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【徹底解説】映画『ワーテルロー』(1970)の評価は?CGなしの圧倒的スケール!ナポレオン最後の戦いを完全網羅

アクション・冒険
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【徹底解説】映画『ワーテルロー』(1970)の評価は?CGなしの圧倒的スケール!ナポレオン最後の戦いを完全網羅

概要

1970年に公開された映画『ワーテルロー』(原題: Waterloo)は、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの運命を決定づけた歴史的な「ワーテルローの戦い」を、映画史に残る空前絶後のスケールで映像化した戦争スペクタクル巨編です。
メガホンを取ったのは、『戦争と平和』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、数万人規模の群衆演出において当時の映画界で右に出る者はいないと讃えられたソ連の巨匠、セルゲイ・ボンダルチュク監督です。
製作は、『戦争と平和』の成功に感銘を受けたイタリアの伝説的プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが担当し、ソ連とイタリアの合作という冷戦下においては異例の巨大プロジェクトとして始動しました。
本作の最大の特徴にして映画ファンに語り継がれる伝説となっているのは、CGが一切存在しなかった時代に、ソ連軍の全面協力を得て約2万人もの本物の兵士たちをエキストラとして動員し、広大な平原に激動の戦場を完全再現したその常軌を逸したスケール感です。
主人公であるナポレオンを演じたのは、『質屋』や『夜の大捜査線』などで知られるアメリカの演技派俳優ロッド・スタイガー
対する宿敵、イギリス軍の司令官ウェリントン公爵を演じたのは、『サウンド・オブ・ミュージック』などで世界的な人気を誇っていた名優クリストファー・プラマーです。
燃え上がるような情熱と焦燥感に駆られるナポレオンと、氷のように冷徹で計算高いウェリントンという、二人の天才戦術家の対照的な心理戦が、圧倒的な迫力の戦闘シーンとともに重厚に描かれています。
歴史映画、とりわけ戦争映画の極致として、現代の映像技術をもってしても決して再現できない「本物の人間の群れが放つ熱量」をフィルムに焼き付けた、永遠に語り継がれるべきマスターピースです。

オープニング

詳細(徹底解説)

あらすじと世界観:百日天下と欧州の覇権を懸けた決戦

物語は1814年、ヨーロッパ諸国を震え上がらせたフランス皇帝ナポレオンが同盟軍に敗れ、エルバ島への流刑を余儀なくされる屈辱的な退位の場面から幕を開けます。
しかし、ナポレオンはわずか1年足らずでエルバ島を脱出し、奇跡的な速さでパリへと進軍して再び帝位に返り咲きます。
いわゆる「百日天下」と呼ばれるこの驚異的な復活に対し、イギリス、プロイセン、オーストリア、ロシアなどのヨーロッパ列強は直ちに第七次対仏大同盟を結成し、ナポレオンを完全に打倒するための巨大な軍勢を派遣します。
これに対し、ナポレオンは同盟軍が合流する前に各個撃破するという戦略を立て、ベルギー方面へと軍を進めます。
本作の世界観は、歴史の大きな転換点に立つ英雄たちの野望とプレッシャー、そして戦場に駆り出される無数の兵士たちの命のやり取りを、極めて写実的かつ冷徹な視点で描き出しています。
1815年6月18日、ベルギーの小村ワーテルローのぬかるんだ平原において、ナポレオン率いるフランス軍約7万人と、ウェリントン公爵率いるイギリス・オランダ連合軍約6万8千人が、ヨーロッパの次なる覇権を懸けて激突することになります。
降り続く雨が大地を泥濘に変え、大砲の移動すらままならない悪条件の中で、二人の天才による息詰まるような戦術の応酬が開始されるのです。

章ごとの展開:静かなる心理戦から怒涛の総力戦へ

映画の前半は、ナポレオンの劇的な復活と、迎え撃つウェリントンの周到な準備、そして決戦前夜の静かなる緊張感に焦点を当てています。
ワーテルローの戦場に到着した両軍は、雨に打たれながら夜を明かし、夜明けとともに運命の一日を迎えます。
ナポレオンは、地面が乾いて大砲が効果的に使えるようになるまで攻撃開始を遅らせるという決断を下しますが、これが後にプロイセン軍の到着を許してしまう致命的な遅れへと繋がっていきます。
中盤からは、いよいよ映画史に残るすさまじい戦闘シークエンスの連続となります。
フランス軍の猛烈な砲撃と歩兵の前進に対し、ウェリントンは丘の稜線の裏側に兵を伏せさせて被害を最小限に抑えるという巧妙な戦術で応戦します。
また、戦場の要衝であるウーグモン館を巡る血みどろの激戦や、フランス軍の猛攻を耐え凌ぐイギリス兵たちの過酷な姿が、泥と血にまみれた生々しい映像で綴られていきます。
そして物語の後半、ナポレオンの体調不良による指示の遅れや、ネイ元帥の独断による無謀な騎兵突撃など、フランス軍の歯車が少しずつ狂い始めます。
夕刻、ついにブリュッヘル率いるプロイセン軍がイギリス軍の援軍として戦場に到着し、フランス軍の敗北は決定的なものとなります。
ナポレオンが最後の切り札として投入した無敵の「老近衛隊」までもがイギリス軍の一斉射撃の前に崩れ去る悲劇的な結末は、一人の英雄の時代の完全な終焉を象徴しています。

特筆すべき見どころ:数万人の本物の兵士が激突する伝説の戦闘シーン

本作の最大の見どころは、映画史において二度と撮ることはできないであろう、本物の人間と馬がひしめき合う超絶的なスケールの戦闘シーンです。
特に圧巻なのは、フランス軍のネイ元帥が指揮する約1万騎もの重騎兵部隊が、イギリス軍の陣地へと突撃していくシークエンスです。
地響きを立てて迫り来る騎兵の波に対し、イギリス軍の歩兵たちは銃剣を構えて強固な「方陣(スクエア)」を組み、騎兵の突進を跳ね返します。
上空からのヘリコプター・ショットによって捉えられたこの方陣と騎兵の攻防は、まるで幾何学模様のように美しく、かつ恐ろしい死の舞踏のようです。
無数の大砲の煙が立ち込め、人間と馬が折り重なって倒れていく地獄絵図は、セルゲイ・ボンダルチュク監督の狂気とも言える完璧主義の賜物です。
CGによる複製兵士では絶対に表現できない、一人一人の兵士がリアルに動き、戦い、死んでいく「本物の質量」が、観る者をワーテルローの戦場のど真ん中へと引きずり込みます。
また、戦闘の合間に挿入される、イタリアの巨匠ニーノ・ロータが手掛けた哀愁漂う美しい音楽が、無残な戦場に深い詩情を与えています。

制作秘話・トリビア:ソ連軍の全面協力と広大なロケ地の創造

本作の制作エピソードは、そのスケールにおいてまさに伝説的です。
ディノ・デ・ラウレンティスとボンダルチュク監督は、ウクライナのウージュホロド近郊にワーテルローの戦場と全く同じ地形を物理的に作り上げるという途方もない計画を実行しました。
邪魔な丘を切り崩し、逆に必要な場所に丘を築き、さらには数キロメートルに及ぶ道路や建物を歴史的資料に基づいて完全再現したのです。
そして、この広大なセットに動員されたのが、なんと約1万5千人から2万人にも上るソ連赤軍の本物の兵士たちでした。
彼らは何ヶ月にもわたって19世紀のフランス軍やイギリス軍の戦術、装填から射撃までのマスケット銃の扱い方、歩調を合わせた行軍訓練を叩き込まれました。
騎兵隊として参加した2千人の騎兵たちも、すべて熟練の兵士や乗馬のプロたちで構成されていました。
監督は彼らを効率的に指揮するために、4台のカメラとトランシーバーを駆使し、まるで本物の軍隊の司令官のように巨大な部隊を動かしたと言われています。
現代のハリウッドの超大作ですら予算と安全面から絶対に実現不可能なこの常軌を逸した撮影手法こそが、本作を戦争映画の頂点に立たせている最大の理由なのです。

キャストとキャラクター紹介

ナポレオン・ボナパルト:ロッド・スタイガー

  • かつてヨーロッパ全土を震え上がらせた、フランスの偉大なる皇帝。
    圧倒的なカリスマ性と天才的な軍事の才能を持ちながらも、本作では持病の悪化による肉体的な衰えや、拭い去れない焦燥感に苦しむ一人の初老の男としての姿が強調されています。
    スタイガーの神経質で激昂しやすい演技が、帝国の落日を悟る英雄の孤独を見事に表現しています。

アーサー・ウェルズリー(ウェリントン公爵):クリストファー・プラマー

  • ナポレオンを打ち破るという歴史的使命を背負った、イギリス軍の誇り高き司令官。
    ナポレオンの情熱的で予測不可能な行動に対し、常に冷静沈着で合理的な判断を下す氷のような知性の持ち主です。
    プラマーの気品あふれる佇まいと、部下たちに見せるイギリス紳士らしい皮肉とユーモアが、敵将としての魅力を際立たせています。

ルイ18世:オーソン・ウェルズ

  • ナポレオンの失脚後にフランス王に即位したものの、彼のエルバ島脱出の報を聞いて恐れおののく太った君主。
    映画史に残る天才オーソン・ウェルズが、短い出演時間ながらも、権力に固執する愚鈍で哀れな王の姿を圧倒的な存在感で怪演しています。

ミシェル・ネイ元帥:ダン・オハーリー

  • ナポレオンに絶対的な忠誠を誓う、フランス軍の「勇者の中の勇者」と称される猛将。
    ナポレオンの指示を誤解し、無謀な騎兵突撃を強行してしまったことでフランス軍に致命的な打撃を与えてしまう、悲劇のトリガーとなる人物です。

トマス・ピクトン将軍:ジャック・ホーキンス

  • シルクハットに傘という奇抜な出で立ちで戦場に立つ、ウェリントンの麾下で勇猛果敢に戦うイギリス軍の老将。
    激戦の中で兵士たちを鼓舞し、壮絶な最期を遂げる彼の姿は、イギリスの騎士道精神を象徴しています。

キャストの代表作品と経歴

主人公ナポレオンを演じたロッド・スタイガーは、本作の3年前である1967年に映画『夜の大捜査線』の署長役でアカデミー主演男優賞を受賞しており、演技派俳優としてまさに絶頂期にありました。
彼の憑依したかのような泥臭い熱演は、それまでの映画で描かれてきた美化されたナポレオン像を打ち破る革新的なものでした。
対照的にウェリントンを演じたクリストファー・プラマーは、『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役で世界的な名声を獲得したばかりの端正なスター俳優であり、本作でもその洗練されたイギリス演劇の伝統を感じさせる見事な演技を披露しています。
また、ルイ18世役のオーソン・ウェルズは、『市民ケーン』の監督・主演として映画史の頂点に君臨する天才であり、彼のようなレジェンドがカメオ的に出演している点も本作の格調の高さを証明しています。

まとめ(社会的評価と影響)

映画『ワーテルロー』は、そのあまりにも巨大な製作費に見合うだけの興行的な大成功を収めることはできず、一部の国では商業的に苦戦を強いられました。
しかし、映画評論家や歴史愛好家からの評価は時代を経るごとに高まり続け、現在では「歴史上最も正確にワーテルローの戦いを再現した映画」として、不動の評価を獲得しています。
特に、CGがない時代に数万人の人間と馬を動員して描かれた戦術的かつ流麗な戦闘シーンは、後世の多くの映画監督たち(ピーター・ジャクソンやリドリー・スコットなど)に多大な影響を与え、戦争映画を撮る上での究極の教科書としてリスペクトされ続けています。
英雄たちの知略のぶつかり合いと、泥にまみれて倒れていく名もなき兵士たちの悲哀を、一切の妥協なくスクリーンに叩きつけたボンダルチュク監督の執念。
二度と作られることのないであろう「本物のスペクタクル」を体感できる本作は、すべての映画ファンが一生に一度は必ず観ておくべき、歴史的遺産とも言える傑作です。

作品関連商品

  • Blu-ray / DVD:『ワーテルロー [Blu-ray]』。
    デジタルリマスターによって復元された高画質映像は、イギリス軍の真っ赤な軍服やフランス軍の青い軍服が入り乱れる戦場の色彩を鮮やかに蘇らせており、数万人のエキストラの動きを細部まで堪能するために大画面での鑑賞が必須です。
  • 関連書籍:ヴィクトル・ユゴー著『レ・ミゼラブル』。
    物語の序盤でワーテルローの戦いの様子が非常に文学的かつ詳細に描写されており、映画と併せて読むことで、フランス側から見たこの戦いの悲劇性と歴史的意義をより深く理解することができます。
  • オリジナル・サウンドトラック:ニーノ・ロータ作曲。
    『ゴッドファーザー』などで知られる巨匠による、勇壮な行進曲や哀愁に満ちたメロディが収録されたアルバムは、映画の感動を聴覚から呼び覚ましてくれる素晴らしい名盤です。
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