です。
彼はハリウッドのアニメスタジオに作品を売り込みますが、全く相手にされず、仕方なくオレゴン州の実家へと舞い戻ってきます。
ゴードの実家には、地元のチーズ工場に勤める真面目で厳格な父親ジム、優しいがどこかズレている母親、そして優秀で真面目な高校生の弟フレディが暮らしていました。
父親のジムは、いい年をして地下室で奇声を発しながらアニメを描いているだけのゴードに激しい怒りを覚え、「自立しろ!」「仕事を見つけろ!」と毎日のように怒鳴り散らします。
しかし、ゴードは父親の説教を完全に無視し、奇行をエスカレートさせていきます。
車に轢かれた鹿の死骸を被って道路を走り回ったり、父親の愛車を勝手にオープンカーに改造(破壊)したりと、親の神経を逆撫でするようなイタズラを執拗に繰り返すのです。
怒り狂ったジムがゴードを家から追い出そうとすると、ゴードは父親への復讐として、とんでもない嘘をでっち上げます。
それは、「父親のジムが、弟のフレディに対して性的虐待(タイトルにもなっている『ワイセツな関係』)を行っている」という、絶対に言ってはいけない恐ろしい虚偽の告発でした。
この最悪の嘘によって、ジムは警察に逮捕され、児童虐待の容疑でカウンセリング施設に送られるという悲惨な目に遭ってしまいます。
さらにゴードは、車椅子の女性ベティと奇妙な恋愛関係に発展したり、病院の分娩室に乱入して赤ん坊のへその緒を振り回したりと、周囲を巻き込んで予測不能なトラブルを次々と引き起こしていきます。
果たして、完全に崩壊してしまったブロディ一家は、元の平穏な生活を取り戻すことができるのでしょうか。
そして、ゴードの狂気に満ちたアニメーターへの夢は叶うのでしょうか。

特筆すべき見どころ:限界を突破した下品さと、アンチ・コメディの真髄

本作の最大の見どころ(あるいは観るのをやめたくなるポイント)は、トム・グリーンが仕掛ける「嫌悪感と紙一重の不条理ギャグ」の数々です。
動物の死骸を使った悪ふざけや、農場で馬の生殖器に直接触れるシーン、さらには血まみれの出産シーンなど、一般的なコメディ映画では絶対にタブーとされる要素が、何の脈絡もなく次々と画面に叩きつけられます。
さらに、映画ファン(あるいはネットミーム愛好家)の間で今も伝説として語り継がれているのが、ゴードがキーボードにソーセージを吊るして弾きながら「パパ、ソーセージは好き?(Daddy, would you like some sausage?)」と奇妙な歌を歌い続ける、あまりにも有名な狂気のシーンです。
これらのギャグは「笑わせよう」という意図よりも、「観客を不快にさせ、困惑させること」自体を目的としているかのように映ります。
この「面白くないこと、不快なことを極限までやり続けることで、逆に奇妙な笑いを生み出す」という手法こそが、本作が「アンチ・コメディ」と呼ばれる所以です。
起承転結のセオリーやキャラクターの感情の推移といった、映画の基本的な構造は完全に無視されており、ただひたすらにトム・グリーンの狂気的なパフォーマンスを見せつけられます。
しかし、そのあまりにも自由で無軌道な映像の連続は、観客の脳を麻痺させ、後半になるにつれて「なぜか笑いが止まらなくなる」という危険なトランス状態を引き起こす魅力(魔力)を秘めています。

制作秘話・トリビア:伝説のラジー賞出席と、スタジオから引き出した1400万ドル

本作を語る上で絶対に外せない伝説的なエピソードが、トム・グリーン本人がゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)の授賞式に直接乗り込んだという事件です。
ラジー賞は最低映画を揶揄する賞であり、ハリウッドのプライドを持つ受賞者が会場に姿を現すことはほとんどありません。
しかし、トム・グリーンは真っ白な高級キャデラックで授賞式会場に乗り付け、自前のレッドカーペットを転がしながらタキシード姿で堂々と登場しました。
そして最低作品賞などのトロフィーを嬉々として受け取り、スピーチの途中でハーモニカを延々と吹き鳴らし続け、最後は警備員にステージから引きずり降ろされるという、映画本編以上にパンクなパフォーマンスを披露したのです。
この行動により、彼が「最初から真面目な映画を作る気など全くなく、すべては壮大なジョークだった」ことが証明されました。
また、本作の製作費は約1400万ドルと言われていますが、大手スタジオである20世紀フォックスが、MTVで人気というだけのトム・グリーンにこれほどの大金を渡し、「好きなように映画を撮っていい」という白紙小切手を切ってしまったこと自体が、ハリウッドの狂気だと言えます。
トム・グリーンはスタジオから渡された大金を使って、スタジオの重役たちが最も嫌がるような「売れるはずのない最低でグロテスクな映画」をわざと作り上げたのです。
その意味で本作は、巨大な資本主義と映画産業に対する、パンク精神に溢れたテロリズム的な作品とも解釈することができます。

キャストとキャラクター紹介:狂気の渦に巻き込まれる人々

ゴード・ブロディ:トム・グリーン

本作の主人公であり、28歳にして実家の地下室に寄生する自称アニメーターです。
「夢を追いかける純粋な青年」という設定を極限まで歪ませたようなキャラクターであり、他人の迷惑を一切顧みず、衝動の赴くままに奇行を繰り返します。
自分の思い通りにならないと奇声を上げて暴れ回り、最終的には父親を無実の罪で警察に売るという、主人公としては史上最悪レベルのサイコパス性を発揮します。
トム・グリーン本人の狂気的なエネルギーがそのままフィルムに焼き付けられており、彼の暴走を止めることは誰にもできません。

ジム・ブロディ:リップ・トーン

ゴードの父親であり、厳格で現実的な考えを持つ真面目な労働者です。
いい年をして働かないゴードを何とかして更生させようとしますが、ゴードの常軌を逸したイタズラの数々によって次第に精神をすり減らされ、彼自身も狂気の淵へと追いやられていきます。
本作における最大の被害者であり、名優リップ・トーンが血管をブチ切れさせんばかりのテンションで怒鳴りまくる演技は、強烈なインパクトと妙な哀愁を誘います。

ベティ:マリサ・カフラン

病院で働く車椅子の女性で、ゴードと恋に落ちるヒロインです。
一見すると知的で清楚な女性ですが、実は「父親から虐待された過去を持つ男性」に異常なほどの性的興奮を覚えるという、かなり歪んだ性癖の持ち主です。
さらには、自らの足の骨を金属パイプで叩き続けるという自傷癖も持っており、ゴードに負けず劣らずのエキセントリックなキャラクターです。
常識が通じない世界において、彼女の存在はゴードの狂気をさらに加速させる起爆剤となります。

フレディ・ブロディ:エディ・ケイ・トーマス

ゴードの弟であり、家族の中で唯一まともな金銭感覚と常識を持つ高校生です。
しかし、ゴードが父親を陥れるためについた「ワイセツな関係」という嘘のせいで、周囲から奇異の目で見られるようになり、彼の平穏な学生生活もまた完全に破壊されてしまいます。
兄と父親の壮絶なバトルのとばっちりを常に受け続ける、悲運なキャラクターです。

キャストの代表作品と経歴:無駄に豪華な実力派俳優の無駄遣い

監督・脚本・主演を務めたトム・グリーンは、MTVの番組で一躍スターとなり、映画『ロード・トリップ』などでも強烈なコメディリリーフとして活躍していました。
本作の公開時にはハリウッドの大人気女優であるドリュー・バリモアと結婚しており(後に離婚)、本作にもドリュー・バリモアが受付嬢の役でカメオ出演しているという、今となっては非常に豪華(かつ気まずい)シーンも存在します。
父親役のリップ・トーンは、大ヒット映画『メン・イン・ブラック』のZ(ゼッド)役や、テレビシリーズ『ラリーのミッドライフ★クライシス』などで知られる、ハリウッドを代表する大ベテラン俳優です。
本作のような「最低映画」に大真面目に出演し、体を張ったブチギレ演技を披露している彼の役者魂には、賞賛を送らざるを得ません。
弟フレディ役のエディ・ケイ・トーマスは、大ヒット青春コメディ『アメリカン・パイ』シリーズのフィンチ役として広く知られる人気俳優です。
ヒロインのマリサ・カフランも、『鬼教師ミセス・ティングル』などで注目を集めていた若手女優であり、これだけの有望なキャストたちがこぞってトム・グリーンの狂気の世界に巻き込まれていった事実は、映画史における一種のミステリーとも言えます。

まとめ(社会的評価と影響):史上最悪の映画から、唯一無二の芸術作品へ

映画『フレディのワイセツな関係』は、公開当初こそ「映画史上最悪のゴミ」という評価を欲しいままにしました。
しかし、インターネットの普及とともに、この映画の持つ「意図的なまでの不快感」や「ハリウッドの構造に対する徹底的な破壊衝動」が、一部のサブカルチャー層や若手映画評論家から高く評価されるようになりました。
例えば、アメリカの有名な映画雑誌やカルチャーサイトでは「本作はダダイスムの精神を受け継ぐ、現代のシュールレアリスム映画の傑作である」と真面目に論じられることもあります。
大手スタジオから与えられた巨額の予算を使って、あえて「誰も見たくないような汚物」を作り上げ、それを全米の劇場で堂々と公開したというトム・グリーンの行為自体が、巨大なコンセプチュアル・アートとして成立しているのです。
誰もが楽しめるエンターテインメント作品では決してありませんし、食事中に観ることは絶対に推奨できません。
しかし、「映画の常識」や「コメディの境界線」というものを根底から揺さぶる破壊力を持った本作は、映画というメディアの多様性と狂気を知る上で、一度は体験しておくべき(そして二度と観たくないと思うかもしれない)唯一無二のマスターピースです。

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  • 『フレディのワイセツな関係』DVD / 配信:日本では劇場未公開であり、レンタルビデオやDVDスルーとしてひっそりとリリースされました。現在では動画配信サービスでもなかなかお目にかかれないため、中古市場で見つけた際は「怖いもの見たさ」で手に入れておくべきカルトアイテムです。
  • 映画『ロード・トリップ』Blu-ray / DVD:本作でトム・グリーンの狂気に当てられてしまった方は、彼が比較的「まともな(しかし強烈な)」コメディリリーフとして出演しているこちらの青春コメディ映画を観て、お口直しをすることをお勧めします。
  • 映画『メン・イン・ブラック』シリーズ Blu-ray:リップ・トーンの輝かしいキャリアと威厳ある姿を再確認するための必須アイテムです。彼が本来どれほど素晴らしい名優であるかを思い出し、本作での彼の犠牲に静かに涙を流しましょう。
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