【徹底解説】映画『ダーティ・ラブ』の評価はなぜ低い?最低映画の金字塔!あらすじから過激な見どころ、キャストまで総まとめ
概要
映画『ダーティ・ラブ』(原題:Dirty Love)は、2005年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画です。
元「プレイボーイ」誌のプレイメイトであり、MTVの司会者やタレントとして絶大な人気を誇っていたジェニー・マッカーシーが、自ら脚本・製作・主演を務めた意欲作として話題を集めました。
監督を務めたのは、当時ジェニー・マッカーシーの夫であったジョン・アッシャーであり、まさに夫婦二人三脚で制作されたインディペンデント映画です。
本作は、恋人の浮気を目撃して精神的に崩壊したヒロインが、真実の愛を見つけるために自暴自棄で過激な行動に走る姿を、強烈な下ネタと身体を張ったギャグ満載で描いています。
1990年代後半から2000年代前半にかけてハリウッドで大流行した、「グロスアウト・コメディ(お下劣コメディ)」の系譜に連なる作品です。
しかし、そのあまりにも下品で常軌を逸したギャグの数々や、共感の難しいストーリー展開が災いし、公開当時の批評家からは歴史的な大バッシングを受けました。
その結果、最低映画を決める祭典「第26回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)」において、最低作品賞、最低主演女優賞、最低監督賞、最低脚本賞の主要4部門を総なめにするという、ある意味で不滅の金字塔を打ち立てたことで広く知られています。
現在でも大手レビューサイトのRotten Tomatoesなどで一桁台の驚異的な低スコアを記録し続けていますが、その「あまりにも突き抜けたバカバカしさ」から、「愛すべき最低映画」として一部の映画ファンの間で熱狂的なカルト人気を誇っている稀有な作品です。
常識を打ち破る女性主導の下ネタコメディとして、映画史の裏側に燦然と輝く(?)本作の魅力を余すところなく解説します。
予告編
詳細(徹底解説)
あらすじと世界観
物語の主人公は、ロサンゼルスでフリーランスのカメラマンとして働く、純情で少し不器用な女性レベッカです。
彼女には、誰もが羨むようなイケメンで売れっ子モデルの恋人リチャードがおり、彼との完璧な結婚を夢見て日々を過ごしていました。
ところがある日、レベッカが自宅に早く帰ると、ベッドでリチャードが見知らぬ別の女性と浮気している決定的な現場に遭遇してしまいます。
信じていた恋人の裏切りに深いショックを受けたレベッカは、怒りと悲しみのあまり完全に正気を失い、理性を投げ捨てた奇行に走るようになります。
スーパーマーケットで生魚を振り回して大暴れしたり、生理用品をまき散らしたりと、彼女の奇行はエスカレートする一方でした。
親友でセクシーな女優志望のミシェルと、少し変わった性格のキャリーは、そんなレベッカを見かねて「新しい男を作ってリチャードを見返すべきだ」とアドバイスします。
友人たちの勧めに乗り、レベッカは手当たり次第にブラインドデートやナンパに挑戦しますが、出会う男たちは奇術師や変態など、揃いも揃って常識外れのろくでなしばかりでした。
度重なる最悪なデートと、予期せぬトラブル(嘔吐や排泄物絡みの大惨事など)に見舞われながらも、レベッカは必死に「本当の愛」を探し求めてロサンゼルスの街を奔走します。
そんな彼女の傍らで、ずっと優しく見守り続けていたのは、冴えないオタクで幼なじみの親友・ジョンでした。
外見やステータスにとらわれていたレベッカが、底辺まで落ちぶれた果てに、自分をありのままに受け入れてくれる本当の相手に気づくまでの、ハチャメチャな自己探求の旅が描かれます。
華やかなファッション業界を背景にしながらも、徹底して泥臭く下品なギャグが連続する、特異な世界観が本作の核となっています。
特筆すべき見どころ
本作の最大の見どころは、主演のジェニー・マッカーシーが自らの美貌をかなぐり捨て、徹底的に身体を張って挑んだ「常軌を逸したグロスアウト(お下劣)ギャグ」の数々です。
当時のハリウッドにおいて、『アメリカン・パイ』やファレリー兄弟の作品に代表されるような過激な下ネタコメディは、主に男性目線で男性キャラクターを中心に描かれるのが常識でした。
しかし本作では、女性自身が脚本を書き、生理現象や女性特有の悩みを極限まで誇張して笑いに変えるという、当時としては非常に挑戦的で前衛的なアプローチが取られています。
特に語り草となっているのが、スーパーマーケットの鮮魚売り場でレベッカが発狂し、魚の血まみれになりながら床を転げ回るという伝説のシーンです。
さらに、生理の血に関する過激なジョークや、レストランでの大嘔吐シーンなど、視聴者の嫌悪感すらも笑いに昇華させようとする圧倒的なパワープレイが連続します。
これらのギャグは「あまりにも下品すぎる」と猛烈な批判を浴びましたが、一切の羞恥心を捨てて大暴れするマッカーシーのコメディエンヌとしての度胸は、見方を変えれば称賛に値すると言えるでしょう。
また、レベッカの親友ミシェルを演じるカルメン・エレクトラが放つ、突き抜けたおバカ演技とセクシーな魅力も、映画の強烈なスパイスとなっています。
下品さの限界に挑んだ映像体験は、一度見たら脳裏に焼き付いて離れないほどのインパクトを持っています。
制作秘話・トリビア
『ダーティ・ラブ』の制作は、ジェニー・マッカーシーの「ハリウッドの型にはまったヒロイン像を壊したい」という強い思いからスタートしました。
彼女は長年、見た目の美しさばかりが評価され、自身のコメディの才能が正当に評価されていないことに不満を抱いており、自らの限界を突破するために本作の脚本を執筆したのです。
撮影は、当時の夫であるジョン・アッシャーの監督の下、わずか数百万ドルというインディペンデント映画レベルの低予算で行われました。
ロサンゼルスでのロケ撮影はゲリラ的に行われた部分も多く、限られた予算とスケジュールの中で、キャストたちは即興演技を交えながら和気あいあいと撮影を進めたと言われています。
しかし、映画が公開されると、批評家からは「映画史に残る汚点」「笑いのセンスが絶望的に欠如している」と容赦ない酷評の嵐に見舞われました。
興行収入も製作費を回収できない大惨敗に終わり、さらに皮肉なことに、本作の公開直後の2005年に、マッカーシーとアッシャーは実生活でも離婚を発表することになります。
ゴールデンラズベリー賞の授賞式では、ジェニー・マッカーシーへの冷ややかな視線が集まりましたが、後年彼女はこの作品を「自分がやりたいことをやり切った結果であり、後悔はしていない」と語っています。
この潔い態度と、結果的にカルト的な名声を手に入れた本作の数奇な運命は、ハリウッドの裏面史を彩る興味深いエピソードとして語り継がれています。
キャストとキャラクター紹介
レベッカ・ソマーズ:ジェニー・マッカーシー
本作の主人公で、ピュアでロマンチストな性格の女性カメラマンです。
恋人の裏切りによって精神のバランスを崩し、怒りのあまり奇行を繰り返す「歩く大惨事」へと変貌してしまいます。
失恋の痛手を乗り越えようと空回りし、様々な男たちとの最悪なデートを繰り返す中で、肉体的にも精神的にもボロボロになっていきます。
ジェニー・マッカーシーが持ち前のルックスを完全に無駄遣いし、顔面を歪ませ、汚物まみれになりながら熱演する姿は、良くも悪くも本作の最大のハイライトです。
ミシェル:カルメン・エレクトラ
レベッカの親友であり、常に派手なファッションに身を包むセクシーな女優志望の女性です。
底抜けに明るく、性に奔放な性格をしており、落ち込むレベッカを強引にクラブやパーティーへと連れ出します。
彼女の的外れなアドバイスが結果的にレベッカをさらなるトラブルへと巻き込んでいくのですが、悪気は一切なく、常に親友を思いやる純粋な心を持っています。
カルメン・エレクトラが自身のパブリックイメージを逆手に取り、コメディリリーフとして画面に強烈な華を添えています。
ジョン:エディ・ケイ・トーマス
レベッカの幼なじみであり、彼女を長年密かに想い続けている心優しい親友です。
派手な業界人ばかりの周囲の中で、唯一まともな価値観を持つオタク気質の青年であり、マジックの練習に勤しむなど少し風変わりな一面もあります。
レベッカがどんなに落ちぶれ、下品な振る舞いをしても決して見捨てることなく、常に彼女の味方であり続ける究極の「いい人」です。
エディ・ケイ・トーマスが得意とする、誠実で少し冴えない青年役が本作の唯一のオアシスとして機能しています。
リチャード:ヴィクター・ウェブスター
レベッカの元恋人であり、誰もが振り向くほどのイケメンで自信過剰なトップモデルです。
極度のナルシストであり、自らの美貌を鼻にかけており、平気でレベッカを裏切って他の女性と関係を持ちます。
別れた後もレベッカを見下し、彼女の自尊心を傷つけるような言動を繰り返す、本作における分かりやすい悪役(憎まれ役)ポジションです。
ヴィクター・ウェブスターが、観客が本気で腹を立てるほどの完璧な「嫌なイケメン」を見事に演じ切っています。
キャリー:カム・ヘスキン
レベッカとミシェルのもう一人の親友であり、少し天然で空気が読めないところがある女性です。
ミシェルと共にレベッカの恋人探しに協力しますが、彼女のズレた感覚がさらに事態をややこしくしていきます。
個性の強すぎる登場人物たちの中で、一見普通に見えながらもどこか狂気を孕んだキャラクターとして、独特の存在感を放っています。
キャストの代表作品と経歴
本作で圧倒的な存在感(と批判)を集めた主演のジェニー・マッカーシーは、1993年に「プレイボーイ」誌のプレイメイト・オブ・ザ・イヤーに輝き、一躍スターダムにのし上がった人物です。
その後、MTVのコメディ番組『Singled Out』の司会などで持ち前の明るさとユーモアのセンスを発揮し、テレビ界で大成功を収めました。
女優としては『スクリーム3』(2000年)などに出演していますが、本作『ダーティ・ラブ』でのラジー賞受賞により、映画界でのキャリアは大きな転換点を迎えることになりました。
近年では、自閉症啓発活動家やテレビ番組のパーソナリティとして、別の分野で精力的に活動しています。
親友役を務めたカルメン・エレクトラもまた、元プレイメイトであり、大ヒットテレビドラマ『ベイウォッチ』への出演で1990年代を代表するセックスシンボルとなった女優です。
『最終絶叫計画』(2000年)をはじめとするパロディ映画やコメディ作品に数多く出演し、自身のセクシーなイメージを自虐的に笑い飛ばす才能には定評があります。
ジョン役のエディ・ケイ・トーマスは、大ヒット青春コメディ『アメリカン・パイ』シリーズ(1999年〜)のフィンチ役として世界的に顔を知られる実力派俳優です。
知的な変人や心優しいオタクを演じさせれば右に出る者はなく、テレビドラマ『SCORPION/スコーピオン』における天才行動心理学者トビー役などでも長年活躍しています。
監督のジョン・アッシャーは、テレビドラマ『ときめきサイエンス』の主演などで俳優としても知られていますが、本作の商業的・批評的な大失敗は彼の監督キャリアに深い爪痕を残すこととなりました。
まとめ(社会的評価と影響)
映画『ダーティ・ラブ』は、「ハリウッドの歴史に名を残す大失敗作」として、今なお多くの映画ファンの間で語り草となっている伝説的な作品です。
第26回ゴールデンラズベリー賞において最低作品賞を含む主要4部門を制覇したことは、本作の異常な特異性を永遠に歴史に刻み込みました。
辛口映画批評サイトのRotten Tomatoesでは批評家支持率が長年「一桁台(時期によっては0%に近い数字)」に沈み込み、IMDbでも10点満点中2点台という、滅多にお目にかかれない低評価を叩き出しています。
多くの批評家は「女性の身体的特徴を笑いのネタにする手法が下品極まりなく、全く笑えない」と激しく非難しました。
しかし、そのあまりにも行き過ぎた過激さと、一切のブレーキを持たない狂気のストーリー展開は、一部のサブカルチャー層や「Z級映画」を愛好するマニアたちの心を強く打ちました。
「酷すぎて逆に目が離せない」「ジェニー・マッカーシーの捨て身の演技は異常なエネルギーに満ちている」と、皮肉交じりの賛辞を送るファンも世界中に少なからず存在します。
万人にお勧めできる映画では決してありませんが、「失敗を恐れずに個人の暴走したビジョンを映像化した極北のコメディ」として、ハリウッド映画史の奥底に異様な輝きを放ち続ける、愛すべきカルト・ムービーです。
作品関連商品
- DVD(輸入盤・国内盤): 本作の真髄である過激な未公開シーンや、監督とキャストによる狂気のオーディオコメンタリーが収録されている場合があり、映画の裏側を知りたいカルト映画ファン必携のアイテムです。
- オリジナル・サウンドトラック: 2000年代のポップスやロックが散りばめられたサントラは、作中のドタバタ劇を盛り上げる秀逸な選曲となっており、当時のクラブシーンの空気を感じることができます。
- ジェニー・マッカーシーの関連書籍: 彼女が自身のキャリアや育児について綴った著書(『Louder Than Words』など)を読むことで、本作に込めた彼女の意図や、ハリウッドでの苦悩をより深く理解する手助けとなります。
- 『アメリカン・パイ』シリーズ DVDセット: 本作と同じく2000年代を代表するグロスアウト・コメディの金字塔であり、エディ・ケイ・トーマスの出世作でもあるため、テイストの比較として併せて鑑賞するのがお勧めです。
