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【徹底解説】映画『クレオパトラ (1963年)』の評価とあらすじ!ハリウッドを揺るがした絶世の美女と巨額製作費の裏側を総まとめ

ヒューマンドラマ
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【徹底解説】映画『クレオパトラ (1963年)』の評価とあらすじ!ハリウッドを揺るがした絶世の美女と巨額製作費の裏側を総まとめ

概要

1963年に公開された映画『クレオパトラ』(原題: Cleopatra)は、ハリウッドの歴史において「かつてないほどの巨額の製作費が投じられ、映画会社を倒産の危機に追い込んだ」という前代未聞の伝説を持つ歴史スペクタクル巨編です。
古代エジプトの最後の女王であるクレオパトラ7世の野望と愛、そしてローマ帝国の英雄たちとの波乱に満ちた悲劇のドラマを、約4時間という圧倒的なスケールで描き出しています。
メガホンを取ったのは、『イヴの総て』などで知られる名匠ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督です。
主人公クレオパトラを演じたのは、当時「世界で最も美しい女性」と称賛されていた世紀の大女優、エリザベス・テイラー
彼女は本作への出演にあたり、当時のハリウッド史上最高額となる「100万ドル」のギャラを要求したことでも大きな話題を呼びました。
共演には、マルクス・アントニウス役に名優リチャード・バートン、ユリウス・カエサル役にレックス・ハリソンという、イギリス演劇界を代表する超一流のシェイクスピア俳優たちが顔を揃えています。
総製作費は最終的に4,400万ドル(現在の価値で約4億ドル以上)にまで膨れ上がり、製作元の20世紀フォックスは深刻な経営危機に陥りました。
しかし、その圧倒的な資金力をつぎ込んで作られた巨大なセットや、テイラーが身にまとった65点にも及ぶ豪華絢爛な衣装、そして数万人規模のエキストラを動員した映像の迫力は、CG全盛の現代においても決して再現不可能な「本物の重み」を持っています。
第36回アカデミー賞では作品賞など9部門にノミネートされ、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、視覚効果賞の4部門を受賞しました。
スクリーンの中の壮大な歴史絵巻と、カメラの裏側で繰り広げられたスキャンダルが複雑に絡み合う、映画史に永遠にその名を刻むマスターピースです。

予告編

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:野望に燃える女王と巨大帝国ローマ

物語の舞台は紀元前48年、内乱が続くエジプトの首都アレクサンドリアです。
ローマの将軍ユリウス・カエサルが、ポンペイウスを追ってこの地に足を踏み入れたところから、壮大な歴史ドラマが幕を開けます。
エジプトの共同統治者であった弟プトレマイオス13世によって王宮から追放されていたクレオパトラは、絨毯に自らの体を包ませてカエサルの前に現れるという奇抜な方法で彼に接近します。
彼女の圧倒的な美貌と、ローマの力を使ってエジプトを再興し、さらには世界を支配するという底知れぬ野望に、老練なカエサルも次第に魅了されていきます。
本作の世界観は、高度な文明と退廃的な美しさを誇るエジプトと、質実剛健で軍事力によって世界を制覇しようとするローマ帝国との、強烈な文化のコントラストによって構築されています。
クレオパトラは単なる誘惑者としてではなく、国家の存亡を背負い、女性としての魅力と卓越した政治的知略を武器に男社会の覇権争いを生き抜こうとする、極めて自立した力強い女王として描かれています。
カエサルとの間に息子カエサリオンをもうけ、ローマへと凱旋した彼女の絶頂期から、歴史の歯車は冷酷に回り始めるのです。

章ごとの展開:カエサルの暗殺からアントニウスとの破滅的恋愛へ

本作は、約4時間の上映時間の中で、カエサルとの関係を描いた前半と、マルクス・アントニウスとの悲恋を描いた後半の二つの巨大な章に分かれています。
前半のクライマックスは、終身独裁官となったカエサルが、共和政の崩壊を恐れるブルータスらによって暗殺される悲劇のシーンです。
絶対的な後ろ盾を失ったクレオパトラは、命からがらエジプトへと逃げ帰ることになります。
後半は、カエサルの死後にローマの権力を掌握したアントニウスと、オクタヴィアヌス(後の初代ローマ皇帝アウグストゥス)との熾烈な権力闘争を背景に進みます。
東方遠征の資金を求めるアントニウスと、ローマの庇護を求めるクレオパトラは、豪華な御座船の上で再会し、やがて歴史を揺るがす情熱的な恋に落ちていきます。
しかし、彼らの愛はローマ市民の激しい反感を買い、オクタヴィアヌスに「エジプトへの宣戦布告」という大義名分を与えてしまいます。
そして物語は、世界の運命を決する「アクティウムの海戦」へと突入します。
戦況の誤解からクレオパトラの艦隊が戦場を離脱し、それを追ってアントニウスも自軍を見捨ててしまうという悲劇的な展開は、愛に溺れた人間の脆さと愚かさを容赦なく描き出しています。

特筆すべき見どころ:映画史に残る「ローマ入城」のスペクタクル

本作における最大の見どころは、なんといっても前半で描かれる「クレオパトラのローマ入城」のシークエンスです。
数万人のローマ市民が歓声を上げる中、巨大なスフィンクスを模した黄金の山車に乗ってクレオパトラが登場するこの場面は、映画史上最も贅沢で壮大なシーンの一つとして語り継がれています。
ダンサーたちの躍動感あふれるパフォーマンス、空を舞う色鮮やかな花びら、そして巨大なスフィンクスの上から傲然とローマを見下ろすエリザベス・テイラーの神々しいまでの美しさは、観る者の度肝を抜きます。
このシーンの撮影だけのために、イタリアのチネチッタ撮影所には古代ローマのフォロ・ロマーノの実物大セットが建造され、何ヶ月もの時間が費やされました。
また、クレオパトラの魅力を引き立てる65種類もの衣装も必見です。
24金で作られたケープや、繊細なプリーツが施されたドレスの数々は、当時のファッション界に多大な影響を与え、「クレオパトラ・メイク」と呼ばれる太いアイラインが世界中の女性たちの間で大流行しました。

制作秘話・トリビア:世紀のスキャンダルと製作費高騰の舞台裏

本作を語る上で絶対に外せないのが、映画のストーリー以上にドラマチックな「カメラの裏側のスキャンダル」です。
撮影中、クレオパトラ役のエリザベス・テイラーとアントニウス役のリチャード・バートンは、互いに既婚者であったにもかかわらず激しい恋に落ちました。
「世紀の不倫」として連日パパラッチに追い回され、バチカン帝国から公式に非難の声明が出されるほどの国際的な大スキャンダルへと発展しました。
しかし、皮肉なことに、この二人の実際の恋愛関係が、後半の破滅へと向かうクレオパトラとアントニウスの狂おしい愛情劇に、恐ろしいほどの生々しいリアリティを与えています。
さらに、製作費高騰の最大の原因は、テイラーの健康問題でした。
ロンドンでの撮影初期にテイラーが重度の肺炎に罹り、気管切開手術を受けるほどの生命の危機に陥ったため、撮影は長期にわたって中断されました。
その後、温暖な気候を求めてイタリアのローマへ撮影拠点を移すことになり、ロンドンで建てた巨大セットをすべて破棄し、ゼロから作り直すという莫大な無駄が発生したのです。
当初の監督であったルーベン・マムーリアンも降板し、マンキーウィッツ監督が毎晩徹夜で脚本を書き直しながら日中の撮影に臨むという、まさに地獄のような現場から生み出された奇跡の作品なのです。

キャストとキャラクター紹介

クレオパトラ:エリザベス・テイラー

  • エジプト・プトレマイオス朝の最後の女王。
    美貌だけでなく、高い教養と類まれな政治的野心を併せ持ち、自らの国を守るためにローマの英雄たちを次々と虜にしていきます。
    テイラーの紫がかった美しい瞳と、画面を圧倒する強烈なスターオーラは、歴史上の女王のイメージを見事に体現しています。

マルクス・アントニウス:リチャード・バートン

  • カエサルの右腕として活躍したローマの猛将。
    優れた軍人でありながら、カエサルのような冷徹な政治家にはなりきれず、クレオパトラへの盲目的な愛に溺れて自滅していく悲劇の男です。
    バートンの重厚なシェイクスピア仕込みの演技が、アントニウスの人間的な弱さと色気を完璧に表現しています。

ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー):レックス・ハリソン

  • ローマ帝国の基礎を築いた偉大なる将軍にして独裁官。
    クレオパトラの野心を見抜きながらも彼女を愛し、エジプトとローマを統合する巨大な夢を描きます。
    老練で知的な魅力に溢れる演技が高く評価され、見事アカデミー主演男優賞にノミネートされました。

オクタヴィアヌス:ロディ・マクドウォール

  • カエサルの養子であり、冷酷で計算高い若き政治家。
    アントニウスとは対照的に、感情に流されることなく冷徹にローマの権力を手中に収めていきます。
    マクドウォールの神経質で底知れぬ怖さを感じさせる演技が、作品に強烈な緊張感をもたらしています。

ルフィオ:マーティン・ランドー

  • カエサルとアントニウスに忠誠を誓うローマの優秀な軍人。
    クレオパトラの色香に狂っていくアントニウスを最後まで案じながらも、軍人としての使命を全うしようとする実直なキャラクターです。
    後年『スパイ大作戦』などでブレイクするランドーの、若き日の渋い演技が光ります。

キャストの代表作品と経歴

主人公を演じたエリザベス・テイラーは、『陽のあたる場所』や『ジャイアンツ』などで子役時代からハリウッドのトップスターとして君臨し、『バタフィールド8』と『バージニア・ウルフなんかこわくない』で二度のアカデミー主演女優賞を受賞した伝説的な大女優です。
私生活での8度の結婚など、そのスキャンダラスな人生そのものが一つの映画のような存在でした。
アントニウス役のリチャード・バートンもまた、『聖衣』や『ベケット』などで知られるイギリスの誇る名優であり、テイラーとは本作をきっかけに結婚し、公私ともに世界で最も有名なカップルとして一時代を築きました。
カエサル役のレックス・ハリソンは、本作の翌年に公開された映画『マイ・フェア・レディ』でヒギンズ教授を演じ、見事アカデミー主演男優賞を獲得したミュージカル・演劇界の巨星です。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『クレオパトラ』は、その公開前からスキャンダルと製作費の話題で世界中の注目を集め、結果として1963年の年間興行収入第1位という大ヒットを記録しました。
しかし、あまりにも莫大に膨れ上がった製作費をすぐに回収することはできず、フォックス社が黒字に転換するまでには数年の歳月を要しました。
批評家からの評価は、公開当時は「長すぎる」「歴史の事実よりもゴシップが先行している」と賛否が分かれましたが、時間が経つにつれてその圧倒的な美術と衣装、そして壮大なスケール感が高く再評価されるようになりました。
スタジオ・システムというハリウッドの黄金時代が崩壊していく過程の中で、最後に咲いた最も豪華で、最も狂気じみた「徒花(あだばな)」として、本作は映画史において極めて特異な位置を占めています。
現在では、その豪華絢爛な映像美と、テイラーとバートンが放つ本物の恋の炎の熱気を味わうことができる、古典エンターテインメントの最高峰の一つとして確固たる地位を築いています。

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  • Blu-ray / DVD:『クレオパトラ 製作50周年記念版 [Blu-ray]』。
    修復された高画質映像は、クレオパトラの鮮やかなアイシャドウの色から巨大セットのディテールまでを克明に映し出しており、大画面での鑑賞が絶対におすすめです。
    当時のスキャンダルや製作の舞台裏に迫る特典ドキュメンタリーも非常に見応えがあります。
  • オリジナル・サウンドトラック:アレックス・ノース作曲。
    エキゾチックなエジプトの旋律と、ローマの力強いマーチが見事に融合した重厚なスコアは、アカデミー作曲賞にもノミネートされた名盤です。
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