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【徹底解説】映画『氷の微笑2』の評価はなぜ低い?あらすじから過激な見どころ、キャストの魅力と制作秘話まで総まとめ

サスペンス・ミステリー
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【徹底解説】映画『氷の微笑2』の評価はなぜ低い?あらすじから過激な見どころ、キャストの魅力と制作秘話まで総まとめ

概要

映画『氷の微笑2』(原題:Basic Instinct 2)は、2006年に公開されたアメリカ・イギリス・ドイツ・スペインの合作によるエロティック・サスペンス映画です。
1992年に公開され、世界中で社会現象を巻き起こした歴史的メガヒット作『氷の微笑』の、実に14年ぶりとなる待望の続編として製作されました。
前作に引き続き、ハリウッドを代表するセックスシンボルであるシャロン・ストーンが、美しくも冷酷な美貌のベストセラー作家、キャサリン・トラメルを妖艶に演じています。
監督は『ジャッカル』や『ボーイズ・ライフ』で知られるマイケル・ケイトン=ジョーンズが務め、舞台を前作のサンフランシスコからイギリスのロンドンへと移しました。
新たなターゲットとなる精神科医マイケル・グラス役には、後に大ヒットテレビドラマ『ウォーキング・デッド』の総督役で世界的な知名度を得るデヴィッド・モリシーが抜擢されています。
その他にも、シャーロット・ランプリングやデヴィッド・シューリスといったイギリス映画界を代表する実力派俳優たちが脇を固め、重厚な演技合戦を繰り広げました。
しかし、公開当時の批評家たちからの評価は非常に厳しく、第27回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)において最低作品賞、最低主演女優賞など計4部門を受賞するという不名誉な結果に終わっています。
興行収入も全世界で製作費を大きく下回る大惨敗となりましたが、シャロン・ストーンの年齢を感じさせない圧倒的なプロポーションと、時代錯誤なまでに突き抜けたエロティック・スリラーのテイストから、現在では一種のカルト映画として再評価する声も存在します。
前作の強烈な呪縛に囚われながらも、キャサリン・トラメルという映画史に残るファム・ファタールの底知れぬ悪意を描き切った、愛憎と狂気が渦巻く問題作です。

予告編

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観

物語は、夜のロンドンの市街地を猛スピードで疾走する高級スポーツカーの車内からセンセーショナルに幕を開けます。
運転席にはスポーツ界の若きスター選手が座り、助手席には魔性のベストセラー作家であるキャサリン・トラメルが同乗していましたが、彼女は運転中の彼に対して極めて危険な性的挑発を行っていました。
その結果、車はコントロールを失ってテムズ川へと転落し、キャサリンは間一髪で脱出するものの、同乗していたスポーツ選手は無残にも溺死してしまいます。
ロンドン警視庁のロイ・ウォッシュバーン刑事は、この事故をキャサリンによる計画的な殺人事件であると強く疑い、彼女の精神鑑定を著名な法廷精神科医であるマイケル・グラスに依頼しました。
グラス医師は冷静かつ客観的にキャサリンの深層心理を分析しようと試みますが、彼女は圧倒的な話術と色気で、逆にグラスの精神的な弱点や抑圧された欲望を容赦なく暴き出していきます。
やがてキャサリンはグラスの担当患者として彼のクリニックに通い始め、二人は医師と患者という一線を越えた、危険で官能的な心理戦へと深くのめり込んでいくのです。
彼女の周囲では、グラスの元妻の恋人であるジャーナリストのアダム・タワーズが惨殺されるなど、次々と不可解な連続殺人事件が発生し始めます。
すべての状況証拠がキャサリンの関与を匂わせているにもかかわらず、決定的な証拠は一切見つからず、グラス自身も次第に理性を失い、彼女の張り巡らせた蜘蛛の巣へと囚われていきます。
前作の西海岸の開放的でギラギラとした雰囲気とは打って変わり、ロンドンの曇り空や冷たい近代建築が、登場人物たちの冷え切った狂気と孤独を際立たせる、独特のダークで陰鬱な世界観が構築されています。

特筆すべき見どころ

本作の最大の見どころは、当時48歳となっていたシャロン・ストーンが、一切の衰えを感じさせない完璧な美しさと貫禄でキャサリン・トラメルを再演している点に尽きます。
前作の伝説的な「取調室での足組み替えシーン」を彷彿とさせるような、精神鑑定の場における挑発的な振る舞いや、年齢を重ねてより妖艶さを増した大胆なベッドシーンの数々は、彼女の女優としての凄みと並々ならぬ覚悟を感じさせます。
また、冒頭でテムズ川に転落するスパイカー・C8(オランダ製の超高級スポーツカー)をはじめとする、洗練された小道具や衣装の数々も見逃せないポイントです。
キャサリンが身にまとう高級ブランドのドレスや、ロンドンのスタイリッシュな高級マンションのインテリアは、彼女の富と権力、そして冷酷な内面を視覚的に表現する重要な役割を担っています。
デヴィッド・モリシー演じるグラス医師が、キャサリンの巧みな心理操作によって徐々に職業倫理を失い、破滅的な欲望へと堕ちていく転落劇も見事なサスペンスを生んでいます。
さらに、イギリスを代表する名優デヴィッド・シューリスが演じるウォッシュバーン刑事が放つ、皮肉屋でどこか胡散臭いキャラクター性が、物語に絶妙な緊張感と不快感(良い意味での)をもたらしています。
前作のポール・ヴァーホーヴェン監督が持っていた露悪的なまでの暴力描写や過剰なショック演出とは異なり、本作はより静かで心理的な「ブリティッシュ・ノワール」のテイストを目指して制作されました。
その結果として生み出された、冷ややかで上品な映像美と、泥沼のような愛憎劇のギャップが、本作ならではの奇妙な魅力を放っているのです。

制作秘話・トリビア

『氷の微笑2』の企画は1990年代後半から何度も立ち上がっては消えるという、ハリウッド史に残る非常に難産な制作過程を辿りました。
当初からシャロン・ストーンは続編への出演に並々ならぬ意欲を示していましたが、前作で主演を務めたマイケル・ダグラスや、ポール・ヴァーホーヴェン監督は早々に続編への不参加を表明し、企画は難礁に乗り上げます。
その後、デヴィッド・クローネンバーグやジョン・マクティアナンといった名だたるヒットメーカーたちが監督の候補に挙がりましたが、いずれもスケジュールの都合や創造性の違いから降板してしまいました。
さらに2001年には、度重なる制作の遅れによってスケジュールを拘束され損害を被ったとして、シャロン・ストーン自身がプロデューサー陣を相手取って巨額の賠償を求める訴訟を起こすという泥沼の事態にも発展しています。
最終的に和解が成立し、マイケル・ケイトン=ジョーンズを監督に迎えて撮影が開始されたのは、前作の大ヒットから10年以上が経過した2005年のことでした。
グラス医師のキャスティングも難航を極め、ロバート・ダウニー・Jrやピアース・ブロスナン、ブルース・グリーンウッドなど、数多くの有名俳優にオファーが出されましたが、すべて断られたという逸話が残っています。
最終的に白羽の矢が立ったデヴィッド・モリシーは、イギリス国内では実力派として知られていたものの当時のハリウッドでは無名に近く、このキャスティングの地味さが映画の興行的な苦戦の一因になったと指摘する批評家もいます。
また、前作を象徴するジェリー・ゴールドスミス作曲の官能的でミステリアスなテーマ曲は、本作でもジョン・マーフィーの編曲によって効果的に使用されており、往年のファンの郷愁を誘う重要な要素として機能しています。

キャストとキャラクター紹介

キャサリン・トラメル:シャロン・ストーン/本田貴子

莫大な資産と天才的な頭脳、そして関わる男たちを次々と破滅へと導く魔性の美貌を併せ持つ、世界的ベストセラーの推理小説家です。
自らが執筆する猟奇的な殺人小説のプロットを、現実世界でそっくりそのまま再現し、周囲の人間を死のゲームへと巻き込んでいく危険なサイコパスとしての本性を隠し持っています。
ロンドンに移住してからもその冷酷で傲慢な本質は全く変わっておらず、自分の精神鑑定を担当することになったグラス医師の深層心理を巧みに操り、彼を道徳的な破滅へと誘惑していきます。
シャロン・ストーンは、自身のキャリアの代名詞とも言えるこのキャラクターを前作以上の冷徹さを込めて熱演し、映画自体の不振にもかかわらず、彼女自身の衰え知らずのカリスマ性は一部で高く評価されました。

マイケル・グラス:デヴィッド・モリシー/大塚芳忠

ロンドンで法廷精神医学の権威として名声を馳せる、優秀で真面目なエリート精神科医です。
ウォッシュバーン刑事からの依頼でキャサリンの精神鑑定を引き受けますが、彼女の異常な魅力と巧みな話術によって、自らがひた隠しにしてきた暴力的な衝動や抑圧された性的欲望を徐々に引き出されてしまいます。
分析し、治療する側であったはずが、いつの間にかキャサリンの用意した心理的な迷宮の奥深くに取り込まれ、公私ともにすべてを失っていく悲劇的な運命を辿ります。
デヴィッド・モリシーの生真面目そうなルックスと繊細な演技が、誘惑に屈して堕ちていく知的エリートの脆弱性と哀れさをリアルに体現しています。

ロイ・ウォッシュバーン:デヴィッド・シューリス/小島敏彦

ロンドン警視庁(スコットランドヤード)に所属する、目的のためならば手段を選ばない狡猾なベテラン刑事です。
冒頭の自動車事故の直後からキャサリンを危険な殺人鬼であると強く確信し、彼女を刑務所へ送り込むためにグラス医師を都合よく利用しようと画策します。
しかし、彼自身も警察内部で権力を振りかざし、時には違法スレスレの強引な捜査を行うなど、決して清廉潔白な正義の味方ではなく、キャサリンとは別の意味で物語に暗い影を落とす人物です。
デヴィッド・シューリス特有のシニカルで嫌味な演技が光り、前作でマイケル・ダグラスが演じたニック・カラン刑事の粗野で直情的な魅力とは対極にある、イギリス的な陰湿さを醸し出しています。

ミレーナ・ガルドシュ:シャーロット・ランプリング/沢田敏子

グラス医師の恩師であり、長年の友人でもある経験豊富なベテランの女性精神科医です。
キャサリンの持つ底知れぬ危険性にいち早く気づき、彼女の治療にのめり込んで正気を失っていくグラスに対して厳しく忠告を与え、彼を破滅の淵から引き戻そうと尽力します。
しかし、キャサリンの邪悪なゲームはミレーナの想像を遥かに超える規模で進行しており、彼女自身も予期せぬ恐ろしい事態へと巻き込まれていくことになります。
ヨーロッパ映画界の至宝であるシャーロット・ランプリングの知的で威厳のある佇まいが、暴走する愛憎劇における唯一の良心として、作品に確かな説得力と重厚感を与えています。

アダム・タワーズ:ヒュー・ダンシー/咲野俊介

野心的でスクープのためなら危険も顧みない若手ジャーナリストであり、グラス医師の元妻の現在の恋人でもある、物語の展開の鍵を握る人物です。
グラス医師の過去の医療ミスに関する黒いスキャンダルを執拗に追っており、その過程でキャサリンの周囲で起こる連続殺人事件の真相にも近づこうとしますが、それが原因で悲惨な末路を遂げることになります。
若き日のヒュー・ダンシーが、自信過剰で鼻持ちならないジャーナリストを好演し、物語のサスペンス要素とドロドロの人間関係を加速させる役割を見事に果たしています。

キャストの代表作品と経歴

本作の絶対的なミューズであり製作総指揮にも名を連ねるシャロン・ストーンは、ポール・ヴァーホーヴェン監督の『トータル・リコール』(1990年)で注目を集め、続く1992年の『氷の微笑』で世界トップクラスのセックスシンボルへと登り詰めた大女優です。
その後もマーティン・スコセッシ監督の傑作『カジノ』(1995年)でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされるなど、美貌だけでなく確かな演技力を世界に証明してきました。
本作ではラジー賞を受賞するという屈辱を味わいましたが、後年出演したスティーヴン・ソダーバーグ監督のドラマ『モザイク〜誰がオリヴィア・レイクを殺したか』(2018年)などでは、年齢を重ねた円熟味のあるミステリアスな演技で再び高く評価されています。
悲運の精神科医を演じたデヴィッド・モリシーは、イギリスの演劇界やテレビドラマで長年手堅く活躍してきた実力派俳優です。
本作でのハリウッド大作進出は苦い結果となりましたが、後に大ヒットサバイバル・ドラマ『ウォーキング・デッド』のシーズン3から、冷酷無比な独裁者「総督(ガバナー)」役として出演し、世界中のファンに強烈なトラウマと熱狂を植え付け、確固たる地位を築くことに成功しました。
ウォッシュバーン刑事を演じたデヴィッド・シューリスは、マイク・リー監督の『ネイキッド』(1993年)でカンヌ国際映画祭の男優賞に輝いた名優中の名優です。
大ヒットファンタジー『ハリー・ポッター』シリーズにおける心優しいリーマス・ルーピン先生役として世界中で広く親しまれており、本作のような嫌味な悪役から温厚な善人まで、幅広い役柄を完璧にこなすカメレオン俳優として知られています。
恩師ミレーナを演じたシャーロット・ランプリングは、『愛の嵐』(1974年)などのセンセーショナルな作品で1970年代からヨーロッパ映画界を牽引してきた伝説的な女優です。
近年でも『さざなみ』(2015年)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、その圧倒的な存在感とミステリアスな美しさは生涯現役を貫き続けています。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『氷の微笑2』は、公開されるや否や批評家からの容赦ない酷評の嵐にさらされ、興行収入も全世界で約3800万ドルと、推定7000万ドルの製作費を大きく下回る大惨敗を喫しました。
大手レビューサイトのRotten Tomatoesでの批評家支持率はわずか数パーセントに留まり、第27回ゴールデンラズベリー賞では最低作品賞、最低主演女優賞(シャロン・ストーン)、最低前日譚・続編賞、最低脚本賞の4冠に輝くという、映画史に残る「大コケした続編」の烙印を決定づけられてしまいました。
この大失敗の最大の要因は、14年という長すぎるブランクによって「エロティック・スリラー」というジャンル自体が完全に時代遅れになっていたこと、そして前作の最大の魅力であったポール・ヴァーホーヴェン監督の卓越した変態性と計算し尽くされたショック演出が欠如していたことだと言われています。
当初はさらなる続編である『氷の微笑3』の構想(キャサリンが映画監督になるというプロット)もシャロン・ストーン自身の口から語られていましたが、本作の歴史的な大失敗により、その企画は完全に消滅しました。
しかし、時が経つにつれて、この映画が持つ「時代錯誤なまでの豪華なバカバカしさ」や、「周囲の酷評を全く意に介さないシャロン・ストーンの堂々たるファム・ファタールぶり」を愛好するカルトファンも徐々に増えつつあります。
1990年代のエロティシズムの残滓を、2000年代の冷たいロンドンの風景に無理やり融合させた本作は、決して手放しで褒められる傑作とは呼べないものの、ハリウッドの続編ビジネスの極端な難しさと、一人の大女優の異常なまでの執念をフィルムに記録した貴重な怪作として、今なお一部の映画愛好家を惹きつけてやまない特異な作品です。

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