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【テレビ史に残る最大の問題作】『プリズナーNo.6』最終回「結末」徹底解説!No.1の正体と大混乱の真相

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【テレビ史に残る最大の問題作】『プリズナーNo.6』最終回「結末」徹底解説!No.1の正体と大混乱の真相

『プリズナーNo.6』最終回「結末」の概要

1968年2月、イギリスで『プリズナーNo.6』の最終回「結末(原題:Fall Out)」が放送された夜、放送局の電話回線はパンクし、主演兼製作者のパトリック・マクグーハンは視聴者の怒りから逃れるために一時身を隠さなければなりませんでした。

それほどまでに、この最終回は衝撃的であり、当時の視聴者の期待を(ある意味で)裏切るものでした。

人々は、「No.1の正体は誰なのか?」「村はどこにあるのか?」というスパイ・サスペンスとしての明快な答えを期待していました。
しかし、画面に映し出されたのは、ビートルズの楽曲が鳴り響く中での銃撃戦、裁判劇、ロケットの発射、そしてあまりにも哲学的で難解な「No.1の正体」でした。

本記事では、放送から半世紀以上経った今もなお議論され続け、多くのクリエイター(『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督など)に多大な影響を与えた、伝説の最終回のあらすじとその意味について徹底解説します。

第17話(最終回)「結末」の詳細あらすじ

前話からの続き:勝利したNo.6

物語は、前話「かつて…(Once Upon a Time)」の直後から始まります。
No.6は、最強のNo.2(レオ・マッカーン)との精神的な決闘に勝利し、No.2を死に追いやります(後に復活します)。

「村」の監視者たちはNo.6の勝利を認め、彼を村の地下深くに広がる巨大な空間へと案内します。
そこには、仮面をつけた「裁判長」をはじめとする村の高官たちが待ち受けており、No.6は「個人の権利を確立した究極の個人主義者」として称賛され、王座に座らされます。

奇妙な裁判と「若者」の登場

地下空間では、シュールな裁判劇が繰り広げられます。
復活したNo.2と、反抗的な若者No.48(アレクシス・カナー)が被告として引き出され、彼らは体制への反逆を象徴する存在として描かれます。

No.6は、彼らを裁く側になるか、村の指導者になるかの選択を迫られますが、彼は「すべてを拒否する」と宣言し、ただ一つの要求を突きつけます。
「No.1に会わせろ」と。

衝撃の真実:No.1の正体とは?

ついにNo.6は、赤いローブを纏った人物に導かれ、さらに奥にある塔の中へと入ります。
そこには、モニターに囲まれた部屋があり、フードを被った謎の人物「No.1」が座っていました。

No.6がフードを剥ぎ取ると、下には猿の仮面がありました。
さらにその猿の仮面を剥ぎ取ると、現れた顔は――

奇妙な笑い声をあげる、No.6自身の顔(パトリック・マクグーハン)でした。

No.1は、狂ったように笑いながら「私は、私だ!」と叫び、ロケットのカウントダウンを開始して逃走します。
このシーンは、「私たちを拘束し、監視している最大の敵は、実は自分自身である(自分の中にある強迫観念や恐怖心である)」という哲学的なメッセージだと解釈されています。

カオスの中の脱出:愛こそはすべて

No.1の正体が判明した後、物語は一気にカオスへと突入します。
No.6は仲間たち(執事、No.2、No.48)と共に、サブマシンガンを乱射して警備員たちをなぎ倒します。

この銃撃戦のバックで流れるのは、なんとビートルズの『愛こそはすべて(All You Need Is Love)』です。
「愛と平和」を歌う曲をバックに殺戮が繰り広げられるという皮肉でアバンギャルドな演出は、当時のカウンターカルチャーへの強烈な風刺とも取れます。

最終的に、村の地下にあったロケットが発射され、村は大混乱に陥り、住人たちは避難します(村の崩壊が示唆されます)。

自由、そして無限のループ

No.6たちはトラックに乗ってロンドンへの脱出に成功します。
国会議事堂の前で降ろされたNo.2、ヒッチハイクで去るNo.48。
そしてNo.6は、自分のアパートへと戻ります。

彼は愛車ロータス・セブンに乗り込み、自由を謳歌するように走り出します。
しかし、ラストシーンで彼のアパートのドアが、あの「村」の自動ドアと同じ音を立てて閉まります。

これは、彼が本当に自由になったのか、それとも「世界そのものが巨大な村(牢獄)」であり、逃げ場などないことを示しているのか、視聴者に問いかける形で幕を閉じます。

『プリズナーNo.6』参考動画

最終回「結末」のまとめ

第17話「結末」は、従来のスパイアクションの結末を期待した視聴者にとっては「わけがわからない」ものでしたが、作者パトリック・マクグーハンが本当に描きたかったテーマが凝縮された芸術作品でした。

「私は番号ではない、自由な人間だ」と叫び続けた男が最後に対面したのが自分自身だったという結末は、個人の自由と責任、そして人間心理の深淵を鋭く突いています。

この「難解すぎて怒られた」最終回があったからこそ、『プリズナーNo.6』は単なる娯楽作品を超え、半世紀以上語り継がれる伝説となったのです。

もしこれからご覧になる方は、ストーリーの整合性よりも、映像から溢れ出るエネルギーとメッセージを肌で感じることをお勧めします。

関連トピック

アレゴリー(寓意):このドラマ全体が現実世界の風刺であり、最終回はその最たるもの。裁判劇やロケット発射は、社会制度や冷戦構造のメタファーとされる。

愛こそはすべて(All You Need Is Love):ビートルズの名曲。平和の象徴であるこの曲を暴力シーンで使う演出は、スタンリー・キューブリック的とも評される。

パトリック・マクグーハンの意図:彼は後に、「自由とは誰かに与えられるものではなく、自分自身で勝ち取り、維持しなければならないものだ」と語っており、No.1=自分自身というオチはその象徴だった。

関連資料

DVD/Blu-ray『プリズナーNo.6』コンプリートBOX:最終回をノーカットで、高画質・高音質で体験するために必須。

ドキュメンタリー『Don’t Knock Yourself Out』:『プリズナーNo.6』の制作秘話を描いたドキュメンタリー。最終回放送後の混乱についても関係者が証言している。

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